土地活用は4つのタイプで22種類!それぞれの種類と特徴を徹底比較

土地活用は4つのタイプで22種類!それぞれの種類と特徴を徹底比較土地活用は4つのタイプで22種類!それぞれの種類と特徴を徹底比較

土地活用を検討している方は、大きく以下の3つに分かれるのではないでしょうか。
「土地をすでにお持ちの方」
「土地をいずれ相続して持つことになる方」
「土地の購入を検討している方」
どの場合も所有した土地を無駄にせず、有効活用したいと考えているに違いありません。

もし、あなたが土地活用を検討しているなら、どのような活用方法を考えるでしょうか。
アパート・マンションの賃貸経営や駐車場経営など、建物や土地を貸して収入を得る方法がすぐ頭に浮かんだと思います。

しかし、土地活用の方法は種類がいくつも存在します。そして、ただ単に土地活用の種類だけ理解していても、経営は成功はしません。それぞれの特徴やメリット・デメリット、重要なポイントもあわせて理解しましょう。

■土地活用を成功させるための3つのポイント

  • 土地活用はどのような種類があるか
  • 所有している土地の最善な活用方法は何か
  • 土地活用は何を基準に選ぶべきか

土地活用を検討している方が見落としがちなのは、所有している土地を理解していないということです。所有地の特性を理解していなければ、土地活用をするにも最善な方法は見つかりません。

あなたの土地活用が成功するか否かは前述した3つをどのように理解しているかで変わってきます。本記事の内容を参考に、あなたの納得する土地活用の方法を導き出してください。

1.土地活用の種類について

それでは、どのような土地活用の種類があるのか、順を追って説明していきます。
まずは、下図の土地活用の種類を確認してみて下さい。

活用方法 土地活用の種類
自己活用 賃貸住宅経営 アパート経営
マンション経営
戸建賃貸経営
オフィス経営
駐車場経営
トランクルーム
太陽光発電
ホテル経営
保育施設経営
物流施設経営
資材置き場
商業系施設経営 コンビニ
ロードサイド店舗
医療系施設経営 クリニック
介護系施設経営 老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅
デイサービス・ショートステイ
グループホーム
売る 売却
貸す 定期借地
共同活用 等価交換
土地信託

上図のように、土地活用は大まかに分けると「自己活用」「売る」「貸す」「共同活用」の4つの方法に分類されます。
さらに細かくすると22種類の土地活用方法があるため、活用方法をどうしたらいいのか迷われることでしょう。
そこで今回は、ご自身に合った土地活用の方法とは何かをこれから理解していきましょう。

1-1.アパート経営

多くの人が土地活用の種類といったら、真っ先に思い浮かぶのがアパート経営でしょう。
所有する土地に賃貸アパートを建築し、入居者へ賃貸することで賃料収入を得るかたちの土地活用を賃貸住宅経営と呼びます。その1つとしてアパート経営は位置づけられます。

長期的に安定収入が得られる、相続税や固定資産税の節税対策になる等の理由から土地活用の中で人気は高いです。また、比較的どのような土地にも対応可能であるのが魅力的です。
ただ、アパートを建築するには、多額の初期投資費用が必要になるため、費用を潤沢に用意できない人にはおすすめ出来ません。しかし、建築費や諸経費などの初期費用に関しては企業により様々であると理解して下さい。

例えばハウスメーカー、工務店、建築会社、設計事務所など、どこの会社に頼むのか。建築構造は木造か軽量鉄骨造で何階建てにするのか。間取りや部屋数、土地のエリアにより建築する際の坪単価なども違いはあります。

また、アパートを建てる場合は、立地条件にもよりますが最低でもおおよそ50坪以上は必要になってきます。

メリット
  • 長期的に安定した家賃収入を得られる(地価が高く人気エリアであれば特に)
  • 固定資産税及び相続税の節税対策になる(土地の固定資産税1/6、都市計画税は1/3、建物部分の固定資産税は3年間1/2になる)
デメリット
  • 建築費や諸経費などの初期費用が必要
  • 空室のリスク、土地価格の下落の際に賃料の見直しといったリスクがある
  • 管理費や修繕費などの費用がかかる

1-2.マンション経営

土地活用の種類であがるマンション経営は、区分所有のマンション経営ではなく、所有している土地に1棟マンションを建築することを指します。
アパート経営と並んで土地活用といえばマンション経営も思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。

ただ、マンションとアパートの明確な違いは定義されていないため、不動産会社などによっては建物の建築構造を基準に区別していることが多いです。

アパートが木造や軽量鉄骨造で建てられるのに対し、マンションの場合は重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)で建築されるため、建築コストがアパートに比べ高額になります。

しかし、アパートよりも遮音性に優れ、設備面やセキュリティー面の充実により賃料を高く設定できます。
また、建物の法定耐久年数により融資期間を長く設定できるため、余裕を持ったキャッシュフローの計画が立てられます。

メリット
  • アパート経営よりも賃料を高く設定できる
  • 固定資産税及び相続税の節税対策になる(土地の固定資産税1/6、都市計画税は1/3、建物部分の固定資産税は3年間1/2になる)
デメリット
  • アパート経営よりも建築費や諸経費などの初期費用が高額になる
  • 空室のリスク、土地価格の下落の際に賃料の見直しといったリスクがある
  • 管理費や修繕費などの費用がかかる
  • アパートを建てるよりも広い土地が必要

1-3.戸建賃貸経営

アパートやマンションに比べ建築費などの初期費用が抑えられ、小規模な土地でも建築が可能なため、近年人気になりつつある賃貸住宅経営の1つです。
戸建賃貸は30坪あれば建築は可能なため、狭小地でも建てられます。
※例外もあり15坪で戸建賃貸を建てたというケースもあるので、業者に立地条件や予算の都合で相談してください。

また、アパート・マンション経営と同様に、相続税や固定資産税の節税対策も期待できます。

メリット
  • 狭い土地を有効活用可能、また収入も得られる
  • 固定資産税及び相続税の節税対策になる(土地の固定資産税1/6、都市計画税は1/3、建物部分の固定資産税は3年間1/2になる)
デメリット
  • 空室の際に家賃収入の減少が大きい
  • 隣人トラブルがあった際の対応
  • リフォームの際の費用がかかる

1-4.オフィス経営

オフィス経営とは所有する土地にオフィスビルを建築し、入居する企業やテナントから家賃収入を得る方法の土地活用です。

運営方法は、初期費用は自己負担で管理・運営を不動産業者に委託する「自己経営方式」、不動産業者に一括借り上げをしてもらい賃料保証してもらう「一括借上方法」、初期費用ゼロで土地を運営事業者へ定地借地する「事業用定地借地方式」の3種類あります。

初期投資額は高額になりますが、アパート経営・マンション経営と比べ、内装費や設備が最低限に抑えられるだけでなく、家賃設定も高く設定できるため、短い期間で投資額を回収できるのがオフィス経営の魅力です。
建築する場合は、最低でも70坪は必要になります。

メリット
  • 高い収益が見込める
  • 相続税・所得税など節税対策になる
デメリット
  • 建築費や融資などの初期費用が必要
  • テナントが撤退した際の収入の減少が大きい

1-5.駐車場経営

初期費用が少なく、小規模な土地で有効活用できる人気の土地活用の1つです。
自分の土地に、車が駐車できる大きさに合わせて駐車区画割りし、区画毎に利用者へ賃貸する事を駐車場経営と呼びます。

駐車場経営には大きく分けて「月極駐車場」と「コインパーキング」の2種類あり、運営方法としては4種類あります。

月極駐車場の場合、初期費用は自己負担になりますが、不動産業者に管理委託をする「管理委託方法」と、不動産業者に一括借り上げをしてもらい賃料保証してもらう「一括借上方法」があります。
コインパーキングの場合、初期費用は自己負担で管理・運営を業者に委託する「自己経営方式」と、初期費用ゼロで業者に土地を貸して固定賃料収入を得られる「土地賃貸方式」があります。

また、駐車場の区画で必要な面積は、乗用車1台あたり約7坪です。

メリット
  • 少ない初期投資で比較的簡単に始められる
  • 狭い土地を有効活用可能、相続税対策にもなる
  • 短期間でも可能、将来売却もしくは他の土地活用など転用しやすい
デメリット
  • 収入が少なく、収益性があまりない
  • 固定資産税・都市計画税の税制優遇がほとんどない

1-6.トランクルーム経営

初期費用が安く、将来は他の土地活用に転用も可能という点から、近年人気になりつつある土地活用の1つです。
土地の一部を収納スペースとして提供し、その収納スペースに対しての賃料を得る仕組みの事をトランクルーム経営と呼びます。

トランクルーム経営には、トランクルーム業者と共同で自分の土地にコンテナを用いた施設を建築する「コンテナ型」、あるいは建物の一部を収納スペースとして区分して、一般の利用者へ収納スペースとして貸し出す「スペース型」の2種類あります。

また、運営方法には3種類あります。
初期費用は自己負担で、コンテナ施設や建物を土地に建築しトランクルーム業者に一部借上げで賃貸してもらう「リースバック方式」、設備投資と経営を自己負担で行い、集客や管理のみトランクルーム業者へ委託する「業務委託方式」、初期費用ゼロで土地をトランクルーム業者へ定地借地する「事業用定地借地方式」です。

トランクルーム建築の際にはコンテナ1基置くのに6坪は必要になります。
また、運営するにあたり一般的にはコンテナが6基置ける50坪の広さは必要となります。
コンテナは1基80万円であり、初期費用は480万円~800万円が目安になります。

メリット
  • 少ない初期投資で始められ、収益も見込める
  • 短期間でも可能、将来売却もしくは他の土地活用など転用もできる
  • 住環境が悪くても活用が出来る
デメリット
  • 固定資産税・都市計画税・相続税などの税制優遇がない
  • 景観の観点から、近隣住民の反対が起こる場合もある

1-7.太陽光発電

太陽光発電とは、土地や建物の屋根などにソーラーパネルを設置し、太陽光によって生産された電気を電力会社に販売する方法で、一時期最も人気が高かった土地活用の1つです。今では、補助金制度の終了と売電価格の低下などの理由から、少し人気は落ち着いてきています。

しかし、2012年の法律で定められた「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」により、設置したソーラーパネルの発電電気は20年間保証される固定価格で買い取りされ、10年で初期投資が回収でき、それ以降の売上はすべて純利益になるという理由から今でも人気は高くあります。

太陽光発電で経営していく場合、ソーラーパネルの設置を考えると最低でも50坪ないと20KWの電気を生産できません。また、発電パネルの枚数や価格によって異なりますが、設置にかかる初期費用の負担額が大きくなります。
しかし、発電パネルは頑丈にできているため、定期メンテナンスの頻度は低く、修繕にかかる費用負担は軽減できます。

メリット
  • 経年劣化が緩やかで長持ちしやすい
  • 空室を気にせず長期的な安定収入が得られる
  • ランニングコストがかからず、メンテナンスの手間が不必要である
デメリット
  • 売電価格は減少傾向にある
  • 初期費用の負担額が大きい
  • 日照をさえぎる障害物が建築されると発電量が減り、収入が減る

1-8.ホテル経営

観光地や交通の便が良いターミナル駅周辺などの場所に土地を所有しているのであれば、「観光ホテル」「ビジネスホテル」のホテル経営もおすすめです。

観光ホテルはその名の通り、観光名所や温泉街など休暇を利用して訪れる観光客をターゲットとしたホテルです。
部屋数な庭園など宿泊施設の充実性が求められるので、広大な土地が必要になります。

ビジネスホテルは、ビジネスマンが出張先などで利用するホテルで、土地の広さは観光ホテルに比べ狭くても建築できます。
オフィス街や企業の研修スペースがあるような場所や、ビジネスマンの利用頻度が高いターミナル駅周辺などの立地が必要です。

メリット
  • 高い収益が見込める
  • 耐用年数が長く、長期安定した収入が見込める
デメリット
  • ホテル事業者が活用できる土地と判断しなければならない
  • 十分な土地の広さや立地が必要
  • 所有者が建築する場合は建築コストが高額になる

1-9.保育施設経営

待機児童問題で注目されている新たな土地活用方法の1つが保育施設経営です。
東京都や神奈川県といった大都市圏では需要やニーズがあり、社会貢献できる活用方法になります。

経営といっても土地オーナーが経営するのではなく、運営会社が間に入り保育園の運営を行うので、土地の所有者は保育園を建築して建物を貸し出して賃料で収入を得ます。
貸し出す際の賃料は低いものの、一般的な契約期間は20年以上になることが多く、長期安定した収入が見込めます。

また、自治体の建築許可がおりれば市街化調整区域でも建築が可能になります。
しかし、一定基準の条件を満たさなければならず、土地の広さは100坪以上、建物の延べ床面積は130坪以上が必要とされており、安全性の観点から2方向以上に出入口が確保できる必要があります。

メリット
  • 自治体からの補助金が出る場合がある
  • 自治体の許可がおりれば市街化調整区域でも可能
  • 地域社会に貢献できる
  • 長期安定した収入が見込める
デメリット
  • 自治体の審査・調査による建築許可がおりなければ建築できない
  • 十分な土地の広さが必要
  • 安全確保ができる土地でなければ建築できない

1-10.物流施設経営

CRE戦略の一環として物流施設を考える企業が増加傾向にあります。
CRE戦略とは、「企業の保有している不動産をブランドイメージ向上のために活用する企業戦略」のことを指し、通販サイトの利用率増加により、様々な業種の企業が物流を強化した経営に取り組んでいます。

そこで、広大な土地の所有者が物流施設の事業主に事業用地として土地を貸し出すか、土地の所有者が物流施設を建築して、サブリース会社にテナント募集や管理委託する運用方法が注目されています。

メリット
  • 企業へ貸し出すため賃料回収や管理トラブルがほとんどない
  • 居住に向かないような土地でも活用できる
  • 長期安定した収入が見込める
デメリット
  • 十分な土地の広さが必要
  • 借り手の企業を見つけるのが困難
  • 所有者が物流施設を建築する場合は建築コストが高額になる

1-11.資材置き場

建物の建築が不要な資材置き場は、初期費用が殆どかからず手軽な活用方法の一つです。

トランクルームとは違い、建物を建てる必要がないため、市街化調整区域でも活用が可能で、土地の広さや形状に縛られることなく、整地も最低限で始められます。

ただし、所有地近辺で資材置き場が必要としている企業がいなくては、貸し出すことができないため借り手を見つけるのに苦労しますし、他の土地活用と比べ賃料が低く大きな利益は得られません。

また、固定資産税・都市計画税の税制優遇がほとんどないため、節税対策目的の土地活用としては不向きになります。

メリット
  • 少ない初期投資で比較的簡単に始められる
  • 狭小地でも可能
  • 市街化調整区域でも可能
デメリット
  • 需要が低く借り手が見つかりにくい
  • 収入が少なく、収益性があまりない
  • 固定資産税・都市計画税の税制優遇がほとんどない

1-12.商業系施設経営

商業系施設経営とは、所有地にコンビニや飲食店・衣料店などの店舗運営を行っている事業者と共同で店舗や商業施設を開発して出店する土地活用であり、住宅街や郊外のロードサイドなど、業態次第で多くの可能性がある人気の土地活用の1つです。

運営方法は2種類であり、初期費用は自己負担で土地に商業施設を建築し運営業者に一部借上げで賃貸してもらう「リースバック方式」か、初期費用ゼロで土地を運営業者へ定地借地する「事業用定地借地方式」があり、一般的な運営方法は後者になります。

立地条件により収益が左右されますが、人口が多いエリアであれば繁盛する可能性があります。小規模~大規模な商業施設も土地によりますが建設可能で、最低でも100坪以上ないと難しいでしょう。

メリット
  • 立地により様々な業態のテナントが対応できる
  • 初期費用や管理費用はテナントが負担してくれることが多い
  • 高い収益が見込める
デメリット
  • テナントが撤退した際の収入の減少が大きい
  • テナントにあわせた建物を建設している場合、別のテナントにする際は全面改修が必要
  • 他の土地活用に転用しづらい

1-13.医療系施設経営

医療系施設経営とは、所有する土地に医療関係の事業者と共同でクリニック・医院などの診察所や病院を開設する土地活用を指します。
住宅供給が過剰になっており診療圏内に需要があるエリア程、医療施設への高い需要が見込めるため社会貢献度も高い土地活用といえます。

規模が小さい場合、初期費用は自己負担で土地に医療施設を建築し医療法人に一部借上げで賃貸してもらう「リースバック方式」、規模が大きい場合は初期費用ゼロで土地を医療法人へ定地借地する「事業用定地借地方式」が一般的な運営方法です。

小規模なクリニックな場合でも70坪~、大規模な病院や医療施設の場合は100坪~必要になります。

メリット
  • 安定した収入が得られる
  • 地域社会に貢献できる。
デメリット
  • 広い土地が必要
  • 開業医・医療法人を探すのが大変

1-14.介護系施設経営

介護系施設経営とは、高齢者の人口が多い地域や介護の需要と供給のバランスが取れておらず、施設が不足しているエリアに、介護事業者と共同で介護施設を経営する土地活用であり、現代の高齢化社会を象徴してニーズが高まってきています。
実際に介護施設への入居待ちの高齢者の人数が、30万人以上いるとも言われています。

介護施設経営には大きく分けると「公的施設」か「民間施設」の2種類あります。
それぞれ介護施設の種類も多く存在し、運営方法も違います。

「公的施設」の場合、初期費用ゼロで介護事業者や社会福祉法人へ土地を貸し、介護施設を建築してもらう「定置借地方式」であり、「民間施設」の場合は初期費用を自己負担し、建築した介護施設を介護事業者や社会福祉法人へ一部借上げして賃貸してもらう「リースバック方式」が一般的です。

建築するにあたり小規模のデイサービスで最低でも70坪~であり、グループホーム、住宅介護、ショートステイの場合は最低でも150~200坪は必要です。その他の老人ホームに関しては600坪の面積が必要となります。

メリット
  • 需要が高く空室リスクも少ないため、安定した収入が得られる
  • 一定条件をクリアすると、補助金や税制優遇が受けられる
  • 地域社会に貢献できる。
デメリット
  • 広い土地が必要
  • 管理費や修繕費などが継続的にかかる
  • 介護士が不足しているため運営するにあたりリスクは高い
  • 国の制度改正などにより補助金が増減するおそれがある

1-15.売却

土地をそのまま活⽤しても十分な収益を得られそうもない場合、すぐに活⽤方法を決めることができない場合、相続税の負担に耐え切れない場合に、自分で土地を活用するのではなく売却して換金化してしまうという土地活用の方法もあります。

売却の場合は土地を測量し、購入者を見つけて売買契約を結び、所有権移転登記をして引渡すという作業が必要になるため、専門的な知識のある不動産会社に頼むのが一般的です。
売買の金額により支払う手数料も変わりますが、仲介手数料の計算方法は以下の通りです。

仲介手数料の上限額=『取引額の3%+6万円+消費税』

メリット
  • 一時的に収入が得られる
  • 固定資産税や税金の支払いをしなくて済む
デメリット
  • 譲渡所得税がかかる

1-16.定期借地

定期借地とは、自分の持つ所有地を店舗や賃貸住宅、商業施設や医療系施設などの幅広いジャンルの運営事業者に10年〜50年程度の長期間に及び土地を貸し出しする事によって、安定した地代収入を得る形の土地活用を言います。

長期間土地を活用する予定がない方にとっては、初期費用もかからず土地を収益化できるため魅力的な土地活用です。また、契約満了時には建物を取り壊し更地で返還される事が一般的です。

ただし、定置借地をする際には借地借家法により以下の3種類の「定期借地権」が存在し、それぞれの内容に違いがあるため契約する際には注意が必要です。

「事業用定期借地権」は、契約期間が最低10年以上50年未満で原則更地返還が必須であり、事業用のみの建築が可能です。
「一般定期借地権」は、契約期間が最低50年以上で原則更地返還が必須であり、建築する際に制限はありません。また、いずれも契約を取り交わす際は公正証書が必要になります。
「建物譲渡特約付借地権」は契約期間が最低30年以上で建築に制限はありませんが、期間満了時に土地所有者が建物を買取ることで借地関係が消滅する形になります。契約する際は事実上書面で問題はありません。

メリット
  • 最後には手元に土地が返ってくる
  • 初期費用が必要なく長期的に安定した収入が得られる
デメリット
  • 物価上昇による土地の高騰があった場合、契約期間中に土地の賃料を変更できない
  • 条件の合う運営事業者を探すのが大変

1-17.等価交換

等価交換とは、土地オーナーが土地を、デベロッパー等の事業者が建築費を出資して、その土地の上に共同で建物を建築して事業化する土地活用です。それぞれの出資割合によって完成した建物と土地の区分所有権を分配して取得します。

資金力のあるデベロッパー等の事業者を探す事が出来れば、土地オーナーは土地を提供するだけで企画・建築・売却まで全て行ってくれるので魅力的な土地活用の一つでしょう。
しかし、土地の立地条件が必要不可欠であるため、お互いに条件に合う場合に限られます。

立地条件でいえば、大規模な建物が建てられる、幹線道路沿いの土地があるという場合が特に有効的です。

メリット
  • 自分で投資をしなくても、土地の収益性を最大化できる
  • 事業化することで価値が増して高値で売却できる可能性がある
デメリット
  • 区分所有となるためすべて自分の自由ではない
  • 条件の合う運営事業者を探すのが大変

1-18.土地信託

土地信託とは、所有地を土地運用のプロである信託銀行等の信託会社に預けて事業化してもらい、利益が出たら発生した経費や信託報酬である手数料を覗いた金額を受け取る仕組みの土地活用です。

預ける際にもちろん土地信託するのにふさわしいのかどうかという厳しい審査があり、審査をクリアする必要があります。プロの目線から判断されるため、審査に通るかどうかが判断基準と言えます。

また、運営経費や信託会社への報酬以上に利益が出るのかどうかは、任せる信託会社の腕次第ですので、注意が必要です。お互いに条件が合えば、土地運用のプロにお任せできるため知識や手間も不要で、手軽に始められる非常に魅力的な土地活用の一つです。

メリット
  • 自分で投資をしなくても、土地の収益性を最大化できる
  • 土地活用のプロに任せられる
  • 最後には手元に土地と建物が返ってくる
デメリット
  • 土地信託できる土地かどうかの厳しい審査に通らなければいけない
  • 信託会社次第で収益に差が出る

2.土地の種類と用途地域について

次に、土地の種類について説明していきます。あなたのお持ちの土地がどの種類にあたるのか、まずはそれを知る事が土地活用をする際に重要です。
こちらも、順を追って解説していきますので理解を深めて下さい。

2-1.用途地域

用途地域とは、建築基準法により定められた基準に従い建てられる建物を制限するルールの事を言います。
土地活用をする際にそのルールを守る必要があるため理解が必要です。

種類としては、住宅地域8種、商業地域2種、工業地域3種の計13種類あります。

用途地域の一覧出典:国土交通省|用途地域

2-2.市街化区域

市街化区域とは、都市計画法の定義で「すでに市街地を形成している区域および概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」とされています。

そもそも都市計画法が設定された背景には、生活環境をより良くし、秩序ある都市環境及び開発を目指すという理由からです。そのルール化された都市計画法に基づいた地域として「都市計画区域」が設定され、その中に「市街化区域」と「市街化調整区域」が該当します。

都市計画区域として指定された区域のなかで、既に市街地になっている区域や公共施設の整備を行うことにより積極的に整備・開発していく区域として区分されたのが「市街化区域」です。

ただし、市街化区域ではさらにその利用目的に応じて、建築可能な建物が制限されています。
用途地域を定め、土地利用の内容を規制する事が義務付けられています。それが先程ご説明した用途地域の事です。

つまり、市街化区域の中でより細かくルール化されたものが用途地域であり、そのルールに従っていれば土地活用はいずれも可能です。

2-3.市街化調整区域

市街化調整区域とは、都市計画法の定義で「市街化を抑制すべき区域」とされています。

この区域では、原則として宅地の造成や建築物の建築を制限しており都市施設の整備も原則として行われない事を前提とされています。つまり、新たに建築物の建築や増築することを極力抑える地域となります。

「市街化調整区域」では市街化を抑制する定義付けのため、原則として建築を前提としてルール化された用途地域を定めてはいません。

ただし、公的な施設および公的機関による土地区画整理事業や一定規模までの農林水産業施設などによる整備等は可能です。

市街化調整区域での土地活用の方法は2つあります。

  • 建物の建築をせずに土地活用を行う
  • 役所や自治体に協議して特別に建築許可を受けて土地活用を行う

また、その際に下記の3つの条件のうちいずれかをクリアしなければ認められません。

①周辺に住む人たちの生活に必要になる建物

②地域の産業発達に必要な建物

③土地の持ち主が自分で使うために建てる建物

まず、①の場合で有効なのは駐車場経営、太陽光発電、資材置き場です。いずれも建築する際に建物ではないため土地活用は可能です。しかし、一つ注意して欲しいのは資材置き場とトランクルーム経営は違います。トランクルームの場合はコンテナを建築しなければいけませんが、市街化調整区域ではコンテナは建築できないためです。

次に、②の場合で有効なのは高齢者施設、社会福祉施設、医療施設、墓地です。介護系施設や医療系施設は生活において必要なものなであり、ニーズも高い土地活用です。
その中で珍しい土地活用としてあがるのは墓地になります。初期費用もかからず霊園業者に土地を貸して霊園業者が霊園を整備する形の土地活用であり、生活面においてニーズも増えてきているため、少しずつ事例が出てきています。

つまり、市街化調整区域での土地活用は限定されており、上記の条件をクリアしなければ、土地活用は出来ないという事を理解しておきましょう。

3.土地活用の選ぶ基準について

それでは、最後に土地活用を始めるにあたり何を基準にして選べば良いのか、その基準について考えていきましょう。

活用方法 土地活用の種類 費用 収益 リスク
自己活用 賃貸住宅経営 アパート経営
マンション経営 ×
戸建賃貸経営
オフィス経営 ×
駐車場経営
トランクルーム
太陽光発電
ホテル経営 ×
保育施設経営
物流施設経営 ×
資材置き場 ×
商業系施設経営 コンビニ
ロードサイド店舗
医療系施設経営 クリニック
介護系施設経営 老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅
デイサービス・ショートステイ
グループホーム
売る 売却
貸す 定期借地
共同活用 等価交換
土地信託

土地活用を考える上で費用、収益、リスクについて考える方が多いのではないでしょうか。
そこで、今まで説明してきた土地活用の種類と、それぞれの費用、収益、リスクについて、一つずつ順を追って比較していきますので、あなたが何を基準に選ぶのかご自身で考えてみて下さい。

きっと、今までの土地活用の種類、土地の種類、土地活用を選ぶ基準について理解できればあなたに合う土地活用が必ず見つかる筈です。

3-1.費用

初期費用が少なく始められる土地活用でいえば、駐車場経営・トランクルーム経営、あがります。100万前後で土地活用が始められるので手軽に始められるでしょう。

また、商業系施設経営・医療系施設経営・介護系施設経営・等価交換・土地信託・定期借地も運営業者が見付かり、お互いに条件が合う場合は、初期費用がゼロで土地を貸す事により土地活用が可能です。しかし、その条件をすべての方がクリアできるとは限りません。

そういった意味でいえば、費用もかからず手軽な土地活用は売却と言えます。

しかし、長期的に考えるとどうでしょう。
たとえば、アパート経営・マンション経営・戸建賃貸経営など初期費用はかかりますが、ローンを組んで長期的に返却できると考えれば、もしかしたら初期費用としては妥当かもしれません。

このように短期的な費用を考えるのか、長期的に考えるのかで結論は違ってきますので、いくつか検討してご自身にあった費用を考えてみましょう。

3-2.収益

土地活用をするからには、収益は必ず意識するでしょう。
収益は「収入−費用」になるため、費用と収益は比例して考える方も少なくありません。
費用は建築費だけでなく、維持費、修繕費、税金などにも及びます。

部屋数が多いマンション経営は、毎月の賃貸料を高くする事もでき、オフィス経営は、費用がかかりますが、その分収入は多く得られるでしょう。また、商業施設の中でも住宅街や郊外のロードサイドは人気の立地であれば収入も見込めるといえるでしょう。

介護施設もニーズが非常に高く、今後も高齢化社会のため入居者が見込めるので高収入が得られると思います。その分施設の維持費、修繕費、介護のスタッフの確保などの問題は備えています。

収益が多い分、費用や条件などが付随しますが、そちらも含めて一度考えると良いでしょう。

3-3.リスク

土地活用のリスクを考える上で、重要なのは将来的な変化を予測する事です。

たとえば、リスクが高い可能性があるアパート経営・マンション経営の場合は満室がずっと続くわけではなく、いずれは空室で悩まされるでしょう。
その際にもっとも気にするべきなのは、その地域に住む人達の属性が変わる可能性があるか、周辺環境の変化によって、所有物件の近くに競合になり得るアパートやマンションが建築されないか、といったリスクを考える必要があります。

また、定期借地や土地信託なども長期的に貸し出す事で、土地の価格に変動があった際には収益に影響が出る可能性もあります。

このように目先のリスクだけでなく、将来のリスクを考えて土地活用を始めなければ、後々失敗してしまう可能性があります。
もちろん起こりうる可能性をすべて予測する事は不可能ですが、仮にそのような状況に陥ったとしても、準備しておけるか否かで、リスク回避に繋がることでしょう。

それ以外の土地活用においては比較的リスクは少ないですが、それでも何か問題があった際はどう対応するべきなのかを考えて土地活用する事をおすすめします。

まとめ

今回は、土地活用を検討するにあたり土地活用の種類、土地の種類、土地活用を選ぶ基準について、解説しており、それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解できたと思います。

それぞれ比較した事で、改めて理解が深まり、あなたのお持ちの土地についても、土地活用についても、今まで以上に興味を示して頂いたのであれば幸いです。

あなたが土地を最大限有効活用する土地活用が出来るかどうかは、土地活用の種類、土地の種類、土地活用を選ぶ基準について、どれだけ理解したかどうかで変わると言っても過言ではありません。
是非とも、あなたが納得する土地活用の答えを、あなた自身で導き出して下さい。

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