注文住宅を建てたいと思い立ったものの「なにから取り掛かればいいのか」わからない方も少なくありません。
マイホームの購入を検討している約8割の方が、初めて住宅を取得する「一次取得者」です。なにから手を付ければいいか、わからなくて当然でしょう。
そこで今回は、家が建つまでに「どのような流れなのか」「各工程でなにをすればいいのか」それぞれ整理しながら、わかりやすく解説します。
この記事で学べるコト
- 注文住宅を建てる全体の流れがわかる
- 注文住宅を建てるまでに何をすればいいか明確になる
目次
1.【全体図】注文住宅を建てる流れ|大まかな7つのSTEP
注文住宅を建てるために必要な大まかな流れ整理すると、次の7つのSTEPがあります。
- 情報収集
- 土地探し
- 建築会社の選定
- 契約
- 着工
- 引き渡し
- 入居
上図のように、注文住宅を建てようと考え始めてから入居までの期間は約6カ月~1年程度かかります。土地探しが難航すれば、さらに期間は伸びてしまいます。
理想の注文住宅を建築するには、これらの工程をひとつずつ着実に、かつ計画的に進めなくてはいけません。さらに、それぞれの流れで「何をすればいいのか」具体的に行動を理解することが大切です。
そこで次からは、7つの流れを掘り下げて解説しますので、理解を深めていきましょう。
2.【STEP1】情報収集
情報収集の段階では、主に次の3つの行動があります。
- 希望条件の整理
- 資金計画をたてる
- 相談先のピックアップ
2-1.希望条件の整理
まずは、建てたい注文住宅の希望条件を整理することから始めましょう。条件を整理する方法としては「どこのエリアで・いつまでに・どのような建物を・いくらで」を洗い出すと良いです。
注文住宅は、あれもこれもと自分好みにやりたいことが増えていきます。しかし、やりたいことが多岐にわたるため、当初の目的からズレが生じやすくなります。
そのため、始めのうちから注文住宅を建てる目的を明確にするため、希望条件の整理が大切です。
たとえば、入学までに新居に入居すると期日があれば「△△小学校の通学区域内で〇〇年3月までに入居していなければいけない」と、どこのエリアで・いつまでにという条件が整理できます。
お住まいのデザインや機能など、利便性やその人の感性が関わる部分が「どのような建物を」に該当します。今住んでいて不満に思っていることの洗い出しや、雑誌やハウスメーカーの施工事例から、デザイン・インテリアの情報を収集して、どのような住まいにすればおきましょう。
「いくらで」はご家庭の年収や毎月の支払いなどから、無理のない資金計画が必要です。詳しくは後述しますので、ぜひ参考にしてください。
「【チェックリストあり】注文住宅は何からはじめる?最初に取り組むべき希望条件を整理する方法」では、さらに具体的な希望条件を整理する方法について紹介しています。検討初期で何をしたらいいかわからずに迷われている方は、まずはこちらの記事をご一読ください。
2-2.資金計画をたてる
前述したとおり、資金計画は「いくらで」に関する条件整理です。「毎月いくらの収入があって、何にいくら使っているか」家計全体の状況を把握できるいい機会です。
楽観的な考えで注文住宅の予算を見積もってしてしまうと、予算オーバーの原因のひとつになりかねません。土地探しや建築会社探しを始める前に、家族にあった資金計画をたてることで、生活費を圧迫することなく無理のない返済プランになります。
資金計画をたてる際は、複数の項目を洗い出す必要があります。時間はかかるものの慎重に情報を整理していけば、問題なく計画できるでしょう。
資金計画をたてる詳しい方法については「注文住宅の予算を決める3つの方法|予算オーバーしない4つの対処法を伝授」で、まとめています。ぜひ、こちらの記事も参考にしながら作業してください。
2-3.相談先のピックアップ
「どこのエリアで・いつまでに・どのような建物を・いくらで」の条件整理が完了したら、次に相談先のピックアップも忘れずにしましょう。
相談先のピックアップは、2-1.希望条件の整理で洗い出した希望の条件をもとに、理想を叶えられるハウスメーカーや工務店の複数社にあたりをつける作業です。このとき、6~8社程度ピックアップして資料請求しておくのがおすすめです。最終的には見積もり依頼をする2~3社まで絞り込みます。
注文住宅を建てる場合、建築会社ごとにそれぞれの強みや特徴があります。建築会社には得意不得意があるため、その建築会社は「なにに強みがあって、どのような特徴があるか」を把握しなくてはいけません。
たとえば、地震に強い家を建てたいなら「耐震や免震・制震に定評のある会社」が候補になりますし、家事時短の間取りを取り入れたいなら「家事動線を意識したプランの建築実績が豊富」な会社が候補にあがるはずです。
建築会社選びについては「【保存版】建築会社を選ぶ5つのポイント|探し始める前の準備と具体的な探し方」でポイントをまとめて紹介しています。
ぜひ、相談先をピックアップする際の参考にしてください。
3.【STEP2】土地探し
土地を所有していない方が注文住宅を新築するなら、この時点で土地探しを始めます。すでに、土地を所有している方は【STEP3】建築会社の選定まで進めてください。
土地探しでは、STEP1の情報収集で整理した希望条件をもとに土地を探します。
土地を探す方法は複数ありますが、一般的には売買や仲介をメインにしている不動産会社に紹介してもらうケースが多いです。
不動産会社の方が多くの土地情報を蓄えています。多くの情報の中から気に入る土地を取捨選択したい方は、不動産会社に相談するといいでしょう。
ただし、注文住宅を建てるのに適している土地かというと、すべてがそうとは言い切れません。ライフラインが整っていない土地情報も中にはあるので注意が必要です。
そのため、不動産会社に土地の相談をする際には、目的をしっかりと伝えたうえで土地探しをするようにしましょう。
また、ハウスメーカーも土地情報を持っています。ただし、土地情報は不動産会社よりも少ないのが実情です。
ハウスメーカーは家を建てるのが主な仕事のひとつです。そのため、ハウスメーカー土地の相談をすると家を建てるのに適した土地情報を教えてもらえるというメリットがあります。
そのため、ハウスメーカーに相談するなら後述する4.【STEP3】建築会社の選定と同時並行で進めるのがおすすめです。
これから土地探しを始める方に向けてコツを紹介した記事も公開しています。「土地探しで必ずチェックしておきたい10のポイント」ぜひ、参考にしてください。
4.【STEP3】建築会社の選定
次にどこの建築会社に依頼するか選定するため、ピックアップした企業を絞り込みます。
次の5つの方法を用いて相性の良い建築会社を見つけましょう。
- モデルハウスの見学する
- 設計・プラン提案をもらう
- 見積もりを依頼する
- 住宅ローンの仮審査をする
- 依頼する建築会社を決める
4-1.モデルハウスの見学する
建築会社が実際に建てた建物を見学できる「モデルハウス見学」には積極的に参加しましょう。
モデルハウスを見学するのは、建築会社の技術力を肌で体感できるいい機会です。空間設計や動線の利便性・設備の使い勝手など、平面図ではわかりにくい部分を体験できます。
また、建築会社のなかには、住宅展示場に出展している企業もいます。一度で複数の会社を比較できるため、建築予定地の近くに住宅展示場があれば、一度、足を運んでみるのも良いでしょう。
住宅展示場を見学するポイントをまとめた「住宅展示場を見学するには予約が必要?事前準備と見学するときに確認したい6つの項目」も、あわせてご覧ください。
4-2.設計・プラン提案をもらう
建築会社を比較するため、検討している企業に設計・プランを提案してもらいましょう。
【STEP1】情報収集で整理した希望の条件から、建物に求める性能や設備、間取りなどからプランを作成していきます。
ただし、この時点の提案は、ざっくりとした概算のプランになるので注意が必要です。
このとき、要望をプランに反映してもらわないと、見積もり額と建築費用の乖離が大きくなってしまい予算オーバーになりかねません。はっきりと「どのようなプランを希望しているのか」を伝えたうえで提案をもらうようにしてください。
概算のプランとはいえ、なるべくプランの解像度を高めておくことで、後のトラブルを回避することにつながります。
4-3.見積もりを依頼する
提案してもらったプランをあわせて見積もりを作成してもらいましょう。見積もり額のうち、何にいくらかかるのか内訳がわかると尚良いです。
見積もりの内訳がわかるようになっていると、建築会社を比較検討するときに「A社はこの金額が含まれているがB社は金額に含まれていない」など、差分を把握できます。
見積もりの金額の高い安いで判断せずに、何にいくらかかるのか、細かいところまで見極めるようにしてください。
注文住宅では何にいくらかかるのか、相場感をつかんでおくと比較する際の参考になります。
「注文住宅はいくらで建つの?最新の費用相場と建築にかかる費用の内訳」建築費用についてまとめていますので、あわせてご覧ください。
4-4.住宅ローンの事前審査をする
注文住宅を購入する際、多くの方が住宅ローンで住宅を購入するでしょう。この住宅ローンを借り入れるために行うのが事前審査です。
前述で紹介した見積もり額から、希望の借入額を試算して金融機関・公的機関などに借り入れできるか事前に審査をします。
このときに大切なのが、ハウスメーカーから紹介される借入先だけで事前審査をするのではなく、複数の金融機関・公的機関などから最適な借入先を見つけることです。
住宅ローンのプランはいくつもあり、借入金利も金融機関によって異なります。今は、低金利と言われており、ネット銀行の変動金利なら0.3%台(2022年9月時点)のプランもあるくらいです。
ただし変動金利の場合、今後の金利上昇リスクも覚えておかなくてはいけません。
アメリカでは、2022年9月16日に30年固定金利の平均が14年ぶりに6%を超えたと話題になりました。日本も2022年から徐々にではありますが、固定金利の金利が上昇傾向にあります。変動金利もこのまま低金利の状態がいつまで続くかわかりません。
このようにリスクとちゃんと向き合い、複数の住宅ローンを比較して事前審査を行いましょう。
4-5.依頼する建築会社を決める
各社のモデルハウスを見学して改めてわかった建築会社の強みや特徴・技術力やアフターフォロー、提案してもらったプラン・見積もりなど、総合的に判断して委託する建築会社を1社に絞ります。
「要望がプランにすべて反映されているか」「確認事項の抜け漏れがないか」「不明な点は払拭できたか」など、慎重に比較検討したうえで設計申し込み(仮契約)をしましょう。
ただし、この時点で「あとからプランの変更もできますから」と、工事請負契約(本契約)を締結しようと迫ってくる建築会社は注意が必要です。
たしかに、後から変更できるものの、詳細のプランが決まっていない段階で工事請負契約を結ぶのは、売主都合であって買主には不利益です。
このような建築会社は候補から外して、別の委託先を探すのが賢明でしょう。
5.【STEP4】契約
続いては契約における行動をみていきましょう。本契約を締結するための大事なステップです。
具体的には次の3つの工程があります。
- 詳細のプラン打ち合わせ
- 工事請負契約
- 住宅ローンの本審査
5-1.詳細のプラン打ち合わせ
提案してもらった仮プランから、さらに解像度をあげたプランにするため、詳細のプラン打ち合わせをします。
細かな設備・仕様を決めていく作業です。カタログやサンプルから理想に近づけるため、床材や壁紙、外壁など選択しなくてはいけません。このように、決める項目が多いので、時間にゆとりをもって打ち合わせできるスケジュールをたてるのが大切です。
思い描く理想を形にしていく重要な作業です。設計担当と綿密な打ち合わせを重ねて、納得のいくプランを作成しましょう。
カタログだけでは伝わりにくい部分も多くあります。カタログやサンプルだけでなく、設備メーカーのショールームも訪問することをおすすめします。
ただし、詳細のプラン打ち合わせに入る前に、仮契約・申し込みなどの名目でハウスメーカーと契約を結ぶことになります。おおむね5万円~10万円程度の申し込み費用が必要となるので手元資金を準備しておきましょう。
間違っても詳細の建築プランを決める前に工事請負契約(本契約)を締結するのはNGです。簡単にキャンセルできないため、工事請負契約はプランに納得して内容を固めてから契約するようにしてください。
5-2.工事請負契約
詳細のプラン打ち合わせが終わり、理想どおりのプランができあがったら工事請負契約(本契約)を締結します。
プランや費用に抜け漏れがないか確認する他に、工事や支払のスケジュール・キャンセル時の規定など、契約内容が納得できるか細心の注意を払って確認してから契約を締結するようにしてください。
ここで抜け漏れがあると後から変更契約を結ぶため、予算の超過する恐れがあります。
工事請負契約の締結後は、建築基準法に適した設計・プランなのかを確認するため、建築会社の担当が管轄の自治体に建築確認申請をします。
建築確認済証がとれたら着工できます。
以下の記事は、工事請負契約書を締結する際の注意点を解説しています。気になる方は、ぜひ参考にしてください。
5-3.住宅ローンの本審査
工事請負契約書を締結して建築確認が済んだら、次に住宅ローンの本審査を申し込みます。
金融機関や公的機関などが本審査をする場合、工事請負契約書と建築確認済証のコピーをもとに厳正な審査を行います。
本審査を通過したら、借入先と契約を締結します。
6.【STEP5】着工
これから工事が始まるにあたり、近隣への挨拶をすませましょう。事前に挨拶を済ませておくことで、騒音や工事車両の問題などによる近隣トラブルのリスクが軽減できます。挨拶は工事現場の現場監督に頼むこともできるので、相談しておきましょう。
着工時にはイベントがつきものです。着工前に安全祈願のため「地鎮祭」、建物の構造躯体が建ちあがったら「上棟式」があります。これらは施主である買主が「やるか・やらないか」を決められますので、イベントの有無を担当に伝えておくと良いでしょう。
また、工事中は現場に足を運ぶのがおすすめです。職人さんと挨拶を交わしてコミュニケーションをとることで、職人さんならではのアイデアが貰えるかもしれません。
ただし、現場を訪れるときには、建築会社の担当と連絡をとり邪魔にならない配慮が必要です。
7.【STEP6】引き渡し
建物が完成したら、自治体や第三者機関による完了審査を受けます。建築確認申請のとおりに建築されているか確認する大事な作業です。
引き渡しの前には、担当者立会いのもと内検をします。「床や壁に工事中についた傷がないか」「設備・仕様は注文したとおりのものが施工されているか」「建具は建付けが悪くないか」など、隅々まで確認しましょう。
確認して問題なければ、引き渡し日に鍵や保証書を受け取り、設備の使い方の説明をうけます。このときに、修理が必要になった際の連絡先や定期点検のスケジュールなど確認しておくと良いでしょう。
8.【STEP7】入居
ここまで長くなりましたが、引き渡しが完了したら引っ越し・新居に入居で新生活のスタートです。入居後、すぐに生活できるように準備を怠らないようにしましょう。
新居に入居する前の住まいから持ち込む家具・家電。新調する家具・家電など、着工中からリストアップしておくのがおすすめです。
まとめ
注文住宅を建てるために大きく7つの流れがあります。
- 情報収集
- 土地探し
- 建築会社の選定
- 契約
- 着工
- 引き渡し
- 入居
この7つの流れを分解するとやるべきことがたくさんあり、多くの時間が必要です。
そのため、計画的にものごとを進めなくてはいけません。とくに、入居時期が決まっているなら尚更です。
今回紹介した項目をひとつずつ着実にクリアすれば、理想の注文住宅につながります。これから、家づくりを始める方は、本記事を参考に満足のいく家づくりの一助になれば幸いです。
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