アパート建築のすべて!法規制や建築費用の計算方法を徹底解説

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アパート建築のすべて!法規制や建築費用の計算方法を徹底解説アパート建築のすべて!法規制や建築費用の計算方法を徹底解説

アパート建築を検討するにあたり、一番気になるのが「建築費はいくらなのか」「どの程度の収入が得られるのか」などお金にまつわる話でしょう。土地活用の一つであるアパート経営は、初期投資の負担額が大きいため関心を持つのは当たり前のことでしょう。

建築費用を知るには、お持ちの土地にどんなアパートを何階建てで建てるかで費用が変わるため、事前に建築プランを考える必要があります。また、アパートを建築するにはクリアしなくてはならない法規制がいくつもあります。

そこで今回は、アパート建築に関わる法律の種類から建築費用の算出方法を1つずつ解説していきますので、建築計画に役立ててください。

1.アパート建築する前に確認すべき法律の種類

アパートやマンションといった賃貸住宅だけでなく、建築物を建てる場合には法規制があります。
自分で土地だからといって好きな建物を建築できるわけではありません。そこで、深く関わってくるのが「建築基準法」と「都市計画法」です。

次からはこの2つの法律について解説していきます。

1-1.建築基準法

建築基準法には、単体規定集団規定の基準が定められています。
建物を建てる時には、そこに住む人や近隣の安全を守るため、敷地や構造など最低限の基準をみたして建築しなければなりません。主に「建築基準法第2章/建築物の敷地、構造及び建築設備」の基準を単体規定といい全国一律に適用されるものです。

一方集団規定は、接道義務・用途制限・建ぺい率・容積率など、主に「建築基準法第3章/都市計画区域等における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途」を指します。

それぞれの規定の主な基準や制限は以下の通りです。

■単体規定

  • 敷地の基準
  • 建物構造の基準
  • 換気・採光の基準

■集団規定

  • 接道義務
  • 用途地域での用途制限
  • 建ぺい率・容積率
  • 防火地域での建築制限
  • 建築物の高さ制限

1-2.都市計画法

都市計画法は計画的に街を建設していくための法律です。
全国の土地を都市計画区域と都市計画区域以外と分け、都市計画区域を市街化区域市街化調整区域と区分し、さらに市街化区域に用途地域を定めることで建物の建築規制をしています。

都市計画法に従って、建築基準法の用途制限や建ぺい率・容積率の制限が課せられており、これにより、住みやすく暮らしやすい都市環境を確保しています。

アパート建築を検討する上ではこの2つの法規制が関わってくるため、事前に確認が必要です。
次からは、建築にかかわる用途制限や建ぺい率・容積率について詳しく見ていきましょう。

2.アパート建築にかかわる用途制限や建ぺい率・容積率を理解しよう

前述では「建築基準法」「都市計画法」について解説してきました。その中でもアパート建築には、用途地域の用途制限や建ぺい率・容積率が深くかかわってきます。

次からはこれらについて解説していきますので理解していきましょう。

2-1.用途地域の用途制限

市街化区域に指定されている土地では何らかの用途地域が定められています。用途地域は全13種類あり、用途にあった土地活用が求められています。

13種類の用途地域は以下の通りです。
用途地域の一覧※このことから、仮にお持ちの土地が工業専用地域だった場合、アパート・マンションといった賃貸住宅は建築できません。

2-2.建ぺい率

建ぺい率とは、敷地面積に対する建物を建築できる面積の割合を指します。

例えば、100坪の土地を所有していて建ぺい率が50%の場合、50坪で建物を建てて残りの50坪は空地にしなければなりません。この建ぺい率は用途地域ごとに都市計画で以下のように上限が定められています。

■用途地域ごとに指定される建ぺい率

用途地域別の建ぺい率

上限が定められている建ぺい率ですが、以下を満たしていると建ぺい率が10%緩和されます。

①建ぺい率が30%~70%の区域で、かつ、防火地域内にある耐火建築物
②特定行政庁が指定した角地にある建築物
※①、②の両方を満たす場合は20%が緩和される。

また、定められた建ぺい率が80%の区域で、かつ、防火地域内にある耐火建築物は、建ぺい率の制限が適用されず、敷地いっぱいに建築が可能です。

建ぺい率の計算方法は以下の通りです。

■建ぺい率の計算式

建ぺい率の計算方法

 

2-3.容積率

容積率とは、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合を指します。お持ちの土地にどの程度の大きさの建物が建築できるのか示すもので、建ぺい率と同様に用途地域ごと以下のように上限が定められています。

■用途地域ごとに指定される容積率

用途地域別の容積率

例えば、3階建ての建物を建てたいと考えていても、お持ちの土地が100坪で建ぺい率が60%、容積率が150%と指定されている場合は、2階建てまでしか建てられません。

容積率の計算方法は以下の通りです。

■容積率の計算式

容積率の計算方法

 

3.アパートの建築構造の特徴と坪単価

法規制をクリアしてアパートが建てられるとわかったら、次に考えるのがどのようなアパートを建築するかです。アパートやマンションなどの建物を建築する際は、さまざまな材料が使用され構造材料により費用も変わってきます。

主に「木造(W造)」「鉄骨造(S造)」「鉄筋コンクリート造(RC造)」「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」といった4つの構造に分類されます。

ここからは、各構造の特徴を比較してご自身のご希望にあった建築構造を見つけてください。

3-1.木造(W造)

木造

日本でポピュラーな建築構造と言えば木造です。日本で建築されている住宅の半数以上がこの木造と言われています。特に建築費用が安く抑えられ、温かみのある雰囲気の建物が建てられるのが特徴です。また、木は調湿効果もあるため日本の気候に適しています。

ただ、他の構造と比べると耐久性・耐火性が低く、防音性も劣るので家賃設定が比較的に安くなる場合があります。

工期 約3カ月~5カ月
坪単価の相場 40~70万円程度
法定耐用年数 22年

3-2.鉄骨造(S造)

鉄骨造

骨組みに鉄骨を使った建築構造を指します。この鉄骨造は鋼材の厚さにより2つに分類されます。

  • 軽量鉄骨造 鋼材の厚さが6mm未満
  • 重量鉄骨造 鋼材の厚さが6mm以上

鉄骨造は粘り強いため、耐震性に優れており変形しても崩れにくい性質を持ちますが、長時間の熱には弱く軟化しやすいため、鋼材の周りを耐火材で囲う必要があるので費用が高くなります。

鉄骨造を取り扱う大手ハウスメーカーなどでは、工場で枠組みを生産し現場で組み立てていく手法を採用しているため、比較的に短工期で建築が可能です。

工期 約3カ月~5カ月
坪単価の相場 50~80万円程度
法定耐用年数 軽量鉄骨造:19~34年 重量鉄骨造:34年

また、法定耐用年数の差は前述で紹介した鋼材の厚さが関係してきます。以下の表をご確認ください。

構造・用途 法定耐用年数
金属造3mm未満 19年
金属造3㎜~4㎜以下 27年
金属造4mm超 34年

参考:国税庁

同じ鉄骨造でもこれだけ法定耐用年数が異なってきますので融資期間にも影響してきます。鉄骨アパートを検討している場合は、メーカーの法定耐用年数を事前に確認しましょう。

3-3.鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋コンクリート造

圧縮力には強く引っ張り力には弱いコンクリートと、圧縮力には弱く引っ張る力には強い鉄筋両方の良い面を組み合わさった構造です。耐震性や遮音性に優れており高い耐久性が特徴です。
鉄筋は空気中の水分や酸素によって錆びやすい欠点がありますが、コンクリートで囲うため錆びを防ぎ、火災などの熱からも防いでくれます。

ただ、鉄筋コンクリート造は重量があるため基礎工事に時間がかかり工期が長く、建築コストが鉄骨造よりも多くかかります。

工期 約6カ月~8カ月
坪単価の相場 70~100万円程度
法定耐用年数 47年

3-4.鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

鉄骨鉄筋コンクリート造

鉄骨鉄筋コンクリート造は、鉄骨造と鉄筋コンクリート造のいいところを組み合わせた構造で、粘り強く、強度もあるため耐震性に優れています。主に高層マンションや高層ビルの建築に用いられ、地震大国の日本で発達した建築構造です。また耐火性が高く、防音性にも優れている良質な材料です。

しかし、他の構造に比べ使用する材料が多く重量があり基礎工事に時間がかかるため、工期が長く建築コストが高くなります。そのため、一般的には鉄骨造や鉄筋コンクリート造では建築できない場合に採用ケースがほとんどです。

工期 約8カ月~13カ月
坪単価の相場 80~110万円程度
法定耐用年数 47年

4.構造・階数によるアパートとマンションの違い

建物の建築構造を決めたらアパートとマンションのどちらを建てるかについて解説します。

実はアパートとマンションの明確な違いは定義されていないため、不動産会社やオーナーが呼び方を自由に決めています。つまり、オーナーが「アパート」と言えばアパートですし、「マンション」と言えばマンションなのです。

ただ、不動産会社やポータルサイトに掲載されている物件は、建物の階数や建築構造を基準に区別していることがあります。以下を参考にしてください。

アパート マンション
階数 2~3階建て 3階建て以上
建築構造 木造(W造)
軽量鉄骨造
重量鉄骨造
鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

アパートが木造や軽量鉄骨造で建てられるのに対しマンションの場合は重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造で建築されます。そのため、一般的にはアパートの建築費用が安い傾向にあります。

5.アパート建築費用の算出方法と構造別の相場

これまでの内容で建築構造は、おおむね理解できたのではないでしょうか。
本記事で、お持ちの土地に何階建てのアパートが建てられるか。建築構造はどうするのかが少しずつ見えてきたと思います。次からは、一番気になるアパートを建てるのに必要な建築費用の算出方法について説明していきます。

5-1.アパート建築費の算出方法

アパートの建築費を算出するためには、前述で説明した坪単価・建ぺい率・建物の階数で計算します。以下の計算式を利用してみてください。

建築費用の算出方法

次からは、アパートの概念である木造と鉄骨造を例に建築費用の相場を見ていきましょう。

5-2.木造アパートの建築費用の相場

2-1.木造(W造)で紹介した木造でアパートを建築する場合の坪単価は、40~70万円程度が相場です。ここでは、平均の55万円と仮定して計算します。

土地の建ぺい率が80%で2階建て・3階建てのアパートを建築する場合、建築費用は以下の通りです。

敷地面積(坪) 2階建て 3階建て
50坪 4400万 6600万
75坪 6600万 9900万
100坪 8800万 1億3200万

5-3.鉄骨造アパートの建築費用の相場

鉄骨造アパートを建築する場合、2-2.鉄骨造(S造)で紹介した通り、坪単価は50~80万円程度が相場です。ここでは、平均の65万円と仮定して計算します。

ここでも、建ぺい率が80%で2階建て・3階建てのアパートを建築する場合の建築費用を見てみましょう。

敷地面積(坪) 2階建て 3階建て
50坪 5200万 7800万
75坪 7800万 1億1700万
100坪 1億0400万 1億5600万

紹介した計算方法で算出される建築費用は本体工事費にあたります。建築費用には本体工事費の他に地盤改良・外構工事といった付帯工事費、室内の設備費用や登記・保険などの諸経費が別途かかります。また、土地から購入する場合は土地購入費用も必要です。

今回ご紹介している計算方法では、このような別途費用は含まれていないのでご注意ください。

6.アパートの建築費用が分かったら収支計画をたてよう!

ここまでアパートを建てるのに必要な建築費用の算出方法をご紹介してきました。ご自身が思い描いていた費用感と違いがあったかもしれません。
アパートを建築する際の費用はすべて自己資金で賄うわけではなく、一般的には不動産投資ローン(アパートローン)を組んで建築し、賃料収入を月々の返済に充てます。

そこで重要になるのが収支計画表をつくることです。収支計画を具体的かつ細分化して作ると借入金の返済と収益のバランスが見えてくるだけでなく、資金繰りが回るかどうか・借入を何年で返済できるのかなどを把握できるため、事前に計画をたてることをおすすめします。

■収支計画表の例

費目 1年目 2年目 3年目
収入 家賃(満室時の合計) ¥5,184,000 ¥5,184,000 ¥5,184,000
空室時の減額 -¥1,728,346 -¥864,173 -¥1,728,346
駐車場賃料 ¥0 ¥0 ¥0
礼金 ¥360,000 ¥72,000 ¥144,000
更新料 ¥0 ¥0 ¥216,000
収入合計/年 ¥3,815,654 ¥4,391,827 ¥3,815,654
支出 固定資産税・都市計画税 ¥416,000 ¥416,000 ¥416,000
共益費 ¥60,000 ¥60,000 ¥60,000
管理委託費(5%) ¥172,783 ¥215,991 ¥172,783
火災保険料 ¥50,000 ¥50,000 ¥50,000
修繕・メンテナンス ¥360,000 ¥360,000 ¥360,000
その他 ¥120,000 ¥120,000 ¥120,000
諸経費合計/年 ¥1,178,783 ¥1,221,991 ¥1,178,783
諸経費÷収入 31% 28% 31%
修繕積立金(5%) ¥190,783 ¥219,591 ¥190,783
ローン返済額 ¥1,748,328 ¥1,748,328 ¥1,748,328
支出合計/年 ¥3,117,893 ¥3,189,911 ¥3,117,893
収支 収支/年 ¥697,761 ¥1,201,916 ¥697,761
収支/月額換算 ¥58,147 ¥100,160 ¥58,147
収支(累計) ¥697,761 ¥1,899,677 ¥2,597,438

7.アパート建築を依頼する業者選びの3つのポイント

アパート建築の検討が進むと、次に気になるのが業者選びです。アパート建築を業務としている業者は、住宅などを専門に建てているハウスメーカーか工務店がアパートの建築も請け負っています。しかし、どの会社に依頼をすればいいのかわからないことでしょう。

そこで、安心して建築依頼するための3つのポイントについて紹介します。

7-1.家賃設定が周辺物件とかけ離れていないか

アパート経営は入居者からの家賃や駐車場利用料などの賃料が主な収入源になるため、得られる利益を良く見せようと、家賃設定を高めに設定している業者の提案があったら疑った方が良いでしょう。

アパートの建築予定地の周辺相場とかけ離れていないか、家賃設定の根拠が明確かと確認する必要があります。あまりにも説明が的外れであった場合は注意が必要です。

7-2.サポート体制が整っているか

アパート経営は建てて終わりではなく、中長期的に建物のメンテナンスが必要です。
アパートは竣工後から劣化が始まり、建物が劣化すると空室が増えて収入に大きく影響してきます。下落幅を小さくしなくてはならないため、定期的な修繕が必要になってきます。そこで重要なのが、業者のアフターフォローが充実しているかです。

そのため、建築後のサポートやメンテナンスがしっかりしている業者を選ぶと良いでしょう。

7-3.収支計画が明確になっているか

前述でも収支計画表の説明をしましたが、業者から提示される収支計画にも注意を払いましょう。
アパート経営には空室や賃料減額といったリスクが存在します。提示されている収支計画が満室想定の収入試算や、10年後20年後も同じ家賃設定だった場合、計画通りにはいかないといえます。

また、建物の修繕計画や積立ても計画が含まれていないと、急に多額な出費を用意しなければならず最悪の場合、アパート経営が破綻してしまいます。

そのため、リスクをきちんと説明したうえで収支計画を提示してくれる企業を見つけましょう。

まとめ

今回は、アパート建築に関わる基礎的な知識から建築費用の計算方法、業者選びのポイントなど紹介してきました。アパート建築で失敗しないためにもご自身の知識を蓄え、具体的な計画をたてて検討することが重要です。業者によって建築構造による得意不得意や建築費用が異なってきますので、できるだけ多くの企業から話を聞いて良し悪しを比較するとよいでしょう。

また、アパートは建築して終わりではなく、竣工後はアパートの管理が始まります。長期的に安定した収入を得るためには、トータルサポートしてもらえる優良企業との出会いがカギになってきます。

長期にわたり関わるパートナーですので、信頼して任せられる企業を見つけるため、この記事を参考にゆっくりと検討してみてください。

※本記事は2019年3月現在の法令・情報を基に作成されています。

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