2023年9月25日に国土交通省より「建築物の省エネ性能表示制度のガイドライン等を公表しました!」のリリースがありました。
そこで、今回は新築住宅の購入を検討されている方に向けて、省エネ性能表示制度の強化において住宅購入者にどのような変化があるかを速報ベースでお伝えします。
※執筆時点の情報をもとに本記事を作成しているため、今後内容が変更になる場合がございますのでご承知おきください。
この記事で学べるコト
- 省エネ性能表示制度が強化されることで何が変わるかわかる
- 省エネ性能ラベルの項目とメリットがわかる
目次
1.省エネ性能表示制度の強化によって何がかわる?
今回の省エネ性能表示制度の強化によって変化するポイントは「住宅の性能が視覚的にわかりやすくなる」ことです。
住宅性能を表す省エネ性能表示制度では、以下の2種類が発行されます。
- 省エネ性能ラベル
- エネルギー消費性能の評価書
とくに新築住宅を検討している方にとって嬉しいのが「省エネ性能ラベル」です。本記事では、この省エネ表示ラベルを中心に解説していきます。
省エネ性能ラベルは、販売物件を掲載しているホームページやポータルサイト・販売チラシなど、物件を掲載している媒体で使用される住宅性能をわかりやすく可視化した画像です。
下図は国土交通省が2023年9月時点で想定される省エネ性能ラベルのイメージです。
引用:国土交通省「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表⽰制度」
対象となる物件は、2024年4月以降に建築確認申請を行なって販売される新築住宅。つまり、2024年4月以降に住宅性能がわかりやすく理解できる省エネ性能ラベルを目にする機会が増えます。
※対象となる物件が再販売・再賃貸の場合も制度の対象です。
物件を比較する際に省エネ性能ラベルによって「住宅性能」という要素を認識できるようになります。そのため、「販売価格」や「立地」といったこれまでの主要な比較対象のほかに、住宅性能を視覚的に比較しやすくなるでしょう。
ただし、本制度は努力義務である点は注意が必要です。対応するかはハウスメーカーの判断となるため、新しい「建築物の省エネ性能表示制度」が標準化されるまではもう少し時間がかかると覚えておいてください。
2.省エネ性能ラベルでわかる9つの項目
前述で紹介したサンプル画像のように、省エネ性能ラベルは次の9つの項目を確認できます。
- エネルギー消費性能
- 断熱性能
- 目安光熱費
- 再エネ設備の有無
- ZEH水準に達しているか
- ZEH住宅であるか
- 自己評価か第三者評価か
- 対象の建物名称
- 評価日
それぞれの項目について本章では詳しく解説します。
2-1.エネルギー消費性能
星で表示されているのがエネルギー消費性能です。
住宅に必要な空調や給湯器、照明などの設備にかかる一次エネルギー消費量をどれだけ削減できるかを星の数で表しており、削減率が高ければ高いほど星の数は増えていきます。
1つの星でエネルギー消費量の10%分(1〜10未満)の削減率を表しています。つまり、星が3つ以上あればエネルギー消費量を20%以上削減している住宅と判断できるため、後述するZEH水準である基準を満たしていると言うことがわかります。
また、通常の星のマーク以外に強調された星もあります。10%分のエネルギーを削減する太陽光発電システムが搭載された住宅には強調された星が表示されます。
※自家消費で使う太陽光発電システムが対象です。
太陽光発電システムが付いた住宅を検討している方は、強調された星もあるかを確認するようにしましょう。
2-2.断熱性能
続いては断熱性能です。断熱性能は1〜7段階で表されます。断熱性能の数字が大きければ大きいほど断熱性に優れた住宅です。
断熱性能の高い住宅とは、室内の温度が外気温に左右されず「夏場は涼しく」「冬場は暖かい」快適な室温で生活できる住宅です。
評価の基準は品確法にもとづいて「室内の熱が外に逃げにくさ」と「冬場の平均日射熱の入りやすさ」の2つの点から建物の断熱性能を評価します。
過去に断熱性能の高い住宅について解説した記事を公開しています。あわせてご覧ください。
2-3.目安光熱費
国が定める計算方法で算出されて表示されるのが「目安光熱費」です。任意の項目であるため、表示のない省エネ性能ラベルもあります。
目安光熱費は電気やガス・灯油の設計二次エネルギー消費量を全国で統一された燃料単価から年間の光熱費を算出しています。
計算方法は共通の条件で計算されているため、実際の契約プランや家族のライフスタイルなどで年間消費量・単価が異なるので、実際にかかる年間光熱費と異なるので注意しましょう。
金額はあくまで目安として捉えてください。
2-4.再エネ設備の有無
ラベル右上には再生可能エネルギー利用設備が設置された住宅かマークで表示しています。
再エネ設備が設置されている場合は「再エネ設備あり」、設置されていない場合は「再エネ設備なし」と表示されるため、再エネ設備の有無がわかりやすく判断できます。
2-5.ZEH水準に達しているか
基準一次エネルギー消費量から「20%以上」の一次エネルギー消費量削減と断熱等性能等級5以上の基準をクリアするとZEH水準の住宅です。
エネルギー消費性能で星を3つ獲得して、かつ断熱性能で5以上を達成している住宅についてはZEH水準の住宅としてマークがつきます。
ZEHについて詳しくは「ZEH(ゼッチ)基準の戸建てが当たり前?2022年以降のロードマップから重要なポイントを解説」で紹介しています。
2-6.ZEH住宅であるか
ZEH住宅の場合、省エネ性能ラベルにZEH住宅である証が表示されます。
「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(NET Zero Energy House)」の頭文字の略称で、創るエネルギー(創エネ)や使うエネルギー(省エネ)、断熱性能の相乗効果によって一次エネルギーの消費量をおおむねゼロにする住宅がZEH住宅です。
使うエネルギーよりも創るエネルギーの比率が高く光熱費を抑えられるので、ZEH水準よりも高機能な住宅の証であるマークがつきます。
だだし、省エネ性能ラベルにネット・ゼロ・エネルギーを表示できるのは第三者評価だけです。自己評価は表示できません。
ZEH住宅の購入を検討している方は、ネット・ゼロ・エネルギーのチェックと誰が評価したのかを確認するようにしましょう。
過去の記事でZEH住宅について紹介しています。詳しく知りたい方は、本記事とあわせてご覧ください。
2-7.自己評価か第三者評価か
省エネ性能ラベルは新築住宅を販売している販売事業者が自ら評価する「自己評価」と登録建築物エネルギー消費性能判定機関等による第三者機関が評価する「第三者評価」の2通りがあります。
2024年4月以降で検討するのであれば、信頼性の高い客観的な立場で性能を評価している第三者評価でラベルを取得している物件がおすすめです。
2-8.対象の建物名称
省エネ性能ラベルがどの物件を対象としているかを知れるのが建物名称です。
複数棟を販売している一団の新築住宅では、ひとつひとつ住宅性能がことなるため、ポータルサイトなどに掲載されている省エネ性能ラベルはどの物件を対象としているのかしっかりと確認しましょう。
2-9.評価日
ラベル左下に記載されているのが評価日です。いつの時点で省エネ性能が評価されたのか日付で表示されます。
3.省エネ性能ラベルの2つのメリット
省エネ性能ラベルによって、新築住宅の購入検討者が享受できるメリットは大きく次の2つです。
- 新築物件の住宅性能を比較しながら購入検討できる
- 住宅ごとの省エネ性能を短時間で収集できる
上記2つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
3-1.新築物件の住宅性能を比較しながら購入検討できる
メリットのひとつ目は、省エネ性能ラベルによって視覚的に住宅性能の良し悪しが判断できるようになることです。各ハウスメーカーが販売している新築住宅を性能ベースで比較検討することができます。
これまで各社の不動産広告は、住宅性能に関しての表現がまちまちで統一性がなく比較しにくい印象でした。しかし、省エネ性能ラベルの登場によってポータルサイトやチラシなどで見かける新築物件は住宅性能がひと目で理解できます。
このように、候補の物件を絞り込む際に住宅性能を判断材料のひとつとして考えることができるため、比較検討の一助となるでしょう。
3-2.住宅ごとの省エネ性能を短時間で収集できる
前述の「2.省エネ性能ラベルでわかる9つの項目」で紹介したとおり、省エネ性能ラベルでは9つの項目が一つに集約されています。
すきま時間で情報収集する方にとって、ぱっと見で情報を理解できるラベルのおかげで効率的に短時間で情報が集められるのもメリットです。
住宅を購入するうえで重視したいポイントを整理して、関心のある物件ごとに調査しなくてはいけません。個人で情報収集するには時間を要してしまいます。
そのため、必要な情報がひとつにまとまっている省エネ性能ラベルで住宅性能を短時間で理解できます。
まとめ
今回の省エネ性能表示制度の強化によって「住宅の性能がわかりやすく」表記されるようになります。とくに新築物件の購入を検討している方は、省エネ性能ラベルを目にする機会が今後増えてくるでしょう。
省エネ性能ラベルには本記事で紹介したとおり9つの項目を確認できます。
- エネルギー消費性能
- 断熱性能
- 目安光熱費
- 再エネ設備の有無
- ZEH水準に達しているか
- ZEH住宅であるか
- 自己評価か第三者評価か
- 対象の建物名称
- 評価日
ご自身の新築に求める条件を満たしている住宅かを視覚情報から理解することができます。
本記事でも紹介したとおり省エネ性能ラベルによって、新築住宅の意思決定するうえで判断材料が増えるようになるため、購入検討者にとってはメリットです。
ぜひ、2024年4月以降は今回紹介しました省エネ性能ラベルをもとに新築物件を比較して、理想の物件と出会う判断材料のひとつにしましょう。
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