低炭素住宅の認定基準はどうかわる?2022年10月に見直される5つの変更点

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低炭素住宅の認定基準はどうかわる?2022年10月に見直される5つの変更点低炭素住宅の認定基準はどうかわる?2022年10月に見直される5つの変更点

低炭素住宅の基礎編として過去に「低炭素住宅とは?認定を受けるための条件と長期優良住宅・ZEHとの違い」という記事を掲載しました。

低炭素住宅は国の支援策も手厚く、マイホームを検討するうえで認定基準を満たすかどうかを考えている方も少なからずいるでしょう。

しかし、これまで低炭素住宅の認定基準は見直しが検討されてきました。そして2022年10月、ついに見直された認定基準が施行されます。

そこで今回は、どのような認定基準に変更されるのか詳しく解説します。2022年10月以降に低炭素住宅を建てようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

※本記事は国土交通省の「エコまち法に基づく低炭素建築物の認定制度の概要」「建築物に係るエネルギーの使用の合理化の一層の促進その他の建築物の低炭素化の促進のために誘導すべき基準 改正告示」の資料を参考に執筆しています。

※執筆時点の情報をもとにしておりますので、今後内容が変更する場合がございます。

この記事で学べるコト

  • 2022年10月以降、低炭素住宅の認定基準はどのような変更があるのかわかる

1.2022年10月に施行が予定されている5つの変更点

現行の認定基準から2022年10月以降に変更される主な内容は次の5つです。

  • 省エネ基準からZEH水準の省エネ性能が必要
  • 再生可能エネルギーの導入が必要
  • 省エネ+創エネの合計が一次エネルギーの50%以上が要件に追加
  • 選択項目に「V2H充放電設備の設置」が追加
  • 選択項目が2項目以上から1項目以上に

それぞれの変更点について、詳しくみていきましょう。

1-1.省エネ基準からZEH水準の省エネ性能が必要

2022年以降の新基準では、省エネ基準からZEH水準の省エネ性能が必要になりました。つまり、認定基準がさらに厳しくなったのです。

2022年10月以前の認定基準は、省エネ法で定める省エネルギー基準をベースに、一次エネルギー消費量が▲10%以上(一次エネルギー消費量等級5)。断熱性能は同等以上の性能(断熱性能等級4)を有している必要がありました。

新基準では、一次エネルギー消費量が▲20%以上の省エネ性能(一次エネルギー消費量等級6)。ZEH水準の断熱性能(断熱性能等級5)を確保する必要があります。

下記は、新旧の比較表です。こちらの表も参考にしながら変更点を見比べてみましょう。

旧基準 新基準
一次エネルギー基準 一次エネルギー消費量等級5
省エネ法で定める省エネルギー基準と比べて、一次エネルギー消費量が▲10%以上の省エネ性能である
一次エネルギー消費量等級6
省エネ法で定める省エネルギー基準と比べて、一次エネルギー消費量が▲20%以上の省エネ性能である
外皮性能基準 断熱性能等級4
省エネルギー基準であるUA値が1・2地域:0.46以下、3地域:0.56以下、4地域:0.75以下、5~7地域:0.87以下
断熱性能等級5
ZEH水準であるUA値が1・2地域:0.40以下、3地域:0.50以下、4~7地域:0.60以下

1-2.再生可能エネルギーの導入が必要

低炭素住宅の認定を受けるには、再生可能エネルギーの導入が要件化されます。つまり、太陽光発電システムなどの設備を導入しなくてはいけません。

これまで国をあげてZEHの普及率を向上させる目的でさまざまな取り組みをおこなってきましたが、今回の認定基準の見直しでカーボンニュートラル実現に向けて加速が期待されます。

ただし、建築主の立場としては、設備投資の高騰によって少なからず建築コストに影響します。建築コストや税制優遇、その他メンテナンスコストなど総合的に比較して導入を検討するようにしてください。

1-3.省エネルギー+創エネルギーの合計が基準一次エネルギーの50%以上であることが要件に追加

前述でお伝えした「再生可能エネルギーの導入が必要」とあわせて要件化されたのが、省エネルギー+創エネルギーの合計が基準一次エネルギーの50%以上であることです。

もう少しわかりやすく説明すると、太陽光発電システムなどで創るエネルギーを増やして、省エネ性の高い設備(エアコン・給湯器など)で使うエネルギー消費量を抑えます。その合算の数値が基準値よりも▲50%削減している必要があります。

ZEHとNearly ZEHの間ぐらいの位置づけとして覚えておきましょう。

1-4.選択項目に「V2H充放電設備の設置」が追加

2022年10月以前の旧基準では、選択項目が8つでしたが、新基準では「V2H充放電設備の設置」の項目が1つ増えて計9つになりました。

旧基準 新基準
  1. 節水に資する機器を設置している(便器・水栓・食洗機)
  2. 雨水、井戸水または雑排水の利用のための設備を設置している
  3. HEMSまたはBELSを設置している
  4. 再生可能エネルギーと連系した定置型の蓄電池を設置している
  5. 一定のヒートアイランド対策を講じている(壁面緑化、日射反射率の高い外壁塗装など)
  6. 住宅の劣化の軽減に資する措置を講じている(劣化対策等級3に該当)
  7. 木造住宅または木造建築物である
  8. 高炉セメントまたはフライアッシュセメントを構造耐力上、主要な部分に使用している
  1. 節水に資する機器を設置している(便器・水栓・食洗機)
  2. 雨水、井戸水または雑排水の利用のための設備を設置している
  3. HEMSまたはBELSを設置している
  4. 再生可能エネルギーと連系した定置型の蓄電池を設置している
  5. 一定のヒートアイランド対策を講じている(壁面緑化、日射反射率の高い外壁塗装など)
  6. 住宅の劣化の軽減に資する措置を講じている(劣化対策等級3に該当)
  7. 木造住宅または木造建築物である
  8. 高炉セメントまたはフライアッシュセメントを構造耐力上、主要な部分に使用している
  9. V2H充放電設備を設置している

V2H充放電設備とは、「建物から電気自動車に電気を供給」もしくは、「電気自動車や設備から建物に電気を供給」ができる設備です。

1-5.選択項目が2項目以上から1項目以上に

前述で紹介したとおり、新基準では9個の選択項目があります。そのうち、低炭素住宅の認定を受けるためには1項目以上の措置を講じなくてはいけません。

旧基準 新基準
低炭素住宅化に資する措置を2項目以上講じること 低炭素住宅化に資する措置を1項目以上講じること

旧基準と比べると選択項目の数は減りましたが、再生可能エネルギーの導入や住宅性能の基準の向上が求められていますので、以前よりも低炭素住宅の認定ハードルは高くなったと言えます。

まとめ

2022年10月に施行が予定されている認定基準の改正によって、低炭素住宅の導入ハードルは高くなります。とくに、ZEH水準の住宅性能・再生可能エネルギーの導入で設備投資がかさみ建築コストに影響するでしょう。

ただし、今回の改正で今までバラバラだった「ZEH」「低炭素住宅」「長期優良住宅」の認定基準がZEH水準に統一されます。高い性能を有した住宅のストックが増えることで、カーボンニュートラル実現に向けて加速していくでしょう。

今後はさらにZEH水準の住宅が当たり前になります。導入ハードルはあがりましたが、新基準の低炭素住宅は価値の高い住宅です。トータルバランスを鑑みたうえで検討しましょう。

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