土地を相続したり、購入したりで初めて土地を所有する人もいるのではないでしょうか。しかし、土地は所有しているだけでも費用がかかり、どうしたらいいのか不安に思う人もいるでしょう。
一方で、土地を活用して「収益を得たい」「節税対策をしたい」など、少し具体的に検討を進めている人もいらっしゃいます。
そこで今回は、土地活用の基本情報から土地活用を成功させるポイントについて紹介します。
目次
1.そもそも土地活用とは何か?
土地活用とは、所有している土地を更地のまま所有しているのではなく、現状よりも効率的に利益を生み出すように活用ことを指します。
一般的な活用方法は、アパート・マンション・戸建てなど「賃貸住宅経営」や、老人ホームやサービス付き高齢者住宅など「介護系施設経営」、クリニックや薬局など「医療系施設経営」、コンビニやロードサイド店舗など「商業系施設経営」など様々な活用方法があります。
その他にも、駐車場・トランクルーム・太陽光発電・ビジネスホテル・保育施設・倉庫・資材置き場など、一言で土地活用と言っても方法は様々です。
土地の特徴や立地条件・周辺環境により、適した活用方法を選択しなければ、最大限に土地を活かすことはできません。
また、上述であげた活用方法は、建築や整備のために多額な費用が発生します。そのため、費用投資ができない場合は所有地を手放す「売却」も、立派な土地活用の一つです。
2.土地を保有し続けるのにかかる費用
スーパーやコンビニなので、食料品や衣料品を買うときにはお金を支払います。
皆さんも日常生活で経験しており、当たり前のことでしょう。土地や建物を購入するときも同じく、購入費用はもちろん経費や手数料、税金など多額な費用がかかります。
しかし、食料品や飲料水を買うときはお金を支払って終わりに感じますが、実は保有しているとお金がかかっています。
例えば、食料品の場合は保存のために冷蔵や冷蔵による電気代が、衣料品の場合は洗濯時の水道代やクリーニング代など気にかけていないだけで、お金がかかります。
保有している土地や建物の場合も同様に保有し続けている限りお金がかかってきます。また、土地や建物は元々の金額が高額なため、費用負担が大きくなるのです。
次からは、何に費用がかかってくるのか紹介していきます。
2-1.固定資産税
固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物などの固定資産を所有している人に課せられる税金です。自治体によって時期が異なりますが、その年の4~6月ごろに納税通知書が送られてきます。土地や建物を購入したり・相続したりすると、毎年税額を納付します。
固定資産税の計算式は以下の通りです。
固定資産税=固定資産税評価額×標準税率(1.4%)
※市区町村により異なる場合がございます
2-2.都市計画税
都市計画税とは、毎年1月1日時点で都市計画区域内にある土地や建物などを所有している人に課せられる税金です。自治体より固定資産税とセットで納税通知書が送られてきますので、税額を納付します。
都市計画税の計算式は以下の通りです。
都市計画税=固定資産税評価額×制限税率(最高限度0.3%以内)
※市区町村により異なる場合がございます
ちなみに、固定資産税・都市計画税の税額計算に用いられている固定資産税評価額は、3年に一度は見直されます。
2-3.管理費用
お持ちの不動産が近くにある場合なら、合間時間を使って自己管理されることも可能でしょうが、自宅から遠くにある場合は管理が行き届かなくなります。
管理が行き届かないと、不法投棄・不法侵入・害虫被害・違法駐車などによる、土壌汚染による風評被害や近隣住人からクレームの発生や、不法投棄物を自費処分するなど不要な出費が発生してしまう恐れがあります。
そのような問題を未然に防ぐため、土地や建物の管理業務を専門に行っている企業に依頼する必要があり月々費用が発生します。
3.土地を有効活用する2つの理由
前述で説明した通り、不動産を所有しているだけで費用がかかり、高額な納税額は家計を圧迫することでしょう。
子供や家族のために残した資産が、支出だけ膨らむのであれば資産とは呼べません。
そこで、土地を有効活用する2つの理由を紹介いたします。
3-1.有効活用して収入を得る
土地や建物を所有している場合、有効活用して支出分を補うだけの収入を得ようと考えます。家賃や賃料など定期的な収入を得ることで、ローン返済や今後かかるであろう修繕費用の積立て・毎年の納税に充てることができ、ローン完済後は安定的な収入源の一つにもなります。
しかし、活用方法によって、収益を生み出すこともあれば、余計な支払いが発生する場合もありますので、リスクを軽減した対策を講じる必要があります。
3-2.土地活用で節税対策
2.土地を保有し続けるのにかかる費用で紹介した通り、更地を所有しているだけで費用がかかります。土地活用方法によっては節税対策でき、なかでも宅地は減免の特例が受けられるため、税率を低く抑えられます。
そのため、更地にアパートやマンションを建築することで、固定資産税や都市計画税といった毎年かかる納税額を抑えることができるのです。
4.土地の活用方法は4つの方法に分類される
土地の活用は大まかに分けると「自己活用」「共同活用」「貸す」「売る」の4つの方法に分類されます。
4-1.自己活用
自己活用とは、所有している土地にアパートやマンション、戸建てなどの賃貸住宅を建てて建物を貸す活用方法です。賃貸住宅経営の他にも介護系施設経営や保育施設経営など、土地の特徴に合わせたさまざまな自己活用があります。
4-2.共同活用
共同活用は、土地の運用に長けている協力会社と共同で土地を活用する方法です。この共同活用には大きく分けると以下の2つの方式があります。
- 土地信託方式
- 等価交換方式
どちらの方式も、協力会社が収益を見込める土地と判断しなければ実施ことが出来ません。つまり、すべての土地で共同活用ができるわけではなく、収益性の高い土地が共同活用するための前提条件になります。
4-3.貸す
所有している土地を他人に貸す土地活用方法を「定期借地」といいます。
定期借地とは、所有している土地を店舗や賃貸住宅、商業施設や医療系施設などの運営事業者に10年〜50年程度の間、土地を貸し出して、賃料収入を得る形の土地活用を言います。
一度契約を交わすと手元に戻ってくるまでの期間は長くなりますが、安定した収入が長期間にわたり得られます。
4-4.売る
土地をそのまま活⽤しても十分な収益が見込めない場合は、売却してしまうのも一つの手です。自分で土地を活用する場合は建築費用など負担が発生するため、ご自身で費用負担するのではなく売却して換金化してしまうという売却も立派な土地活用方法です。
ここでは、4つの活用方法を紹介しました。
以下は、さらに4つの方法を細分化して詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。
土地活用は4つのタイプで22種類!それぞれの種類と特徴を徹底比較
5.立地ごとのおすすめ活用方法
所有している土地にはそれぞれ特徴があり、利点を最大限に活かすには立地条件が重要になります。
次からは立地ごとの活用方法をみてみましょう。
5-1.駅近の土地
駅近の土地は通勤・通学の観点から利便性が良く、単身世帯・ファミリー世帯のどちらからも支持される立地ですので、ターゲットに合わせた間取りのマンション経営がおすすめです。また、観光地や中心地の駅周辺であれば人が多く訪れるため、ビジネスホテルや駐車場経営などもおすすめです。
駅近の立地は、人気が高く効率的なため活用方法の選択肢が広がるでしょう。
~おすすめの土地活用~
- マンション経営
- 駐車場経営
- ビジネスホテル
5-2.市街地の土地
繁華街に近く、人が多く集まるような立地の良い土地なら商業系施設経営や医療系施設経営がおすすめです。幹線道路沿いや一本路地を入った住宅地であれば、アパート経営やマンション経営もおすすめです。
人気の高い立地になるので、土地の利点を活かした土地活用が可能です。
~おすすめの土地活用~
- アパート経営
- マンション経営
- 商業系施設経営
- 医療系施設経営
5-3.郊外の土地
住宅地に近い郊外であればトランクルームが、住宅街から車で1時間程度の立地であれば、介護系施設経営がおすすめです。また、郊外であっても市街地や大型な商業施設が近くにある場所は、住環境に優れているためファミリー層向けの戸建賃貸経営もおすすめです。
~おすすめの土地活用~
- トランクルーム
- 介護系施設経営
- 戸建賃貸経営
5-4.ロードサイドの土地
ロードサイドの土地で駐車台数が確保できるような広い土地であれば、商業系施設経営がおすすめです。
高速道路のインターチェンジなど車のアクセルが良い場所は、物流系施設経営やビジネスホテルもおすすめです。
~おすすめの土地活用~
- 商業系施設経営
- 物流施設経営
- ビジネスホテル
6.土地活用を成功させるために重要な2つのポイント
ここまで、土地活用の基礎から立地ごとの活用方法をみてきました。
この記事を読んでいただき、少しは土地活用方法のイメージが湧いてきたのではないでしょうか。所有している土地の利点を最大限に活かして活用しなければ、収益どころか大きな損失を被ってしまいます。
そこで最後に、土地活用を成功させるために重要なポイントを2つ紹介したいと思います。
●事前の入念な調査
まず1つ目は調査です。
調査といっても、土地の調査と周辺環境の調査の2つに分かれます。
土地の調査は、所有地の「面積」「傾斜」「接道」「用途地域」「地目」などの条件を調べます。
土地の形状や用途地域などによっては建物の建築制限があるため、実際に検討していた土地活用が、実施できない可能性も出てきます。そのため、土地の調査は、活用方法を検討する前に調査しましょう。
もうひとつの調査が周辺環境の調査です。
所有している土地周辺を調査することで、競合物件の家賃設定や空室状況・間取りなど入居者ニーズの把握や、そのエリアで足りない設備や施設を調べます。
周辺調査を行うことで、不足している部分を補える建物を建築できるだけでなく、競合物件に無い付加価値を提供できるので、入居者から喜ばれる土地活用を実現できるでしょう。
●事業計画を立てる
事業計画を立てるのも土地活用においては成功するポイントになります。事業計画を作成することで、考えていた計画が現実的に実行可能か判断することができます。
この活用方法が必要とされるか・継続的に収益が得られるかなど、改善のヒントが見つかるかもしれません。また、土地活用にかかる資金調達や返済計画の具体的なイメージを持ちやすくなります。
事前に入念な調査や計画を立てることで、土地活用における経営リスクを少なからず軽減することができます。しかし、個人で調査するにも労力も時間もかかりますので、まずは専門家や不動産会社・一括サイトなどを使って事前に相談してみるのも良いでしょう。
まとめ
相続や購入などで土地を所有した場合、初めての経験ですと何かと不安があると思います。今回の記事では、土地活用の基礎から成功するためのポイントを紹介しましたが、ご自身の所有している土地の利点を最大限に活かすことが重要です。
そのためには、ご自身が土地活用の目的を明確にして、一括サイトや専門家の意見を有効的に活用して作り上げるとよいでしょう。