セットバック要の物件を購入するときに気を付ける5つの注意点

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セットバック要の物件を購入するときに気を付ける5つの注意点セットバック要の物件を購入するときに気を付ける5つの注意点

中古戸建や土地情報を調べていて「セットバック要」「私道負担あり」の物件を目にすることがあります。土地や建物の価格が安く購入を検討する方も少なくないでしょう。しかし、このような物件はセットバックといって敷地を後退させなくてはいけません。

そこで今回は、セットバック要や私道負担ありの物件が気になっている方に向けて、セットバックの概要から購入前に覚えておきたい注意点を解説します。

どんな人が購入するのがおすすめなのかも解説しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事で学べるコト

  • セットバックの概要がわかる
  • セットバックで注意することがわかる
  • 検討・購入するときにやるべきことがわかる

1.セットバックって何?

セットバックって何?

セットバックとは後退を意味する言葉で、建築基準法の接道義務に満たない敷地から、接道義務を満たす敷地にするため、敷地を後退(セットバック)させることを指します。

それでは、なぜセットバックしなければいけないのか、その理由とセットバックする部分がどのように決まるのか。この2点について詳しく解説していきます。

1-1.セットバックする理由は「防災や防犯」の観点から安全な街づくりをするため

セットバックする理由は、主に「防災や防犯」といった観点から安全な街づくりをするためです。

防災面では、緊急車両がスムーズに通行できるように道幅を確保しています。道幅を確保すると、車両の行き来がしやすいだけでなく見通しがよくなるため、犯罪の起こりにくい環境を形成できます。

そのため、街づくりに欠かせない家づくりにおいても、建築基準法で接道義務という敷地と道路に関するルールを守らなければいけません。

家を建てるには敷地が道路に2m以上接していなければいけないと建築基準法の第43条で定められています。さらに、建築基準法の第42条では「道路」についての定義がされており、道路と認められるのは道幅が4m以上あるものが基本とされています。ただし、特定行政庁によっては6m以上の道幅を指定しているエリアもあるので注意が必要です。

既に建築されている建物の中には、建築基準法による法整備がおこなわれる前に建てられた建物も多く、4m未満の道路においても、第42条2項で「みなし道路」や「2項道路」として例外的に道路として認めています。

つまり、このような4m未満の道路に接した土地に新しく建物を建てる場合、4m以上の道路(特定行政庁によっては6m以上)に2m以上、土地に道路が接していなければ建築許可がおりないです。そのため、セットバックして不足している道幅を補わなければいけません。

セットバックにより、隣り合う家と家との距離が広がるため、延焼して大惨事になるということも防げます。

1-2.セットバックする部分ってどうやって計算されているの?

前述でも紹介したとおり、建築基準法の接道義務では4m以上の道路に2m以上敷地が接していなければ、新しい建物は建てられません。そのため、セットバックによって道幅が4m以上になるように道路を挟む土地で道路の中心からそれぞれ2mずつになるようセットバック部分をお互いで確保します。

しかし、例外もあります。道路を挟む反対側が川や水路・崖など、セットバック部分を折半することができない敷地の場合は、ひとつの敷地でセットバック部分を確保しなければいけません。

図で表すと次の通りです。

道路の向かいが住宅と川などの場合におけるセットバックの違い

上の図は、道幅が3mの道路に面する敷地では1mのセットバックが必要とした場合の例です。向かい合うお互いの土地で4mの道幅を確保しあうのであれば、50cmずつセットバックさせれば良いのですが、道路の向かいが川や水路などの場合は1mセットバックしなければいけません。

2.セットバック要の物件を購入する前に覚えておきたい5つの注意点

セットバック要の物件を購入する前に覚えておきたい5つの注意点

セットバック要の物件は土地価格の安さから、魅力的に見えるかもしれません。しかし、注意点を理解せずに購入してしまうと理想の家づくりができず後悔するでしょう。

そこで第2章では、購入する前に覚えておきたい注意点を5つご紹介します。

2-1.セットバックをしないと建て替え・増築などができない

セットバックは敷地面積が減ってしまうため、セットバックを拒否したいと考える方もいるでしょう。セットバック要の中古物件を購入して建て替えなどをおこなわず、そのまま中古住宅に住むのであればセットバックをしなくても何ら問題はありません。

しかし築年数が経過して建物を建て替えたいときや家族構成の変化によって増築をしたいときなどは、建築申請をおこない許可がおりなければ建て替え・増築をおこなうことができません。つまり、セットバックをして建築基準を満たさなければ新しい建物を建てることができないです。

このように、セットバック要の敷地で建て替え・増築などをするにはセットバックを拒否することはできません。

2-2.セットバック部分の土地も購入しなければならない

セットバック部分の土地は私的利用が認められないにも関わらず、購入費用の計算に含まれます。不動産会社の仲介手数料も、セットバック部分の土地の購入費用を含む金額で計算されることが通常です。

また、セットバック部分の土地は多くの場合、舗装されます。その際の舗装費用は自治体からの補助金を受給できたり、道路管理者が負担したりするケースが大半です。しかし、中には舗装費用を購入者が支払うケースも存在するため、事前によく確認しましょう。

2-3.建物の広さ・大きさに影響する

セットバック要の物件を購入しても、敷地面積いっぱいを有効活用することはできません。セットバックした分、敷地面積が小さくなるからです。そのため、建築する建物の広さや大きさも比例して小さくなります。

建物の広さや大きさというのは、容積率と建ぺい率の割合によって決まっています。この容積率・建ぺい率は敷地面積に応じて算出されます。

たとえば、100㎡の敷地面積の土地で容積率150%の制限があるとしましょう。1mセットバックするとしないとでは、延床面積によって次のような違いがあります。

100㎡の土地をセットバックする場合としない場合の敷地面積の違い

100㎡の敷地をセットバックしない場合の延べ床面積:100㎡×150%=150㎡
1mセットバックする場合の延床面積:90㎡×150%=135㎡

上図では、正方形の敷地を参考例に算出していますが、道路との接地面が大きくなれば比例してセットバックで減る敷地面積も大きくなります。

セットバックによって敷地面積がどのくらい減少してしまうのか購入前に把握して、新しく建物を建てるには、どの程度の広さや大きさの家が建つのか想定しておくと良いでしょう。

ただし、建築基準法において容積率・建ぺい率の他にも斜線規制などの条件によって建物の大きさが決まります。ご自身で調べるのが難しいときには、事前に不動産会社に聞いておくのもひとつの手です。

2-4.セットバックした部分を自分たちで使えない

もともとは自分たちが購入した土地だったため、セットバックした部分をなんとか有効活用したいと考える方も少なくありません。しかし、セットバック部分は公共の道路となるため、車の駐車や花壇・塀などを設置することができません。つまり、私的利用はできなくなります。

車の購入を考えているなら、車庫証明が必要です。セットバックしたあとの敷地に駐車できるスペースを確保するようにしてください。また、塀や花壇があるようなら撤去もしくは移設しましょう。

2-5.売却しにくくなる

セットバック要の物件を購入し、既存の建物をそのまま使用する場合は、セットバックを行う必要がありません。しかし、セットバック要の物件のまま売却する場合、買い手探しに苦労するケースがあります。

また、セットバック要の物件は市場の相場と比較すると、低い価格で取引されることが通常です。購入する際に価格の妥当性を見誤ると、損をするリスクが高いため、注意しましょう。

3.セットバック要の物件を検討・購入するときにやるべき2つのこと

セットバック要の物件を検討・購入するときにやるべき2つのこと

セットバック要の物件を検討するときや購入するときに是非やっていただきたいことが2つあります。それは次の2点です。

  • 助成金や奨励金がないか調べる
  • 固定資産税・都市計画税の非課税申告書を提出する

この2つは事前に準備しておくとスムーズに物事を進められます。それぞれについて詳しくみていきましょう。

3-1.助成金や奨励金がないか調べておく

セットバックをすることによって、自治体がどのような支援をしてくれるか調査しておくのも大切です。

セットバックした土地は通常、自治体に買い取ってもらう、もしくは寄付することになります。寄付する場合は、助成金として擁壁などの移設や撤去の工事内容によって1mあたりいくらと助成額が決まっています。自治体ごとに助成金や奨励金の設定金額が異なりますので確認しておきましょう。

ただし、工事前に担当職員による現地調査をおこなわないと交付されない場合などがあるので注意が必要です。

3-2.固定資産税や都市計画税の非課税申告書を提出する

セットバックして道路として利用される部分の固定資産税や都市計画税が非課税になります。しかし、セットバックしたからといって自動的に非課税になるわけではなく、申告書を提出しなければ、非課税になることはありません。

申告書を提出すると税事務所による現地調査を実施して、非課税を適用するかを判断します。適用の対象になれば、次の年の年度から固定資産税や土地計画税が非課税になります。

市町村役所によって申請方法がありますので、検討している土地のエリアはどのように手続きを行うのか事前に調べておきましょう。

4.セットバック要の物件を買うならどんな人がおすすめ?

セットバック要の物件は市場の相場と比較して低い価格で取引されるケースが多いことから、極力安く、土地・建物を購入したい人に向いています。既存の建物をそのまま活用する前提で購入する場合、法律上ではセットバックを行う義務が発生しません。

ただし、セットバック要の建物をそのまま活用する場合、下記のような弊害が生じる可能性は否めません。

  • 災害発生時に緊急車両の通行を妨げるリスクがある
  • (周囲の人がセットバックを行っている場合)近隣住民とのトラブルが発生する可能性がある
  • 狭い道路に面していると見通しが悪く、防犯性が低い

住宅地では一軒ごとの建て替えに伴い、セットバックを進めることが通常です。そのため、幅員の狭い箇所・広い箇所が混在した、クランク状の道路が見られることも多いと言えます。周囲の人がセットバックを行っているにも関わらず、一軒のみがセットバックを拒否すれば、近隣住民から苦情が来る可能性は否めません。

近隣住民との関係は、暮らしの快適さを左右する重要な要素に該当します。セットバック要の物件を購入して快適な暮らしを実現するためには、既存の建物の建て替え費用を確保し、セットバックを行った上で居住する方法がおすすめです。

既存の建物を建て替えしてセットバックも行うと、物件の資産価値が向上する可能性は高いと言えます。その結果、将来的な売却を有利な条件で進められると、一定の利益を得ることも可能です。

まとめ

セットバックは、防災・防犯の観点から安全な街づくりをするために重要です。建築基準法の接道義務で道路と接する距離が定められており、ルールを守らなければ新しい建物を建てることができません。

土地価格が安価なセットバック要の物件ですが、購入する前に覚えておいて欲しい5つの注意点があります。事前に理解しておかないと、購入してから後悔してしまうので、必ず理解しましょう。

セットバック要の物件を買うなら「極力安く、土地・建物を購入したい」人に向いています。注意点を理解したうえで納得して購入できるように知識をみにつけましょう。

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