【司法書士がわかりやすく解説】2024年4月1日から施行する相続登記の申請義務化による4つの注意点

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【司法書士がわかりやすく解説】2024年4月1日から施行する相続登記の申請義務化による4つの注意点【司法書士がわかりやすく解説】2024年4月1日から施行する相続登記の申請義務化による4つの注意点

親の不動産を相続するときに発生する相続登記。所有者が不明の土地が増えて社会問題化したことから2024年の4月から相続登記の申請が義務化されます。

今後起こりうる相続に備えて、今からできる準備を整えておきたいものです。

そこで本記事では、相続登記が義務化される理由から注意点や申請の流れを解説します。

この記事で学べるコト

  • 相続登記が申請義務化される理由がわかる
  • いつから義務化されるかわかる
  • 注意しておくポイントがわかる
  • 相続登記を申請する流れがわかる

1.相続登記の申請義務化のポイントを司法書士が徹底解説

相続登記の申請義務化のポイントを司法書士が徹底解説

相続登記の申請義務化について理解を深めるために、まずは義務化される背景とスケジュールについてみていきましょう。

1-1.相続登記の申請義務化が始まる理由

相続登記の義務化が始まる理由としては所有者不明土地問題があげられます。所有者不明土地問題という言葉を何となく聞いたことがあると思いますが、とくにクローズアップされたのは東日本大震災後の復興時です。

復興事業の用地を取得するのに必要な土地の権利関係の調査をした結果、じつに30%の土地が長年、相続登記されておらず所有者が不明なままでした。そのため、必要な土地を確保できない問題が表面化したことで、相続登記の義務化を加速させました。

このように、相続人の探索が難航して所有者が不明によって土地利用の妨げとなるケースは東日本大震災の前から公共事業の用地を取得するときなど、たびたび問題になっていたのです。

一般的に相続登記とは、所有者が亡くなった場合に相続人に名義変更をすることを指します。名義変更するには相続人を確定させなくてはいけません。しかし、プラスの財産だけでなく、資産価値が無いにもかかわらず管理費がかかるような土地も存在します。そのため、相続したくないと思うマインドが働くケースもあるでしょう。

このように、何世代にもわたって相続登記をせずに、気が付けば代々相続人が膨れ上がり結果として100人以上の相続人関係者になってしまうことも多々あります。

相続人が膨れ上がってしまっては、海外で居住している人や所在が不明な人も出てきてしまうため、相続人全員を確定させるのは非常に困難です。以上の理由から国は2018年から本格的に所有者不明土地問題の対策を始めました。

1-2.相続登記の申請義務化の施行スケジュール

相続登記の申請義務化は、2024年4月1日から開始されます。

2021年2月10日に法制審議会民法・不動産登記法部会において民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案が決定し、同年の4月21日に国会で成立しました。そして、相続登記の義務化は2024年の4月1日から施行されることが決まりました。

参考:法務省「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案

2.相続登記の申請義務化にともなう4つの注意点

相続登記の申請義務化にともなう4つの注意点

相続登記が義務化されるにあたり、注意したい点は次の4つです。

  • 相続した財産に対する登記申請は相続人が行う必要がある
  • 相続登記を行わないと相続財産を活用できないことがある
  • 相続登記は相続が発生した日から3年以内という申請期限がある
  • 遺言書や遺産分割協議書などの書類が必要になる場合がある

上記、4つの注意点について詳しく解説します。

2-1.相続した財産に対する登記申請は相続人が行う必要がある

相続登記は一部の例外はありますが、相続人が相続登記を行うのが通常です。

所有者がお亡くなりになられた場合、自動的に名義変更することはありません。相続人が自主的に名義を変更する必要があります。

2-2.相続登記を行わないと相続財産を活用できないことがある

今までの制度では自宅を相続した際、相続登記をしなくても私生活で困ることはありませんでした。しかし、相続した自宅を売却するときや自宅を担保に金融機関から融資を受けるなど、相続登記をしていないと取り扱って貰えません。とくに手元資金の用意が急を要する場合など、相続登記をしてないが故に困ってしまうケースが発生してしまいます。

また、賃貸アパートなどを相続したときには、貸主が登記上の所有者になっていないと不動産会社が賃借人の募集をしてくれないケースもあるので、相続登記をしないとどこかで不都合が出てしまうことも注意が必要です。

2-3.相続登記は相続が発生した日から3年以内という申請期限がある

2024年4月1日から開始する相続登記の義務化については、施行日以降に相続が発生したら基本的に相続発生から3年以内に相続登記をする義務が相続人に課されます。

過去の相続案件に関しても相続登記未了の場合には施工日から3年以内に過去の相続案件も相続登記をする必要があること」「期限内に相続登記をしないと10万円以下の過料に課されてしまうこと」の2点についても注意が必要です。

3年という期間を短いと考えるか長いと考えるかはそれぞれかと思います。しかし、遺言書がない場合は、遺産を相続人へどのように分配するかを決めるために相続人全員で遺産分割協議をしなくてはいけません。

そのため、相続人のあいだで遺産の取り分でもめてしまう場合、調停やその後の裁判で相続分を確定させる必要があり、かなりの期間を必要としますので注意しましょう。

2-4.遺言書や遺産分割協議書などの書類が必要になる場合がある

遺言書があれば遺産分割協議をする必要がないため、故人の意思にしたがって遺産を分けることになります。しかし、遺言書がない場合は全員で遺産分割協議をしなくてはいけません。特定の1人が自宅を相続するときには遺言書か遺産分割協議書が必要です。

また、遺言書や遺産分割協議書がない場合は、法定相続分にしたがって相続人全員の共有財産として登記をすることもできます。

3.相続登記を申請するための4ステップ

相続登記を申請するための4ステップ

最後に相続登記の義務化にあたり、登記するためのステップを紹介します。相続登記の申請に必要な作業は次の4つです。

  1. 相続人を確定させる
  2. 相続財産を確定させる
  3. 遺産分割協議をする
  4. 相続登記完了後に登記識別情報が発行される

それぞれのステップで何をしなくてはいけないのか詳しくみていきましょう。

3-1.相続人を確定させる

相続登記の入口として、まずは相続人を確定させる必要があります。そのためには、故人の出生から死亡時までの連続した戸籍の収集が必要です。とくに地方からの転籍を繰り返している場合、その都度そのときの本籍地に戸籍を請求する必要があるため、かなりの時間と労力がかかります。

また、昔の戸籍は手書きで縦書きになっていたため解読が難しく、年代によっての戸籍法の違いもあります。出生までさかのぼった戸籍の収集は簡単ではありません。転籍などが多く地方からの転籍がある場合は、専門家に戸籍収集をお願いする方が良いでしょう。

全ての戸籍の収集ができたら相続人が誰であるかの確定をしていきます。

3-2.相続財産を確定させる

次に、故人の相続財産を確定させます。自宅の他にも収益物件や地方の物件を持っているケースも想定されるので、関係者に確認しながら相続財産を確定させていきます。

その他にも預金や株などの有価証券、車や保険など遺産は多岐にわたる場合がありますので、自宅にある資料や郵送物などから遺産を確認していく必要があります。

3-3.遺産分割協議をする

遺言がない場合、全相続人で遺産分割協議をしなくてはいけません。どの財産を誰がどの割合で取得するのかを決めるのが遺産分割協議です。

相続人全員の印鑑証明書を添付のうえ実印での押印が必要です。相続登記をする際には遺産分割協議書のほかに相続人全員の戸籍謄本も必要になるので、事前に準備しておくことをおすすめします。

3-4.相続登記完了後に登記識別情報が発行される

必要書類を添付のうえ相続の対象となる不動産の管轄法務局へ相続登記の申請をすることにより、2週間ほどで名義変更が完了します。名義変更が完了すると新たに名義人となった方へ登記識別情報が発行されます。

これは昔でいうところの権利証になります。再発行のできないとても重要な書類となりますので、ご自宅で大切に保管しましょう。

この登記識別通知は所有者であることの証明書になります。そのため、今後自宅を売却する際や金融期間から融資を受ける際に必要となる重要な書類です。

まとめ

不動産の相続登記で名義変更するためには、登録免許税を支払う必要があります。自身にとってのプラスの財産でない限りはお金をかけてまで名義変更するマインドになりづらい状況もあいまって、何世代にもわたって相続登記が未了の土地が増えてしまいました。

なかには相続人が膨れ上がって100人以上になるケースも出てきてしまっています。そのため、公共事業や復興事業などで大きな障壁となってしまい社会問題化したのが実情です。

それによって2024年4月1日から施行する相続登記義務化につながっております。

不動産を相続された際には過料のかかるリスクも出てきます。そのため、相続登記の申請義務化に向けて今から家族間・親族間で話し合いを始めてみるのが良いでしょう。

司法書士事務所INFeel 代表の鈴木剛様

この記事の執筆者鈴木 剛

千葉県習志野市にある司法書士事務所INFeelの代表。
司法書士のほかに一級建築士や宅地建物取引士の資格を有している。

不動産に関する法律に強く、相続登記・不動産登記などの相談から不動産の計画をサポートするセカンドオピニオンとしても活躍中。

公式ホームページは >> こちら

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