柱や梁・土台は建物を支える重要な部分です。注文住宅を建てるならどのような構造で家を建てるかを考えなくてはいけません。建築を依頼するハウスメーカーや工務店によって得意な構造が必ずあるため、業者を決める選定基準のひとつになるでしょう。
そこで今回は、注文住宅を建てるときに採用される建築構造の種類からメリット・デメリットについて解説します。ハウスメーカー・工務店を選ぶときのポイントについても紹介しますので、理解を深めて最良のパートナーを見つけてください。
この記事で学べるコト
- 注文住宅で採用される構造の種類がわかる
- 構造ごとのメリットとデメリットがわかる
- 業者選定のポイントがわかる
目次
1.注文住宅を建てるときに採用される主な3つの構造
建物の根幹となる構造を決めることは、家のデザインや間取りを決めるよりも重要です。どんなに見た目がきれいな住まいでも、目に見えない中身がしっかりしていなくては良い家とは呼べません。
そこで本章では、基礎となる構造の種類を紹介します。注文住宅などの戸建てで採用される建築構造は主に次の3種類です。
- 木造(W造)
- 鉄骨造(S造)
- 鉄筋コンクリート造(RC造)
次からは、それぞれの構造の特徴について詳しく解説します。
1-1.木造(W造)
日本で建築される戸建ての構造において、もっとも採用されているのが木造(W造)です。
総務省統計局は5年ごとに住宅や土地に関する統計調査を行っています。総務省統計局が公表している「平成30年住宅・土地統計調査」によると2018年に新築した戸建てのうち、92.6%は木造という調査結果でした。
参考:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」をもとに、筆者が一戸建てにおける総戸数から木造の割合を算出
日本の住宅で木造が多く採用される理由は、木が調湿効果の高い資材だからです。四季で移り変わる日本の気候にあっています。さらに資材価格も他の構造と比べると安価で加工がしやすい素材のため、扱う業者が多く木造住宅の割合が高いです。
工期 | 約3カ月~5カ月 |
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坪単価 | 40万円~70万円ほど |
木造住宅の工法については以下の記事で詳しく解説しています。工法の知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
1-2.鉄骨造(S造)
鉄骨造(S造)は建物の主要構造部である柱や梁などの骨組みに鉄骨を用いた構造です。鋼材の厚さによって「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」の2つに分類されています。
軽量鉄骨造 | 鋼材の厚さが6mm未満 |
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重量鉄骨造 | 鋼材の厚さが6mm以上 |
注文住宅などの戸建てを鉄骨造で建てるなら、軽量鉄骨造の鉄骨軸組工法で建築するのが一般的です。
鉄骨造の特徴は粘り強い素材であること。地震で負荷がかかって変形したとしても崩れにくいため、建物の倒壊を防ぐ耐久性があります。
ただし、火災による熱に弱いという点には注意しましょう。長時間の熱にさらされると変形してしまう性質をあわせもっています。そのため、鋼材を耐火材で囲う加工を施さなくてはいけないので費用が高くなりがちです。
鉄骨造で戸建てを建てるハウスメーカーは、自社の工場で骨組みを生産して現場で組み立てる手法を採用しているため、工期は比較的に短くできます。
工期 | 約3カ月~5カ月 |
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坪単価 | 60万円~90万円ほど |
1-3.鉄筋コンクリート造(RC造)
引っ張る力に強い鉄筋と圧縮力に強いコンクリートの両方の良い面を組み合わせた構造が鉄筋コンクリート造(RC造)です。強固な素材のため、耐震性や遮音性に優れています。
鉄筋とコンクリートを組み合わせることで、お互いの欠点を補っている構造です。鉄筋は空気中の水分や酸素によって錆びやすいという性質がありますが、コンクリートで囲うため、錆びや火災などの影響から防ぎます。
ただし、鉄筋コンクリート造はマンションやビルなどの大型建築に用いられる建築構造のため、一般的な戸建てにはあまり使われません。重量があるため基礎工事に時間がかかるため、工期が長期化しやすく鉄骨造よりも多くの建築費用が必要です。
工期 | 約6カ月~8カ月 |
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坪単価 | 70万円~100万円ほど |
2.「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」のメリット・デメリット
木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造には、それぞれ特徴があります。そこで、本章では構造別のメリットとデメリットを紹介します。
2-1.【木造】のメリット・デメリット
木造のメリットとデメリットは、下表のとおりです。
メリット | ・建築コストを抑えられる ・自由度の高い間取りが実現できる ・熱伝導率が低く断熱性能が高い |
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デメリット | ・維持管理に手間とコストがかかる ・法定耐用年数が短い ・施工業者によって仕上がりの差が生じる |
木造は鉄骨造・鉄筋コンクリート造と比較すると建築コストを抑えられます。
木材は加工がしやすいため、木造軸組工法であれば自由度の高い間取りを実現できるのが特徴です。また、増改築や間取りを変えるなどのリフォームにも適しています。
一方、維持管理に手間やコストがかかるのがデメリットです。老朽化や害虫、風雨により木材が傷んでしまう可能性があります。そのため、新築時にしっかりと対策することや定期点検・定期メンテナンスの実施により長く良い状態を維持することが大切です。
また、木造は人の手を介して建築するため、仕上がりに技術の差が大きく関係してきます。施工会社がどのような家を建てるのかモデルハウスを事前に見学するのがおすすめです。
2-2.【鉄骨造】のメリット・デメリット
鉄骨造のメリットとデメリットは、下表のとおりです。
メリット | ・工期が短い ・品質が安定しやすい ・耐震性に優れている |
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デメリット | ・耐火性が低い ・結露対策が必要になる ・断熱性能を高めるのにコストがかかる |
鉄骨造は工期が長くなると思われがちですが、比較的に工期は短いのが特徴です。戸建てを鉄骨造で建てる建築会社は大手ハウスメーカーになるので、工場生産された部材を現場で組み立てる方法によって工期を短くできます。さらに、工場生産のため品質に差がうまれにくいのも特徴と言えるでしょう。
一方、熱や錆に弱い素材というのがデメリットです。熱による変形や錆によって素材の強度が低下してしまう性質があります。耐火や錆を防ぐ処理をしなくてはいけません。
また、熱伝導率が高い素材のため、外気温の影響を受けやすいです。住宅の断熱性能を高めるのに設備投資に費用がかかることも覚えておきましょう。
2-3.【鉄筋コンクリート造】のメリット・デメリット
鉄筋コンクリート造のメリットとデメリットは、下表のとおりです。
メリット | ・耐震性が高く耐久性に優れている ・耐火性にも優れている ・間口が広く開放的な空間をつくれる |
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デメリット | ・建築コストが高い ・工期が長い ・設備投資にお金がかかる |
木造・鉄骨造と比較して「鉄筋コンクリート造」は強固な素材なので、耐震性が高く耐久性に優れています。鉄筋をコンクリートで覆っているので熱にも強く高い耐火性を有しています。
鉄筋コンクリートで建物を支えられるので、柱の数を減らし開放的な空間がつくりやすいのもメリットです。
一方、鉄筋コンクリート造はコストが割高です。素材にかかる費用はもちろん、重量がある素材なので地盤改良や基礎工事に費用がかかります。そのため、全体の建築コストが高騰します。また、工期が長くなるので人件費もかさんでしまいます。
建築コスト以外にも設備投資が必要です。熱伝導率が高い素材なので、断熱性能を高める措置が必要です。また、コンクリートは水分を含む性質があるため、カビや結露を防ぐのに換気システムの導入も必須になるので、設備投資にお金がかかります。
3.ハウスメーカーや工務店を選定するときに確認したい5つのポイント
注文住宅を成功に導くには、安心して任せられるパートナー企業を見つけなくてはいけません。そこで最後に建築会社を選ぶポイントを5つ紹介します。
業者選定で確認したいポイントは次の5つです。
- 得意な構造・工法を調べる
- 施工事例を調べる
- 担当者が安心できる人なのかを確認する
- 3社以上に見積もりを依頼する
- アフターサポートの保証期間と内容を確認する
3-1.得意な構造・工法を調べる
注文住宅を請け負っているハウスメーカーや工務店は、さまざまな構造・工法で家を建てられるわけではありません。必ず得意としている構造・工法が存在します。
たとえば、木造のみの企業もあれば木造と鉄骨造の両方を請け負っている企業もいます。そのため、どのような構造で注文住宅を建てるかという方向性にマッチする相談先を見つけることが大切です。
ホームページに掲載されている情報の調査やカタログを取り寄せることで、どのような構造・工法に強みをもっている企業なのかを容易に調べることができます。
3-2.施工事例を調べる
前述で紹介した「得意な構造・工法」を調べるとあわせて確認しておきたいのが、各社の施工事例を調べることです。
ホームページやカタログだけでは、企業が発信している強みは一方通行の情報でしかありません。そこで、事例という結果をふまえて、強みの整合性を調べておくことが大切です。
ホームページに施工事例が掲載されている場合は、どのような構造・工法で建築されている建物が多いかを調査します。また、実際にハウスメーカーや工務店で建てた方のインタビューなども参考にすると良いでしょう。
ただし、ホームページに掲載されている事例やインタビューは、満足度の高い情報をピックアップしているケースが多いです。そのため、すべてを鵜吞みにしないで参考程度に捉えておくようにしてください。
3-3.担当者が安心できる人なのかを確認する
注文住宅のように0から1を生み出す作業には、信頼できるパートナーの存在は必要不可欠です。そのため、ハウスメーカー・工務店へ相談に行き、担当の方が安心して任せられる人なのか見極めなくてはいけません。
実際に店舗などへ相談に行って話を伺うことで、担当者の提案力や知識量などを知れる良い機会です。ぜひ、気になるハウスメーカー・工務店を見つけたら、どのような方が担当についてくれるのか確認してください。
3-4.3社以上に見積もりを依頼する
注文住宅を依頼する候補先は1社ではありません。各社にそれぞれ強みがあるため、複数の候補に見積もりを依頼して比較するのが大切です。
同じ構造でも各社で設定している坪単価は異なります。さらに、工事にかかる費用も会社によってまちまちになるため、注文住宅の相談を検討している企業に見積もりを依頼しましょう。
できれば、3社以上の会社に相談するのがおすすめです。比較対象がふたつ以上あることで、費用の相場感を掴むことができます。
見積もり依頼するときのポイントについては「注文住宅の見積もりをハウスメーカー・工務店に依頼するときのポイント4つ」で解説しています。ぜひ、こちらの記事を参考に候補先を絞り込んでください。
3-5.アフターサポートの保証期間と内容を確認する
家を建てるだけでなく暮らしてからのことも考えて会社選びをするのが大切です。そこで確認しておきたいのが、各社の提供しているアフターサポートの保証期間と内容です。
注文住宅を建てる会社には、本記事で紹介している構造を含む「構造耐力上主要な部分と雨水の浸水を防止する部分は10年間保証しなさい」と住宅の品質確保の促進等に関する法律によって定められています。
そのため、構造に関して10年間の無償保証が受けられます。しかし、問題はその先の期間です。
20年・30年、長いところでは60年保証を謳う企業も増えてきました。しかし、10年以降は有償サポートの延長がほとんどです。そのため、延長したときに何にいくらの費用が必要になるのかを事前に確認しておきましょう。
また、上記に該当していない箇所もどのようなサポート内容になっているのかを確認します。アフターサポートについてわかりにくくしている企業もあるため、不明な点をなくすために質問して保証期間と内容を明らかにするよう心がけてください。
まとめ
注文住宅のような戸建てに採用される構造は「木造(W造)」「鉄骨造(S造)」「鉄筋コンクリート造(RC造)」の3種類です。2018年に行われた総務省統計局の調査によれば、日本で新築される92.6%は木造の戸建てとなっています。
本記事で紹介したとおり、構造ごとにメリット・デメリットがあります。結局のところ、どのような家を求めるかによって選ぶ構造は異なります。
間取りやデザインを決める以上に構造を決めることは、家の根幹を決める重要な判断です。ぜひ、本記事を参考に理想の家づくりに役立ててください。
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