マイホームの購入を検討しているなら優遇制度を理解しておくのが大切です。制度を知っていて上手に活用することで購入や建築にかかる費用負担を軽減できるからです。
住宅取得時に利用できる制度は多岐にわたります。利用できる期限や1年~数年ほどで改正があるため、全容を把握するには難しい部分も多々あります。
そこで今回は、2024年に新築住宅を購入するときに利用できる「補助金」「減税制度」「優遇金利」をまとめて紹介します。各制度の概要を理解してお得に住宅購入できるように事前準備に役立ててください。
この記事で学べるコト
- 2024年に新築住宅を購入するときに利用できる優遇制度がわかる
- 各種制度の概要がわかる
1.2024年に新築住宅の購入で利用できる補助金と優遇金利
本章では2024年に新築住宅の購入で利用できる補助金・優遇金利について紹介します。
2024年に利用可能な補助金・優遇金利は以下のとおりです。
- 子育てエコホーム支援事業
- 給湯省エネ2024事業
- 【フラット35】子育てプラス
それぞれの制度について詳しく解説します。
1-1.子育てエコホーム支援事業
新築住宅の省エネ設備投資を下支えするための補助制度です。2023年11月10日に「令和5年度補正予算案」が閣議決定して支援事業がスタートしました。
子育て世帯や若者夫婦世帯に対して、高い省エネ性能を有した注文住宅の新築や新築の分譲住宅を購入しやすくなるように、政府が費用の一部を支援してくれます。
「対象者の世帯」「住宅性能」「住宅タイプ」などクリアしなくてはならない諸条件がありますが、住宅性能に応じて以下の補助額が定められています。
住宅性能 | 補助額 |
---|---|
長期優良住宅 | 100万円/戸 |
ZEH水準の住宅 | 80万円/戸 |
ただし、市街化調整区域や土砂災害警戒区域または浸水想定区域が建築地の場合、「長期優良住宅」は1戸あたり50万円、「ZEH水準の住宅」は1戸あたり40万円と補助額が半額になるので注意が必要です。
詳しい条件や注意点については「【最大100万円】子育てエコホーム支援事業の補助制度を活用するための条件を徹底解説」で解説しています。過去の記事もあわせてご一読ください。
2023年12月27日には子育てエコホーム支援事業のホームページも開設されました。こちらのサイトも事前に確認しておきましょう。
1-2.給湯省エネ2024事業
子育てエコホーム支援事業の要件に満たない場合、給湯省エネ2024事業の活用を検討してください。給湯省エネ2024事業は、経済産業省が管轄している新築・リフォームで利用できる補助制度です。
エコキュート・ハイブリッド給湯機・エネファームといった性能の要件を満たした高効率な給湯器を設置する場合に補助対象となるため、対象者の世帯や住宅性能の縛りはありません。
導入する機器に応じて1台あたり8万円~18万円の基本額が補助されます。性能要件を満たした給湯器であれば、性能に応じて+αの定額補助が基本額に加算されます。補助額そのものは大きくないものの建築費用の一助となるでしょう。
ただし、給湯省エネ2024事業を活用するには「本事業の登録事業者との契約」や「本事業の対象となる期間」などの要件あるので注意が必要です。
一つの機器に対して子育てエコホーム支援事業と併用できない・国費が充当されている制度と併用できないといったルールもあるので、「給湯省エネ2024事業」に関して知識が豊富なハウスメーカーと相談しながら進めてください。
参考:経済産業省「給湯省エネ2024事業」
1-3.【フラット35】子育てプラス
住宅金融支援機構のフラット35では子育て世帯の住宅取得を支援するため、子育てプラスという新しいポイント制度が2024年2月13日からスタートします。
金利の変動リスクが懸念されるなか、固定金利の住宅ローンを検討している方にとってはフラット35もひとつの選択肢でしょう。
今回スタートする「【フラット35】子育てプラス」の魅力はなんといっても、子供の人数などに応じて金利が引き下げられ、ポイント数に応じて一定期間、優遇金利で住宅ローンを借入できます。最大で金利の引き下げ幅が年▲1.0%に拡大しました。
また、【フラット35】Sなどの住宅性能に応じた金利引き下げメニューと併用できるのがメリットです。
対象者は子育て世帯と若者夫婦世帯で要件は以下のとおりです。
- 子育て世帯:借入申込年度の4月1日時点で当該の子供の年齢が18歳未満である世帯
- 若者夫婦世帯:借入申込年度の4月1日時点で夫婦のいずれかが40歳未満である世帯
参考:住宅金融支援機構「子育て世帯を応援する【フラット35】子育てプラス 2024年2月13日スタート! ~令和5年度補正予算における制度拡充」
【フラット35】子育てプラスの新しいポイント制度は、2024年2月13日以降の資金受取分から適用です。
詳しくは住宅金融支援機構の「子育て世帯を応援する【フラット35】子育てプラス 2024年2月13日スタート! ~令和5年度補正予算における制度拡充」をご覧ください。
2.2024年に新築住宅の購入で利用できる減税制度
続いては減税制度です。2024年に利用できる主な減税制度は以下のとおりです。
- 住宅ローン減税
- 贈与税の非課税措置
それぞれの制度についても理解を深めましょう。
2-1.住宅ローン減税
住宅ローン減税とは、新築の住宅購入などで利用した住宅ローンの「年末時点の借入残高」に応じて一定の要件を満たせば、納税した所得税や住民税から一定期間、控除される制度です。
2022年の税制改正では2024年以降の入居から借入限度額を引き下げる予定でしたが、令和6年度税制改正大綱で住宅ローン減税に変更が加わり「子育て世帯」と「若者夫婦世帯」のいずれかの世帯が住宅ローン減税の適用を受ける場合に控除額が2023年と同様の水準が維持されます。
- 子育て世帯:18歳以下の子供がいる世帯
- 若者夫婦世帯:夫婦のどちらかが39歳以下の世帯
2024年に新築住宅に入居する場合、下表のとおり世帯に応じて控除額が異なります。
2024年入居 | ||
---|---|---|
子育て世帯・若者夫婦世帯 | 左記世帯以外 | |
認定住宅 | 455万円 | 409.5万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 409.5万円 | 318.5万円 |
省エネ基準適合住宅 | 364万円 | 273万円 |
その他の住宅 | 140万円(控除期間:10年) ※2023年までに新築の建築確認の場合 |
参考:国土交通省「住宅ローン減税」
住宅ローン減税の詳しい要件については「2024年の住宅ローン減税(控除)が一部変更!令和6年度税制改正の大綱からポイントを解説」で紹介しています。本記事とあわせてご覧ください。
2-2.贈与税の非課税措置
贈与税の非課税措置とは、自らが居住する新築住宅の取得や増改築に必要な費用の一部を親や祖父母などの直系尊属から贈与を受ける際にかかる贈与税が一定額まで非課税になる制度です。
当初は2023年12月31日に終了する予定でしたが、住宅取得を支援するため、令和6年度税制改正大綱で2026年12月31日まで延長されることとなりました。
参考:国土交通省「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」
非課税限度額は住宅の性能によって異なります。以下は住宅の性能に応じた非課税限度額です。
住宅性能 | 非課税限度額 |
---|---|
質の高い住宅 | 1,000万円 |
一般住宅 | 500万円 |
質の高い住宅の要件とは、以下のいずれかに該当している住宅です。
- 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上(ZEH水準の住宅)
※2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅もしくは2024年6月30日までに建築された住宅は、断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上(改正前の基準) - 耐震等級2以上または免震建築物
- 高齢者等配慮対策等級3以上
改定前は「断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上」の住宅性能が基準となっていましたが、今回の改定で住宅性能が「ZEH水準」まで引き上げられました。
上記の質の高い住宅の要件を満たしていない場合、一般住宅として扱われ限度額が500万円に下がります。
また、贈与税の非課税措置には床面積の要件もあるので注意が必要です。床面積要件は以下のとおりです。
- 50㎡以上
※贈与を受けた年の年分の合計所得額が1,000万円以下に限り、40㎡以上50㎡未満の住宅も適用される
贈与税の非課税措置の恩恵を享受するにはいくつかの要件があります。住宅取得の際に贈与による支援を受ける方は、本記事で紹介した要件を確認するようにしましょう。
税制度はわかりにくい部分が多くあります。不安な方はお近くの税務署で相談するのがおすすめです。
2-3.固定資産税の減額措置
不動産のような固定資産に対して課せられる税金です。資産を保有し続けている間は納税しなくてはいけません。
新築住宅の場合にかかる固定資産税は減額措置により負担を軽減できます。当初の予定では2024年3月末の期限付きでしたが、2026年3月31日までの2年間延長されることになりました。
新築住宅にかかる固定資産税に住宅のタイプに応じて、以下の表のとおり減額措置が適用されます。
住宅タイプ | 期間:軽減率 |
---|---|
戸建 | 3年間:1/2に軽減 |
マンション | 5年間:1/2に軽減 |
出典:国土交通省「令和6年度国土交通省税制改正概要」
戸建の場合は3年間、マンションの場合は5年間の固定資産税の税負担が半分に軽減されます。
2-4.登録免許税の軽減税率
新築住宅などの不動産を取得するときには、自身の所有物であると証明するために不動産登記をしなくてはいけません。この登記手続きをする際に必要となるのが登録免許税です。
登録免許税の軽減税率については2024年3月31日までの期間限定でしたが、昨今のインフレによる住宅取得の負担軽減を目的に3年間(2027年3月31日まで)延長することになりました。
登録免許税を算出するには「課税評価額×税率」の式を用いて計算します。税率は下表のとおりです。
本則税率 | 一般住宅 | |
---|---|---|
所有権保存登記 | 0.4% | 0.15% |
所有権移転登記 | 2.0% | 0.3% |
抵当権設定登記 | 0.4% | 0.1% |
出典:国土交通省「令和6年度国土交通省税制改正概要」
ただし、「自らが居住するための住宅」「床面積が50㎡以上」といった条件もあるので注意が必要です。
2-5.不動産取得税の特例措置
不動産取得税は住宅を取得するときに課せられる税金です。
土地の購入者が取得する際の負担を軽減して良質な住宅の建設・流通を促進することを目的とした特例です。特例措置の期間は2027年3月31日まで延長されます。
本則 | 特例措置 | |
---|---|---|
宅地評価土地の取得にかかる不動産取得税の課税標準の特例 | – | 1/2 |
土地等の取得にかかる不動産取得税の税率特例 | 4% | 3% |
出典:国土交通省「令和6年度国土交通省税制改正概要」
2-6.省エネ性能等に優れた住宅の普及促進にかかる特例措置
前述で紹介した「固定資産税」「登録免許税」「不動産取得税」の特例措置において、省エネ性能に優れた住宅については上乗せで優遇措置が設けられています。
省エネ性能の優れた住宅というのは「長期優良住宅」と「低炭素住宅」の2つが該当します。住宅性能別の特例措置は以下のとおりです。
長期優良住宅
固定資産税:一般住宅よりも適用期間を延長
登録免許税:一般住宅よりも税率を引き下げ
不動産取得税:一般住宅よりも課税標準からの控除額を増額
低炭素住宅
登録免許税:一般住宅よりも税率を引き下げ
比較でわかるように表でまとめています。ぜひ、参考にしてください。
固定資産税
一般住宅 | 長期優良住宅 | |
---|---|---|
戸建 | 3年間:1/2に軽減 | 5年間:1/2に軽減 |
マンション | 5年間:1/2に軽減 | 7年間:1/2に軽減 |
※2026年3月31日までの特例措置
登録免許税
本則税率 | 一般住宅 | 長期優良住宅 | 低炭素住宅 | |
---|---|---|---|---|
所有権保存登記 | 0.4% | 0.15% | 0.1% | 0.1% |
所有権移転登記 | 2.0% | 0.3% | 0.2%(戸建) 0.1%(マンション) |
0.1% |
※2027年3月31日までの特例措置
不動産取得税
一般住宅 | 長期優良住宅 | |
---|---|---|
控除額 | 1,200万円 | 1,300万円 |
※2026年3月31日までの特例措置
まとめ
今回は、子育てエコホーム支援事業・【フラット35】子育てプラス・住宅ローン減税・贈与税の非課税措置の4つの制度について紹介しました。
2024年は新築住宅のメインの購入層である「子育て世帯」「若者夫婦世帯」に対する優遇制度が豊富です。各種制度の理解を深めておくことで有利に住宅購入できます。本記事を参考に住宅取得の一助になれば幸いです。
制度の利用にはそれぞれ諸条件があります。期限を設けている制度もあるため、2024年に住宅取得を検討している方は早めの行動がおすすめです。
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