9つの認定項目に適合する措置を講じているため、建物の価値が高く「長く、住まう家」として人気の長期優良住宅ですが、認定制度の見直しが2022年10月より開始されました。この見直しによって、長期優良住宅として認定を受けるための省エネ基準や耐震性などが変更されています。
そこで今回は、新たに改正された認定基準の変更点について詳しく解説します。あわせて、見直しにおける注意点も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
※本記事は、国土交通省の「長期優良住宅法改正概要説明」をもとに執筆しています。執筆時点の内容ですので、今後内容が変更される場合もございます。
「そもそも基礎的な長期優良住宅の知識を身につけたい!」という方は、本記事をお読みいただく前に「長期優良住宅ってどんな家?6つのメリット・4つのデメリットと良い建築会社の見つけ方」をご覧ください。ひと通り目を通した後に本記事を参考にすると理解度が高まります。
この記事で学べるコト
- 2022年10月に改正された長期優良住宅の認定基準がわかる
- 認定基準の見直しによる注意点がわかる
目次
1.【長期優良住宅】認定基準の見直しのポイント4つ
戸建てにおける長期優良住宅は、2022年10月の改正で認定基準が見直されました。大きく見直されたポイントは以下の4つです。
- 一次エネルギー消費量性能はZEH水準の基準が追加される
- 断熱性能はZEH水準の基準に引き上げる
- 耐震等級3の壁量基準が必要になる
- 建築行為なしでも長期優良住宅の認定を受けられる制度が創設
それぞれの見直しのポイントについて詳しく解説します。
1-1.一次エネルギー消費量性能はZEH水準の基準が追加される
2022年9月30日までは、長期優良住宅として認定を受けるのに一次エネルギー消費量性能の基準は定められていませんでした。
しかし2022年10月以降は、一次エネルギー消費量性能の基準が追加され、ZEH水準である一次エネルギー消費量等級6が必要です。
~2022年9月30日まで | 2022年10月1日~ |
---|---|
基準なし | 一次エネルギー消費量等級6 |
1-2.断熱性能はZEH水準の基準に引き上げる
新基準では、断熱性能もZEH水準に引き上がり断熱性能等級5が必要です。
断熱性能の基準が引き上げと前述で紹介した一次エネルギー消費量の基準が追加されたことによって、省エネ性能が強化されています。
これにより、2022年10月からは「長期優良住宅」「ZEH」「低炭素住宅」に求められる省エネ性能の基準が統一され、足並みが揃う形となりました。
~2022年9月30日まで | 2022年10月1日~ |
---|---|
断熱等性能等級4 | 断熱等性能等級5 |
1-3.耐震等級3の壁量基準が必要になる
これまで、長期優良住宅の耐震性は「耐震等級2または耐震等級3」の耐震等級2以上が必要でした。2022年10月からの新しい基準では、耐震等級3が必要です。
省エネ対策によって重たくなった建物の安全性を確保するため、基準が見直されました。
~2022年9月30日まで | 2022年10月1日~ |
---|---|
耐震等級2以上 | 耐震等級3 |
ただし、現段階では、耐震等級3の壁量基準が暫定処置です。
暫定措置の理由は、耐震等級3の壁量基準≒建物の重量化を考慮した耐震等級2の壁量基準と同等数値だからです。近年の住宅は、省エネ化による重量化や広々とした空間の建物が増えているため、建築基準制度のあり方について検討されている背景があります。
そのため、建物の安全性を確保するため、構造安全性の基準が整備される可能性があり、基準が整備された場合には新しい壁量基準に見直されます。
また、太陽光パネルを屋根に設置する場合は、仕様に関わらず重い屋根の壁量基準を満たさなくてはいけませんので注意が必要です。
1-4.建築行為なしでも長期優良住宅の認定を受けられる制度が創設
これまでの制度では、長期優良住宅の認定を取得する際、「新築」もしくは「増改築」の建築行為をしている必要がありましたが、2022年10月の改正によって建築行為を行わなくても、認定を受けられる制度が創設しました。
つまり、中古住宅でも長期優良住宅の認定基準に適合していて、維持保全計画を作成すれば増改築を行わなくても認定される仕組みです。
建物が新築もしくは増改築した期間や維持保全の期間が30年以上であるなど、認定を取得するためにいくつか条件はありますが、後から認定を受けられることで、今後は市場に流通する良質な住宅の数が増加するかもしれません。
2.認定基準の見直しにともなう2つの注意点
長期優良住宅の認定基準の見直しをうけて、注意点を2つ紹介します。
- 補助金・減税制度で必要な長期優良住宅の条件も10月以降は新基準が適用される
- 設備投資にかかる建築コストの上昇
2-1.補助金・減税制度で必要な長期優良住宅の条件も10月以降は新基準が適用される
長期優良住宅を取得する際に条件を満たすことで、国や自治体からさまざまな支援が受けられます。この支援を上手に活用することで、購入費用の負担を軽減できます。2022年は「こどもみらい住宅支援事業」や「住宅ローン減税」など、いくつかの補助金や減税制度があるので覚えておいて損はありません。
最新の補助金や減税制度については「【2022年】新築住宅の購入時に使える最新の補助金・減税制度をまとめて紹介!」で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてください。
制度によっても異なりますが、優遇をうけるために「長期優良住宅」であることが条件のひとつです。2022年10月1日以降に長期優良住宅として認定申請する際には、新基準に適合するのが条件となるので注意が必要です。
ただし、こどもみらい住宅支援事業においては、2022年9月30日まで「長期優良住宅」は80万の補助額でしたが、新基準でZEH水準に引き上げられたことによって最大の補助額である100万が対象です。
2-2.設備投資にかかる建築コストの上昇
新しい認定基準はZEH水準に引きあがっているため、高性能な設備を導入や建物の強度を高めなくてはいけません。以前の認定基準よりも高い住宅性能が求められるため、設備投資に費用がかかり、結果としてトータルの建築コストが上昇します。
現在、ウッドショックや円安の影響で建築資材や住宅設備の原価も高騰しています。さらに高い住宅性能に適合しなくてはならず、建築コストの上昇は建築主にとって大きな負担です。
ただし、新基準はZEH水準の住宅性能に引きあがったため、付加価値が高い住宅であるのは変わりありません。住宅性能が向上したことで、冷暖房効率が上がり光熱費のランニングコストは抑えられます。また、長期優良住宅は維持保全計画がしっかりしているため、メンテナンスコストは一般住宅と比べて軽減できます。
初期投資でコストがかかる分、ランニングコストやメンテナンスコストなどトータルで得られるリターンのバランスを天秤にかけて検討すると良いでしょう。
まとめ
2022年10月の改正で長期優良住宅は以下の4つの変更がありました。
- 一次エネルギー消費量性能はZEH水準の基準が追加される
- 断熱性能はZEH水準の基準に引き上げる
- 耐震等級3の壁量基準が必要になる
- 建築行為なしでも長期優良住宅の認定を受けられる制度が創設
上記の変更によって、住宅の省エネ性能が強化されて、建物の強度が上がっています。
また、建築行為なしでも長期優良住宅の認定を受けられるようになったため、後から取得を検討している方も増改築の負担を軽減しながら取得できるようになりました。
注意点でも紹介しましたが、新築する方は今回の改正で住宅性能が向上したため、設備投資の費用負担が増えました。建築コストが増えたものの、住み始めてかかるコストとのトータルバランスを比較して検討するようにしてください。
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