注文住宅の防音で選べる対策は7つ|用途から最適解を見つける方法

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注文住宅の防音で選べる対策は7つ|用途から最適解を見つける方法注文住宅の防音で選べる対策は7つ|用途から最適解を見つける方法

子どもの足音、在宅会議の話し声、道路を走る車の音。住まいの音は、入居してから壁材を足すだけでは解決しにくいものです。

防音室まで作るべきか、窓と床と間取りの工夫で足りるのか。打ち合わせの時間がかぎられていると、「十分静かですよ」のひとことで決めがちです。

そこで今回は、注文住宅の防音を「外から入る音」「外へ出す音」「家の中を伝わる音」の3つに分け、土地選びから引き渡し前の確認まで詳しく紹介します。

この記事で学べるコト

  • 防音室と部分的な防音対策のどちらが必要かわかる
  • 窓・床・間取り・24時間換気の優先順位がわかる
  • ユニット式防音室の公表価格と工賃、そして見積もりの金額が大きく開く理由がわかる
  • 高気密・高断熱と防音性能を分けて確認する方法がわかる
  • 契約前と引き渡し前にハウスメーカーに聞くことがわかる

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目次

1.注文住宅の防音対策を3つの方向から決める

注文住宅の防音対策を3つの方向から決める

住まいで気になる音は、外から入る音、外へ出る音、家の中を伝わる音の3つに分けられます。さらに空気伝播音(空気を伝わる話し声や走行音)と固体伝播音(床や壁を伝わる足音や低い音)に分ければ、専用の防音室が要るかどうかを見分けられます。

防音対策で選べる対策は7つ。決めるのが早いものほど、あとから変えにくくなります。締切は、土地の契約前、間取り図が固まる前、設備を選ぶ前、工事が始まる前の4つです。

対策 決めるタイミング あとから変えやすさ
土地 土地の契約前 変えられない
間取り 基本設計まで(間取り図が固まる前) 変えにくい
窓・ドア 仕様決定まで(窓や設備を選ぶ前) 内窓の追加は可
壁・天井 着工まで(工事が始まる前) 難しい
床・防振 着工まで 敷物なら可
換気 仕様決定まで 部材交換は可
専用の防音室 基本設計まで 後付けは割高

1-1.外から入る音の経路を調べる

外から入る音は、外壁の全面から均等に入るのではありません。音は、いちばん弱いところを選んで入ってきます。

木造2階建てで入り口になりやすいのは、窓とドアの開口部、給気口、換気扇のフード、配管の貫通部です。(配管や配線が壁を貫く部分)

数はかぎられているので、位置と数を図面で押さえれば、対策する場所を絞り込めます。

1-2.外へ出す音の大きさと時間帯を整理する

外へ出す音は、大きさより出す時間帯と1回の長さで対策が変わります。同じピアノの音でも、平日の昼に30分か夜10時以降に2時間かで求める性能は違います。

楽器や配信、シアターを予定している方は、音源・音量・曜日・時間帯・1回の長さの5つを書き出しましょう。

この5項目が、ハウスメーカー・工務店にも専門業者にも同じ条件で相談するための1枚になります。

本記事ではこの用紙を「音の要望書」と呼び、本記事の後半で項目を足して完成させます。

1-3.家の中を伝わる生活音を分ける

家の中の音は、上下方向と横方向に分かれます。

2階から1階へ落ちる足音は上下に、会話が廊下越しに寝室へ届くのは横方向に音が伝わります。

どちらを対策するかで、床を見直すのか、間取りと建具を見直すのかが決まります。

1-4.空気伝播音と固体伝播音から対策を選ぶ

空気を伝わる音か、建物を伝わる音か。どちらかで選ぶ対策が変わります。

対策は遮音・吸音・防振の3つ。名前は似ていますが、役割は別ものです。

手段 役割(主な対象) 代表的な方法
遮音 音を通しにくくする(空気伝播音) 質量のある建材、二重構造、すき間をなくす
吸音 室内の響きを抑える(室内の反響) 多孔質材、厚手のカーテン
防振 振動を建物へ伝えにくくする(固体伝播音) 浮き床(床を骨組みから切り離して浮かせる工法)、防振ゴム

よくある誤解が「吸音材を貼れば音漏れが止まる」というものです。吸音材は部屋の響きを抑える材料であり、音漏れを止める材料ではありません。

音漏れを止めるには質量とすき間の処理、遮音の対策が必要です。

悩み別に方向と聞く言葉を並べたのが次の音の悩みをまとめた表です。当てはまるものだけ拾ってください。

音の悩み 伝わる方向 音の種類 住宅会社へ聞くこと
道路・線路の走行音 外から入る 空気伝播音 窓と給気口は、どんな仕様にできますか
隣家の室外機・給湯器 外から入る 空気と固体 室外機から寝室を、どれくらい離せますか
子どもの足音 家の中 固体伝播音 2階を走る音を1階へ伝えにくくするには、床と天井をどう作りますか
2階トイレの排水音 家の中 空気と固体 排水管はどの壁を通りますか。防音材はどこまで巻きますか
在宅勤務の話し声 外へ出す・家の中 空気伝播音 書斎のドアと壁は、どんな仕様にできますか
ピアノ・ドラム・シアター 外へ出す 空気と固体 部屋全体の目標を、数値で示してもらえますか

平日と休日で気になる音を1つずつ書き出して、外から入る音、外へ出る音、家の中を伝わる音の3つのどこに当てはまるか分けましょう。

外から入る音と、家の中を上下に伝わる音は、土地と部屋の配置で決まります。

次の章では、土地の契約前と間取りの確定前にしかできない確認を詳しく解説します。

2.土地と間取りで騒音を防ぐ

土地と間取りで騒音を防ぐ

土地条件と部屋の配置は、建ててからでは動かせない対策です。国が定める騒音の環境基準は地域の目標で、1軒の住宅の防音性能を保証しません。

大切なのは、時間帯を変えた現地の確認、収納や廊下を使った緩衝帯、生活音が重ならない部屋の重ね方です。

2-1.騒音環境基準と時間帯から土地を確かめる

騒音の環境基準は、地域の類型ごとに昼間と夜間の値が異なります。昼間は午前6時から午後10時、夜間は午後10時から翌午前6時で、静かな地域ほど夜がきびしくなります。

dBは音の大きさの単位。50dBはエアコンの室外機、60dBは一般的な会話が目安とされます。音源・距離・周囲の反射で値は変わります。

出典:環境省「騒音の目安

対象は一般の騒音と道路交通騒音で、航空機・鉄道・建設作業の音は適用外です。

線路沿いなら、走る列車の種別・本数・速度・終電の時刻を調べ、鉄道用の資料と現地の聞き取りで判断してください。

地域の類型(自治体が指定) 昼間 夜間
AA(療養施設など、とくに静穏を要する地域) 50dB以下 40dB以下
A・B(住居用の地域) 55dB以下 45dB以下
C(住居と商業・工業が混在する地域) 60dB以下 50dB以下
A類型で2車線以上の道路に面する 60dB以下 55dB以下
B類型で2車線以上、C類型で車線のある道路に面する 65dB以下 60dB以下
幹線交通を担う道路に近接する空間 70dB以下 65dB以下

※幹線交通を担う道路に近接する空間には屋内の特例があり、窓を主として閉めて生活していると認められる個別の住居は屋内で昼間45dB以下・夜間40dB以下。屋外の数値だけで判断しないでください。

出典:環境省「騒音に係る環境基準について」/「新幹線鉄道騒音に係る環境基準」/「在来鉄道騒音

類型を決めるのは都道府県知事などで、購入者ではありません。候補地の類型は、市区町村の環境担当窓口や自治体の区域図でわかります。

ハウスメーカーの担当者へ「この土地の用途地域と騒音の類型を調べてください」と頼むのもひとつの手です。

同じ住居系でも、道路に面すると基準の目安は5dB〜15dB高くなり、とくに夜間の差が開きます。

ただし基準値が高くても、その土地の住宅の防音性能が高いわけではありません。大切なのは数値より、朝・昼・夕・夜で音がどう変わるか。

現地では次の4点を確かめましょう。

曜日と時間帯 平日と休日、朝の通勤時間・日中・夕方・就寝前
音源 道路、鉄道、店舗、学校、隣家の室外機や給湯器
閉めた状態と開けた状態の両方で聞く
相談 気になる音が続くなら専門の測定を検討する

スマートフォンの騒音測定アプリで記録する方法もありますが、機種やマイクの差が大きいため、ご自身用の記録にとどめておきます。

注文住宅の候補地を選ぶ際は、土地の探し方も参考にしてください。

2-2.収納や廊下を緩衝帯にして部屋を配置する

音を弱める方法は、材料を足すことだけではありません。音源と静かにしたい部屋のあいだに「使っても困らない空間」をはさむ設計も有効です。

クローゼット、納戸、廊下、階段、洗面室が緩衝帯に。道路側へ収納やホールを寄せて寝室を反対側にするほうが、壁を厚くするより費用は安価です。

緩衝帯は、基本設計の図面が固まる前でないと入れにくい対策です。プランの初回提案を受け取ったら、寝室・書斎・子ども部屋の隣に何があるか指でたどってください。

2-3.足音・排水音・会議音が重ならない間取りにする

上下階の重なり方は、生活音の伝わり方を決めます。子どもが走り回る部屋の真下に寝室や書斎があると、床の仕様を上げても音は届きます。遊び場の下には、LDKや収納など多少の音が許される部屋を配置するのがおすすめです。

2階のトイレや洗面室も要注意。排水管が通る壁の裏にベッドヘッドがくると、夜中の排水音が枕元で鳴ります。排水管を通す壁は収納やホール側へ寄せるのが有効です。

在宅勤務がある家庭なら、書斎は玄関・LDK・子ども部屋から離れた位置が第一候補です。「会議中は静かにして」と言わない配置を目指しましょう。

住まいの条件 離したい組み合わせ 配置の目安
未就学児がいる 遊び場と真下の寝室・書斎 遊び場の下はLDKか収納
週2日以上の在宅勤務 書斎とLDK・玄関・子ども部屋 階段や収納をはさむ
夜勤や早朝出勤がある 寝室と水回り・洗濯機・浴室 水回りから1部屋以上離す
楽器を弾く家族がいる 演奏する部屋と隣家・寝室 隣家から遠い側へ

候補地は平日と休日の2回訪れ、生活時間に近い時間帯を写真とメモで残しましょう。

3.場所ごとの防音対策を優先順位で選ぶ

場所ごとの防音対策を優先順位で選ぶ

防音の効果を決めるのは、いちばん弱い通り道の1か所。部材を一律に増やしても、弱い通り道が残れば静かにはなりません。

窓・ドア、壁・天井、床、24時間換気の4つを弱点に対応させて選びます。

音源 主な経路 新築時にできること
道路・線路の走行音 窓、給気口、換気扇フード 遮音サッシ、防音フード、開口を減らす
隣家の室外機・給湯器の低音 外壁、窓、地面の振動 設置位置を離す、開口を減らす
子どもの足音 2階床から梁・壁への振動 床の構成、天井の防振吊り(ゴムをはさんでつる方法)、部屋の重ね方
家族の会話・テレビの音 間仕切り壁、建具のすき間、天井裏 壁の二重張り、ドアの気密
在宅勤務の話し声 ドア、間仕切り壁、換気の開口 遮音ドア、書斎の位置、貫通部の処理

なお、この章では場所ごとの金額は載せていません。たとえば同じ「内窓を1か所」でも、窓の大きさ、選ぶガラス、標準仕様の中身で総額が動くため、単価を示すとかえって判断を誤らせるからです。

そのかわり、どの対策も金額そのものより「標準仕様から、いくら増えるか」の差額で聞いてください。

費用の重さは対象の面積と数で決まるので、家じゅうを一律に上げず、困っている通り道だけに絞れば総額を抑えられます。

3-1.窓・サッシ・ドアから入る空気音を減らす

外から入る音がいちばん通りやすいのが窓。外の音が気になる土地では、窓の仕様と枚数を最優先で決めます。

まぎらわしいのが複層ガラスと二重窓の違いです。

窓の種類 構造 主な狙い 音への向き合い方
複層ガラス(ペアガラス) 2枚以上のガラスのあいだに密閉した空気層やガス層 断熱 断熱のための標準的な仕様なので、断熱をねらって選ぶのは問題なし。

ただし、2枚のガラスと中空層が太鼓のように共鳴し、低い音では1枚ガラスより遮音性が下がる場合も。遮音は別の仕様で確保する

防音合わせガラス 2枚のガラスのあいだに特殊な中間膜 遮音 遮音性を高める。断熱は別に確かめる
二重窓(内窓の追加) 窓の内側にもう1組のサッシ 断熱と遮音 空気層を厚く取れ、外部騒音に選ばれやすい

サッシの遮音性能はT-1からT-4の等級があります。
(数字が大きいほど音を通しにくい。規格はサッシがJIS A 4706、ドアセットがJIS A 4702)

いずれも建具を試験室で測った値です。ガラスの種類・サッシの等級・取り付けの気密の3点をそろえて聞きましょう。

ドアは扉の重さ以上に、枠とのすき間が結果を左右します。アンダーカット(ドア下の通気のすき間)は音を通すため、書斎や寝室では気密の取れる建具が候補になります。

ただし、ドア下のすき間は、給気口から廊下、浴室やトイレの排気ファンへとつながる24時間換気の通り道でもあります。

気密の高い建具にするなら、消音材入りの通気ガラリ(通気用の格子)付きにするか、その部屋へ給気と排気の経路を別に用意するか。どちらで換気量を保つか、ハウスメーカーや工務店へ確かめてください。換気に関しては後述します。

費用は対象を絞って差額で聞くのがおすすめです。「窓すべてではなく、道路側と寝室の窓だけを遮音仕様にすると、標準仕様からいくら増えますか」と聞きましょう。

3-2.壁・天井・貫通部の音漏れを抑える

壁の遮音は、質量・空気層・吸音材・すき間の処理の4点。基本は質量で、石膏ボードを1枚から2枚にするのが手近です。

家じゅうを2枚張りにすると総額が動くため、「寝室と書斎に面する間仕切りだけ2枚張りにすると、標準仕様からいくら増えますか」と、対象を絞って差額で聞くのがおすすめです。

見落とされやすいのが貫通部(配管や配線、コンセントが壁を貫く部分)です。向かい合う部屋のコンセントを同じ壁の同じ位置へ背中合わせに付けると、音の通り道になります。

注文住宅のコンセント計画とあわせて音の観点も伝え、間仕切り壁が天井裏まで立ち上がっているかも確かめてください。

3-3.床の足音と設備の振動を伝えにくくする

床の音は2種類。物を落とすような軽い音が軽量床衝撃音、子どもが飛び跳ねる「ドスン」が重量床衝撃音です。

種類 代表的な音 有効な対策 注意点
軽量床衝撃音 物の落下、椅子を引く音 表面材の工夫、カーペット、防音マット 入居後でも改善しやすい
重量床衝撃音 子どもが走る音、飛び跳ねる音 床の構成、梁や下地の設計、天井の防振吊り 表面材だけでは難しい

マットやカーペットで軽くなるのは、おもに軽量床衝撃音です。子どもの走る音は骨組みに伝わるため、着工前に決める床下地と天井の工事が中心。洗濯機や室外機の下へ防振材を入れる配慮も、同時に伝えます。

費用の重さは見直す面積で決まります。「2階全体ではなく、子ども部屋と、その真下の部屋のあいだだけ床下地と天井を見直すと、標準仕様からいくら増えますか」と絞って聞きましょう。

打ち合わせに子どもを連れて行く日は、確かめることを1つに絞るのが現実的。手が空いたほうが「今日は窓と換気だけ」と決めて聞き、書き込みは帰宅後にまとめます。

3-4.24時間換気を保ちながら音の通り道を減らす

住宅の居室には、原則として機械換気設備が必要です。

建築基準法第28条の2と同法施行令第20条の8で、シックハウス対策として換気回数0.5回/h以上の24時間換気システムが求められます。

0.5回/hとは、対象となる居室(または一体で扱う換気区域)の容積の半分の空気を1時間に入れ替える量。2時間で空気がひととおり入れ替わる計算です。

適用は2003年7月1日以降の着工分なので、これから建てる注文住宅は対象になります。
※一定の真壁造や大臣認定など、例外もあります

出典:
e-Gov法令検索「建築基準法
国土交通省「住宅等における換気等に関する情報提供について

防音を理由に給気口や排気口をふさぐ、換気を止めるという対策は選べません。空気環境と結露のリスクに直結します。必要な換気量を保ったまま、音の通り道だけを長く・曲げて・吸わせます。

防音対策としては3つ。給気口に消音材入りの製品や防音フードを選ぶ、ダクトを長めに取り曲がりで減衰させる、給気口を道路側や隣家側から外す。いずれも仕様決定の前の項目です。

ここも全部を上げる必要はありません。「道路側と隣家側の給気口だけを消音材入りにすると、標準仕様からいくら増えますか」と聞きましょう。

間取り図へ窓・ドア・換気口・配管の位置を書き込み、音が通りそうな箇所を質問に変えてください。

部位ごとの対策を並べると、次に気になるのが「高気密・高断熱なら全部まとめて静かになるのでは」という説明です。次の章では、制度の区分と気密の守備範囲を解説していきます。

4.高気密・高断熱住宅の防音性能

高気密・高断熱住宅の防音性能

高気密・高断熱の家でも、防音の性能は自分から指定しないかぎり手に入りません。「高気密・高断熱だから防音性も高いですよ」という説明は、間違いではないものの期待とずれています。

国の住宅性能表示制度でも、断熱と音環境は別の分野です。制度の区分、気密の守備範囲、指標の違いについて理解するのが大切です。

4-1.住宅性能表示制度で断熱と音環境を分ける

住宅性能表示制度は、住まいの性能を可視化した国の制度です。10の分野に分かれ、断熱は「温熱環境・エネルギー消費量」、防音は「音環境」。音環境は、評価を申し込むときに選んではじめて評価されます。

申し込むのはハウスメーカーや工務店が一般的なので、施主の側から「音環境も評価の対象に入れられますか」と伝える必要があります。

押さえたいのが適用範囲です。音環境の4つの項目は次のとおりです。

  • 重量床衝撃音対策
  • 軽量床衝撃音対策
  • 透過損失等級(界壁)
  • 透過損失等級(外壁開口部)

上記4項目のうち、一戸建てで選べるのは透過損失等級(外壁開口部)の1つだけです。

そのほかは、アパートやマンションなどの共同住宅が対象の項目になっています。

透過損失等級は「音をどれだけ通しにくい」かの等級です。一戸建てでは、外壁の窓やドアからの音を評価しています。

3-3.床の足音と設備の振動を伝えにくくする」で扱った子どもの足音は、一戸建てでは制度の等級で確かめられません。

出典:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド(令和7年12月1日施行版)

つまり注文住宅の場合、住宅性能表示制度でわかるのは窓の遮音までです。部屋どうしや上下階の伝わり方は、契約の書面に残すしかありません。

打ち合わせでは「音環境の等級を取りますか。取得しない場合、窓以外の目標はどこに書いていただけますか」と1問だけ確かめます。

省エネの考え方は省エネ基準義務化で確かめられます。断熱等性能等級や一次エネルギー消費量等級を上げても、音の目標性能は決まりません。断熱と防音は、別の議題として議論しましょう。

4-2.気密性で期待できる音と別対策が必要な音を比べる

気密性が高い家は、すき間を通り抜ける空気の量が少なくなります。音も空気を伝わるため、外から入る話し声や車の走行音には有利にはたらく場合もあります。

問題は、すき間が減ることで説明できるのが「外から入る空気の音」までという点です。

振動として建物に伝わる音、低い周波数の音、換気口を通る音、部屋の中の響きは、気密性能とは別の設計で決まります。

響きは吸音と反射のバランスの問題で、そのほかの守備範囲は次のとおりです。

確認対象 高気密・高断熱で期待できる範囲 別に指定する項目
外から入る話し声・車の音 すき間が減る分、有利になる場合も 窓とドアの遮音仕様、給気口、外壁
家から出る会話・楽器の音 漏れが減るのは有利だが保証ではない 部屋全体の目標性能、窓、ドア、換気、測定
子どもの足音 気密と断熱では判断できない 床の構成、防振、振動の経路
ドラム・シアターの低い音 気密と断熱では足りないことが多い 浮き床、二重構造、防振

静かになったからこそ気になる音もあります。換気扇や給湯器の運転音も確かめましょう。

4-3.D値・T値・L値など遮音の指標を仕様書で読めるようにする

仕様書や商品資料には指標が複数並び、対象部位も数字の向きもそろっていません。対象部位と数字の向きの2点を押さえれば読めるようになります。

指標 対象 数字の読み方 住宅会社へ聞くこと
D値・Dr値 部屋と部屋のあいだの音の差 大きいほど音を通しにくい その数値は、実験室で測った値ですか。完成した部屋の値ですか
R値・Rr値 壁・ガラス・ドアなど部材そのもの 大きいほど音を通しにくい 原則は試験室の値です。完成した部屋でも同じになりますか
T値 サッシ・ドアなどの建具 T-1からT-4。大きいほど遮音性が高い どの窓に、T-いくつを使いますか
L値・Lr値 床衝撃音 小さいほど下の階へ伝わりにくい 軽量と重量のどちらですか。床と天井を含む実測ですか
ΔL等級 床仕上げ構造の低減量。軽量はΔLL、重量はΔLH 大きいほど低減量が大きい 軽量と重量のどちらの値ですか。仕上げ材だけですか、下地と組み合わせた値ですか。木造でも同じ効果になりますか

D値・Dr値はつねに部屋どうしの音の差で、部材だけの値ではありません。(部材の値は音響透過損失=R値)

住宅性能評価書ではさらに別の記号が使われるため、見せられた数値が部材のものか部屋のものかは、その都度担当者に確かめてください。

もっとも注意したいのが、部材だけのカタログ値と、完成した部屋を測った値で混同してしまうことです。T-4のサッシでも、取り付けのすき間や給気口が残れば等級どおりになりません。

とくに誤解しやすいのがΔL等級です。規格(JIS A 1440-1/-2)が対象にしているのは、標準的なコンクリート床の上に施工した床仕上げ構造の低減量です。

床仕上げ構造には、仕上げ材だけの場合と、下地と仕上げ材を組み合わせた場合があります。いずれも木造2階建てへそのまま当てにはできないため、完成後に実際の部屋で測る条件を契約に残す価値があります。

次の打ち合わせでは、「その数値は、部材だけの試験値ですか。完成した部屋の実測値ですか」と1問だけ確かめましょう。

5.防音室の必要性を用途別に判断しよう

防音室の必要性を用途別に判断しよう

防音室が要るかどうかを大きく分けるのは、出す音の種類です。低い音と振動を出すなら専用室、話し声やテレビが中心なら部分対策から検討します。

ただし、これは第一の線引きにすぎないため、音量・時間帯・隣家との距離のどれか1つが外れれば判断は変わります。

部分対策で足りるかの線引き、用途別の目標、設備と搬入の計画、使わなくなったあとの転用まで順に判断しましょう。

5-1.テレワークと生活音は部分対策で足りるか判断する

在宅勤務の悩みは、たいてい2つです。自分の会議の声が家族に聞こえることと、家族の声が会議に入ってしまうことです。

どちらも「話し声」つまり、空気伝播音の問題になります。書斎の位置を選び、防音ドアと間仕切り壁の仕様を上げ、貫通部をふさげば足りる場合が少なくありません。

第一の分かれ目は、低い音と振動を出すかどうかです。ピアノ・ドラム・サブウーファーのように床や壁へ振動が伝わる音源が入ると、部屋そのものを二重にする発想が要ります。ただし分かれ目は1つではありません。

会話・テレビ・キーボードの音でも、音量が大きい場合、夜に長く使う場合、隣家が近くて部分対策では目標に届かない場合は、専用室が視野に入ります。逆に低い音を出さない楽器でも、音量が大きい場合や夜に使う場合は専用室が現実的です。

5-2.ピアノ・楽器・シアターの音源別に目標を決める

用途によって、重視する対策の中身が変わります。目標の水準は「何dB」から決めるものではなく「どの部屋で」「どの時間帯に」「どのくらい聞こえてよいか」を言葉で決めるところから始めます。

用途(主な音) 使用時間の例 重視する対策 部分対策か専用室か
テレワーク・Web会議(話し声) 平日の日中 防音ドア、間仕切り壁、貫通部 部分対策で足りる場合が多い
ピアノ(音と鍵盤・ペダルの振動) 夕方から夜 浮き床、壁の質量、窓 時間帯しだいで専用室
管楽器・弦楽器(高い音から中くらいの音) 夜が中心なら要注意 壁と窓、吸音による調整 専用室が現実的
ドラム・ホームシアター(強い低音と振動) 夜が中心 浮き床、二重構造、防振、扉と換気の経路 夜間・大音量・隣家が近い条件では専用室が前提
動画配信・録音(話し声と機材の音) 夜が中心 吸音による調整、空調の音 用途により分かれる

低い音ほど対策が難しく、費用も上がります。壁を厚くしても残りやすいのが低周波音です。床から梁、梁から壁へと振動が回り込むからです。

夜に使う楽器やシアターは、音量・低音と振動の強さ・使う時間・隣家との距離、を考慮して検討が必要です。部分対策で目標を満たせないときには専用室を計画しましょう。

5-3.換気・空調・電気・搬入経路まで設計する

防音室は密閉度が高く、人が長時間過ごすと空気環境と温度が急に悪くなります。換気と空調は、本体工事と同時に決めておくのがおすすめです。

防音室が建築基準法上の居室にあたるなら24時間換気は法令上の対象です。居室にあたらない場合も、空気環境を保つため実務上は欠かせません。

給排気は、造作なら消音ダクトで経路を長く取り、ユニット式なら製品が指定する換気扇や防音フードによります。

電源・照明・通信配線の経路も、二重壁を組む前でなければ変えられません。ユニット式の防音ブースなら、搬入経路と開口部の寸法も図面で確かめられます。

5-4.将来の転用と撤去条件を確認する

子どもの練習用の防音室が、10年後には使われなくなることもあります。決める前に、次の3点を聞いておくと安心です。

  • 書斎・寝室・収納へ転用する場合、換気と採光の条件を満たせるか
  • 浮き床や二重壁を撤去する場合の範囲と費用感、床を補強した部屋に重い家具を置けるか
  • 売却するときに評価されるのか、買い手が使わない部屋として値引きの材料になるのか

家族の就寝時間と防音室の使用時間を1週間分重ね、専用室が必要な時間帯を決めましょう。

6.防音室の費用差を7つの条件で比較

防音室の費用差を7つの条件で比較

防音室の見積もりは、7つの条件をそろえなければ比べられません。金額の差は値引きの差ではなく、含まれる工事の範囲の差だからです。

まず、防音室の費用の例から見てみましょう。

6-1.防音室の販売価格から費用の感覚をつかむ

ユニット式(工場で作った箱を、できあがった部屋の中に組み立てる方式)の防音室には、本体価格と工賃を公表している販売店があります。次は、カワイ防音ルーム ナサールについて公表されている価格です。

遮音性能はDr-35、天井は標準の高さでそろえてあります。

広さ 本体価格(税込み) 組立費+運送費 概算合計
2.0畳 1,221,000円 183,700円 1,404,700円〜
6.0畳 2,244,000円 257,400円 2,501,400円〜
10.0畳 2,904,000円 288,200円 3,192,200円〜

すべて税込みで、販売店が「概算価格」として示しているものです。組立費は広さで変わり、運送費はいずれも85,800円(大阪近郊・東京近郊)で、地域によって変わります。

木製防音ドア・照明・換気扇・電気設備・防振防音の浮き床は価格に含まれます。追加のオプションを選べば金額は上がり、設置場所の条件によってエアコン工事・付帯工事・追加の資材・防災工事・追加の運送費が発生する場合があります。

Dr-35は「防音室の壁から外へ1m離れた位置で、ピアノの音が小さな声くらいに聞こえる」水準と説明されています。金額はミキ・ミュージック・デザインで掲載されている価格を参考にしています

出典:三木楽器株式会社「カワイ防音ルーム ナサール」カスタムタイプ(2.0畳6.0畳10.0畳

注意したいのは、上記で紹介した防音室は「部屋の中に箱を置く」タイプの費用だということです。箱を収める部屋そのものの建築費は、この金額に入っていません。またこれは特定の製品を特定の販売店が示した概算価格であり、6畳の防音室の相場でも平均でもありません。

インターネットで見かける金額の幅が大きいのは、方式(ユニット式か造作か)・広さ・目標性能・設備の範囲が違うものを1つの数字に並べているからです。

幅そのものを予算の根拠にせず、次の7つの条件を同じにした見積もりで比べてください。

6-2.防音室の金額差を生む7つの条件

同じ「6畳の防音室」でも、次の7つの条件が違えば工事の中身が変わります。

条件 追加工事が少ない条件 増えやすい条件
目標性能 会話を聞き取りにくくする水準 夜の楽器や低音まで抑える水準
音源 話し声、テレビ ドラム、サブウーファー、管楽器
建物構造 振動の経路が少なく、追加の防振が少ない 振動の経路が多く、防振と補強が増える
工事範囲 壁の一部だけ 6面すべて、窓・ドア、浮き床、補強
設備範囲 既存の換気と空調を流用 消音ダクト、専用空調、照明、電気工事
時期 新築時に一体で施工 後付けで解体・養生・つなぎ目の処理
検証範囲 設計値の提示のみ 完成後の測定と是正まで

木造だから高くつくのではなく、振動の経路が多い分だけ工事が増えます。低い音や強い振動がなく、夜に大きな音も出さず、隣家との距離と目標も部分対策で満たせるなら、浮き床や6面の二重構造は省ける可能性があります。

不要と決める前に、音量・時間帯・隣家との距離・目標性能をそろえて提案を受けてください。

同じ金額でも、設備範囲と検証範囲が入っているかで中身はまるで違います。含まれない項目があとから別途工事で出てくると、総額が逆転することもあります。

6-3.6畳・木造・新築時の見積条件を統一する

複数社へ依頼するときは、依頼主から条件をそろえて渡すのが確実です。防音室を検討する方は、「1-2.外へ出す音の大きさと時間帯を整理する」の音の要望書へ次の4つの項目を足しましょう。

広さ 6畳程度。木造2階建ての1階に置きたい、のように階まで書く
工事範囲 壁の一部だけか6面すべてか。窓とドアの交換、構造の補強を含むか
防振 浮き床が必要かどうか、必要なら費用の差もあわせて提案してほしい
完成後の測定 測り方と、合格とみなす線の決め方も提案してほしい

数値をご自身で決める必要はありません。「夜21時にピアノを弾いても、隣家の窓ぎわと2階の寝室で気にならない程度にしたい。数値は御社に提案してほしい」と、どんな暮らしをしたいかを担当者に伝えれば十分です。

新築するときに一体で施工するのか後付けか、消費税込みかどうか、別途工事に何が残るかもまとめて聞きます。

まとめて聞くことで、金額の差が「値引きの差」ではなく「範囲の差」だとわかります。空欄のまま返ってきた項目こそ、打ち合わせで詰めるところです。

6-4.部分対策・造作・ユニット式の範囲を比べる

工事の方式は大きく3つ。優劣ではなく、目的と将来の使い方で選びます。

方式 向いている場面 留意点
部分対策 会話やテレビの音、外部騒音を減らしたい 低音と振動に対応しにくい
造作の防音室 広さと性能を用途に合わせたい 設計と施工の実績を確かめる。撤去は大がかり
ユニット式の防音室 移設や中古売却の可能性を残したい 搬入経路、設置後の広さ、床の耐荷重

将来引っ越す可能性があるならユニット式、間取りに溶け込ませたいなら造作、という分け方が入口になります。

6章冒頭で挙げた公表価格は、造作の見積もりを受け取ったときに範囲を比べるための具体例として使えます。どの方式でも、換気・空調・電気を含めた総額で比べてください。

注文住宅をお願いする候補のハウスメーカーへ同じ音の要望書を送り、見積書の空欄と別途工事を色分けしましょう。

見積もりの条件をそろえても、決めた内容が書面に残っていなければ、完成後に確かめるものがありません。そこで次の章では、目標性能と測定条件をどこまで契約書へ残すのかを解説していきます。

7.見積もりと契約条件をそろえて失敗を防ぐ

見積もりと契約条件をそろえて失敗を防ぐ

建築確認(工事の前に、設計が法律に合っているかを役所や検査機関がチェックする手続き)を通ることと、家族が望む静けさが手に入ることは別の話です。

新築の防音でよく聞く後悔の話は「どこまでを約束していたのかが曖昧だった」ことから生まれます。

戸建てに関わる法令の位置づけ、複数社へ同じ条件を渡す方法、測定と是正の残し方の順に確かめましょう。

7-1.戸建ての法的最低基準と希望性能を分ける

建築基準法の遮音の規定である第30条が対象としているのは、長屋と共同住宅の各戸の界壁(アパートやマンションで、隣の住戸との間を仕切る壁)です。

一戸建ての住宅には隣の住戸と接する界壁そのものがないため、第30条は適用されません。戸建ての室内の壁や床に、法律で決められた遮音の等級はありません。

ただし、玄関が別で共用部分をもたない二世帯住宅など、建築基準法上の「長屋」にあたる場合は対象です。

第30条が長屋と共同住宅へ求めているのは、次の2つです。

  • ①界壁が政令の遮音性能の基準に適合し、国土交通大臣の定めた構造方法か大臣認定によること
  • ②その界壁を原則として小屋裏または天井裏まで達するように設けること

②は、天井が同じく政令の基準に適合し、大臣の定めた構造方法か大臣認定による場合にかぎって適用されません。

出典:e-Gov法令検索「建築基準法」/「建築基準法施行令

法令でわかるのは、長屋と共同住宅の界壁に最低限の遮音性能が求められていることまでです。一戸建ての部屋どうしや上下階がどこまで静かになるかは、法令ではわかりません。

必要な静けさは、施主の側から目標として指定し、契約の内容に組み込むことが必要です。打ち合わせでは「室内の遮音の目標をどの書面に書いていただけますか」と1問だけ確かめましょう。

7-2.住宅会社へ同じ要望書と質問を渡す

ハウスメーカーや工務店など、会社ごとに違う条件で見積もりを取ると、金額の差が何によるものか判断できません。

本記事で育ててきた音の要望書を1枚にまとめ、住宅会社にも防音の専門会社にも同じものを渡します。項目は次の9つです。

項目 書く内容
音源と音量 ピアノ、テレビ、子どもの足音など。アップライトピアノ1台のように台数も
音の方向 外から入る/外へ出す/家の中を伝わる
曜日・時間 平日と休日、朝・昼・夕・夜のどこで鳴るか。1回の長さ
目標 どの部屋で、どの時間帯に、どこまで聞こえにくくしたいか(数値を提案してほしい旨も)
対象の部屋 部屋名と広さ、階(例:1階の6畳)
工事範囲 壁の一部か6面すべてか。窓とドアの交換、構造の補強を含むか。浮き床の要否も費用の差とあわせて提案してほしい
設備 24時間換気を保ったまま、専用エアコン1台。電気と通信の配線
測定 完成後に測ってほしい。測り方と合格とみなす線の決め方も提案してほしい
是正 届かない場合の直し方、再測定の有無、費用の負担、期限

口頭の回答は、その日のうちに確認メールで残します。打ち合わせの進め方は注文住宅の打ち合わせの準備と記録方法、依頼先を絞る観点はハウスメーカーを決める7つのポイントにまとめられています。

共働きのご家庭は、担当を分けると続けやすくなります。片方が生活時間と音の記録、もう片方が仕様と見積もりの比較表を持ち、共有メモは1つにまとめましょう。会社ごとに分けると、比べるとき突き合わせられません。

7-3.測定・保証・未達時対応を契約書へ残す

高い遮音性能を求める工事では、完成後の確かめ方まで書面にしておくのが大切です。

契約前に、次の5点があるか読み合わせてください。

目標性能 どの部屋の、どの状態での数値か
測定条件 測定する位置、使う音源、対象とする周波数の範囲
設備の状態 24時間換気やエアコンを運転した状態で測るのか
合否の判断 どの数値をもって合格とするか
未達時の対応 是正の方法、再測定の有無、費用の負担、期限

5つのうちどうしても削れないのは、目標性能・合否の判断・未達時の対応の3つです。欠けると、完成後に「約束と違う」と言える根拠がなくなります。

「十分静かです」という説明は、契約書に書けません。書ける形に置き換えられるかどうかが、そのまま比較するうえでの判断材料になります。数値と条件で答えられる会社は、完成後の確かめにも応じやすい会社です。

契約前に、上記の5点が書面にあるか、家族で読み合わせましょう。

8.引き渡し前に防音性能を測定する

引き渡し前に防音性能を測定する

引き渡し前の確認は、契約で決めた条件のとおりに完成した状態で確かめる作業です。図面どおりの部材が付いているかを見るだけでは足りません。

測定の条件と合否、設備を動かした確認、未達箇所の記録の3つで進みます。

8-1.完成後測定の条件と合否を確かめる

完成後の測定は、契約時に決めた測定位置・音源・周波数の範囲・設備の運転状態で行います。条件が違えば数値も変わるので、当日になって条件を決めるのではなく、契約書に書いた条件をそのまま持ち込みます。

手配するのは住宅会社か防音の専門会社が一般的です。費用が本体工事に含まれるか別途かは会社ごとに違うので、見積もりの段階で「完成後の測定の費用は、本体に含まれますか。それとも別途ですか」と確かめてください。

立ち会えない場合も報告書は必ず受け取るようにしましょう。いつ・どこで・どんな状態で測ったかの記載がない報告書は、判断しようがありません。

8-2.窓・ドア・換気・設備を動かして確認する

数値の確認と並行して、音を出して耳で確かめる時間も必要です。確認する場所を把握しておくと短時間で回れます。

窓とサッシ 閉めて鍵をかけた状態で外の音を聞く
防音ドア 閉じたときの手ごたえ、枠とのすき間、床との合わせ目
換気と設備 24時間換気、室外機、給湯器、浴室換気を動かして寝室から聞く
貫通部 コンセント、点検口、配管まわりに耳を近づける

確認は、静かな時間帯と生活音のある時間帯の両方で行いましょう。夜だけ気になる音、日中だけ紛れてしまう音があるからです。

8-3.未達箇所の是正と再測定を記録する

気になる箇所は、その場の口頭のやり取りで終えないことが大切です。

写真をそえて、次の6つを書面へ残します。

日時と条件 確かめた日時、設備の運転状態、窓の開閉、天候
結果 測定値、または気になった音
合否 契約で決めた基準に照らした判断
是正 対応の方法と担当、費用の負担
再確認日 再測定や再確認の日
期限 引き渡し後に対応する場合の完了期限

入居後の工事は家具の移動と在宅の調整が必要になるため、日程の見通しも先に共有してもらいましょう。

施主検査の日程を決める前に、測定の担当者・所要時間・設備の運転条件をメールで確かめましょう。

まとめ

注文住宅の防音は、高価な建材をひと通り足す計画ではありません。困っている音を3つの方向に分けて、土地・間取り・部位・専用室・契約・完成後の測定へ順番に置き換えていく作業です。

変えにくい土地と間取り、換気と配管の経路を先に決めるのが土台になります。制度もカタログの数値も木造の戸建てを保証しないからこそ、目標を書面に残す手順に価値があります。

部分的な対策で足りるご家庭も、専用の防音室が必要なご家庭も、進め方は同じです。音の要望書を1枚だけ作って同じものを複数社に渡せば、金額の差が「範囲の差」か「性能の差」かを見比べます。周りの評判やSNSの声ではなく、ご自身の生活時間と間取り図を基準にしてください。

土地やハウスメーカー・工務店を検討中の方は、悩んでいる音を3つの方向に分け、音の悩みを本記事で紹介した表を見ながら音の要望書へ書き出すところから始めましょう。

すでに会社を絞っている方は、同じ条件で複数社へ防音計画と見積もりを依頼し、目標性能・測定条件・設備の状態・合否の判断・未達時の対応の5点と完成後の測定を並べて比べます。これから始まる家づくりに、ぜひ今回紹介した内容を役立ててください。

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