マイホームは欲しいけど、できるだけ予算を抑えて安く家を建てたい!と考える方も少なくないでしょう。ハウスメーカーや工務店のなかには、ローコストで家づくりを手がける建築会社も存在しているため、建築費用を抑えつつ注文住宅を建てることが可能です。
しかし、建築費用を抑えている分、建てる前に知っておいて欲しい注意点もあります。
そこで今回は、ローコストで注文住宅を建築している会社の費用相場から安価に家を建てられる理由、事前に覚えておく注意点について解説します。
限られた予算内で注文住宅を建てたい方は、ぜひ、本記事を参考にしてください。
この記事で学べるコト
- ローコストで注文住宅を建築している会社の費用相場がわかる
- 安価に注文住宅を供給できる理由がわかる
- 建てる前にローコスト住宅の注意点がわかる
- 会社選びで失敗しない方法がわかる
目次
1.ローコストで注文住宅を建築している会社の費用相場
本章では、ローコストで注文住宅を請け負うハウスメーカーや工務店が「一体いくらで家を建てることができるのか?」という疑問について解説していきます。
まずは、注文住宅を新築した場合の建築費用の相場をみてみましょう。
1-1.注文住宅の建築費用は全国平均で3,861.1万円|坪単価は106.8万円
注文住宅の平均建築費用は、住宅金融支援機構が公表しているフラット35利用者調査で調べることができます。フラット35利用者調査は毎年夏ごろに更新されており、2023年のデータが最新です。
本調査の結果は、実際の借入申込のデータをもとに算出されています。物件種別やエリア別の建築費・住宅面積など、さまざまな調査結果を閲覧できるので家づくりを考えている方にとっては参考になる指標です。
2023年における注文住宅の平均建築費用は、下表のとおりです。
エリア | 建築費用 | 住宅面積㎡(坪) |
---|---|---|
全国 | 3,861.1万円 | 119.5㎡(36.14坪) |
首都圏 | 4,190.2万円 | 120.4㎡(36.41坪) |
近畿圏 | 4,142.1万円 | 123.2㎡(37.26坪) |
東海圏 | 3,893.4万円 | 121.0㎡(36.60坪) |
その他の地域 | 3,623.8万円 | 118.0㎡(35.69坪) |
参考:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」
上記のデータをもとに、エリアごとの坪単価を試算すると次の表のとおりです。
エリア | 坪単価 |
---|---|
全国 | 約106.8万円 |
首都圏 | 約115.0万円 |
近畿圏 | 約111.1万円 |
東海圏 | 約106.3万円 |
その他の地域 | 約101.5万円 |
上表の坪単価で注意したいのが、融資実行をもとに計算されている坪単価ということです。
一般的にハウスメーカーや工務店が公表している坪単価は建物の本体価格のみで算出されているケースがほとんどです。つまり、付帯工事費や諸経費などが含まれていません。
建物全体の価格から付帯工事・諸経費は30%ほどを占めていると言われています。そこで、先ほどの坪単価に0.7掛けした坪単価が次の表です。
エリア | 坪単価(0.7掛け) |
---|---|
全国 | 約74.7万円 |
首都圏 | 約80.5万円 |
近畿圏 | 約77.7万円 |
東海圏 | 約74.4万円 |
その他の地域 | 約71.0万円 |
ハウスメーカー・工務店が公表している坪単価とおおむね近しい単価になってくるでしょう。
上表の坪単価に建物面積(延床面積)の坪数を掛けることで、おおよその建築費用の相場がみえてきます。
坪単価については「家を建てるなら知っておきたい坪単価のカラクリ」で詳しく紹介しています。坪単価をもっと詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
1-2.ローコスト住宅メーカーの坪単価は約35万円~55万円が相場
平均の建築費用がわかったところで、次は坪単価の相場をみてみましょう。
注文住宅の建築費用というのは、ハウスメーカーや工務店が提示する言い値です。そのため、建築会社ごとに相場は異なります。
おおむねの相場感をつかむためにも次の表を参考にしてください。
建築会社の例 | 坪単価の相場 |
---|---|
ローコスト住宅メーカー・地場の工務店 | 約35万円~55万円 |
中小規模工務店 | 約50万円~70万円 |
大手ハウスメーカー(木造・鉄骨造) | 約70万円~100万円 |
大手ハウスメーカー(鉄筋コンクリート造)・ゼネコン | 約100万円~ |
上表はあくまで一例と理解したうえで、参考程度に覚えておきましょう。また、本体価格から算出されている坪単価というのも注意が必要です。
このように、どこのハウスメーカー・工務店にどのような設備・仕様の家づくりを依頼するかで坪単価は変わります。
たとえば、ローコスト住宅メーカーと大手ハウスメーカーとでは、同じ40坪で木造の家を建てる場合に建築費用は次のような金額差があります。
大手ハウスメーカー(木造):約2,800万円~4,000万円
単純計算ですが、ローコスト住宅メーカーと大手ハウスメーカーでは、建築費用に800万円~2,600万円もの差が生じます。
本体価格で計算された坪単価になるため、付帯工事費・諸費用など、追加費用が必要になることも覚えておいてください。
2.どうして安く建てられるの?ローコスト注文住宅の4つの特徴
前述で解説したとおり、注文住宅の建築費用というのはハウスメーカーや工務店ごとに異なります。そのため、注文住宅を安く建てるにはどこの会社に依頼するかで大きく変わってきます。
それでは「なぜ安価に建築を請け負える会社が存在するのか?」。本章では、ローコストで建築を請け負える会社の特徴を4つ紹介します。
多くの場合は企業努力によるコスト削減が影響しています。具体的には次の4つで建築コストが還元されています。
- 大量仕入れによる資材や設備の原価圧縮
- 規格化による工事の標準化と人件費削減
- 広告宣伝費の削減
- 移動コストの削減
4つの特徴について、ひとつずつみていきましょう。
2-1.大量仕入れによる資材や設備の原価圧縮
注文住宅を建てるときにかかる費用のうち、割合が大きいのが建築資材や住宅設備の費用です。家を建てるのに必要な建築資材や住宅設備の原価を圧縮できれば、建築価格を抑えることに期待できます。
そこで、ローコスト住宅メーカーは取引業者との間で資材や設備を大量に仕入れる代わりに仕入れ値を下げる交渉しています。ただし、交渉を可能にするには、年間の着工棟数が一定数以上ある建築会社や住宅を規格化しなければ難しいのが実情です。
大量仕入れによる原価の圧縮が、建築費用を抑えるひとつの要因としてあげられます。
2-2.規格化による工事の標準化と人件費削減
建築する家の間取りや設備など、ハウスメーカー・工務店があらかじめ用意している住宅を規格住宅と呼んでいます。
建築主はすでに決められたプランのなかから選択しながらつくりあげるため、注文住宅よりも自由度が低い反面、建築費用が抑えられるという特徴があります。
同じ商品の利用頻度が高く前述で紹介した原価圧縮が実現できるのに加えて、工期を短縮できるというメリットがあるからです。
建築費用のうち、工事にかかる人件費も多くの割合をしめています。規格化されることにより工事の工程が標準化され作業効率が格段にあがるため、工期を短縮できる=工事に必要な人件費を削減につながります。
2-3.広告宣伝費の削減
大手ハウスメーカーでは、テレビCMや交通広告・チラシやポータルサイト・住宅展示場への出展など、ブランド認知を拡大させる目的として多角的な広告戦略をおこなっています。
広告の規模が大きくなればなるほど、企業の広告宣伝費はかさみます。そのため、利益確保のためには広告宣伝費を建築費用に転嫁せざるを得ません。
大手ハウスメーカーの建築費用が高い理由がここにあります。ブランド価値として費用が上乗せされているからです。
一方、ローコスト住宅メーカーは、培ってきた顧客や企業からの紹介や最低限の広告宣伝費で、集客をおこなっているところが多いです。その分、建築費用を抑えた家づくりを提供しています。
2-4.移動コストの削減
移動には時間もコストもかかります。そのため、ローコスト住宅メーカーは施工エリアを限定している場合が多いです。
営業拠点から現場までの距離があると移動の時間だけでも担当は拘束されることになります。移動にかかるガソリン代や高速代・人件費などがかさんでしまうので、移動コストといっても積み重なれば大きな金額になるからです。
さらに、1日でまわれる現場の数も少なくなるなど効率も悪くなります。このような移動にかかるコストを削減するため、ローコスト住宅メーカーは施工エリアをあえて広げずに、対応範囲を限定しています。
このように削減した移動コスト分を建築費用に還元している企業が多いです。
3.ローコスト注文住宅を建てる前に知っておきたい5つの注意点
ローコスト住宅メーカーは、さまざまな企業努力によって低価格で質の高い住宅を供給しています。そのため、建築主は初期にかかる費用負担を軽減できています。
しかし、安価に注文住宅を手に入れられるメリットがある一方、大手ハウスメーカーなどと比べて見劣りしてしまう部分があるのも事実です。
そこで本章では、ローコスト住宅メーカーで注文住宅を建築する際の注意点について解説していきます。
3-1.耐震性や省エネ性などの住宅性能が低い
建築基準法で定められている建築基準を満たして建築されているので住宅性能は担保されているものの、高性能な住宅と比べると品質は低くなりがちです。
日本の住宅には住宅性能表示制度という制度があります。注文住宅の新築では10の分野・34の事柄から住宅の安全性・快適性を数字や等級で可視化している指標です。
この住宅性能表示制度は、建築基準にもとづく最低限の等級が1とされ、性能を大きく上回るようであれば等級が上がる仕組みになっています。
ローコストの注文住宅の場合は建築費用を抑えるため、各分野の等級が低いケースが多いです。住宅性能は暮らしてからの快適性に影響します。高性能な住宅と比べると快適性は劣ってしまうので注意してください。
参考:すまいの情報発信局「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」
3-2.メンテナンスコストが高くなる
ローコスト住宅メーカーがつくる注文住宅は、導入時に必要な建築費用は低いです。しかし、新生活をスタートさせた後にかかるメンテナンスコストが高くなる傾向があります。
前述で紹介したとおり住宅性能が低いため耐久性が低く、メンテナンスの頻度が高くなるからです。
快適な住環境を維持するためにはメンテナンスが必要になります。ランニングコストがかかることを想定したうえで、維持管理に必要な修繕積立を計画しておくと良いでしょう。
3-3.プランの自由度が低い
注文住宅は好きな間取りや設備・内装や外装などを自由に決めて、自分好みの家づくりができると考えている方も少なくないでしょう。
しかし、ローコスト住宅メーカーの特徴のなかでも軽く触れましたが、規格住宅で建築費用を抑えているため、プランの自由度は低くなりがちです。
ローコスト住宅メーカーがあらかじめ用意したプランのなかから、気に入るプランを選んで家づくりをしていくので「Instagramでみたこの外壁をつかいたい!」「雑誌でみたこのメーカーのキッチンを導入したい」といった理想の家づくりが反映されにくいです。
3-4.住宅設備のグレードが低い
ローコストの注文住宅は、高性能な住宅と比べると住宅設備のグレードが低い傾向です。建築コストを抑えるためにグレードが一番低い設備や下から2番目程度のグレードの設備など、もともと低価格帯の住宅設備を標準仕様として採用しているケースが多いからです。
通常、ハウスメーカーや工務店は、標準とオプションの設備・仕様を設けています。ローコスト住宅メーカーも同様に、標準仕様とオプションのふたつがあります。標準の設備・仕様からグレードを上げようとオプションを選ぶと、建築費用は高くなります。
これは「2-1.大量仕入れによる資材や設備の原価圧縮」で解説しているとおり、大量仕入れで原価を圧縮している設備のため、オプションを採用すると建築コストするからです。
標準仕様・オプションの違いについては別の記事で解説しています。「標準仕様とオプションの違いは?家づくりを成功させる具体的な3つの行動」詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
3-5.アフターサポートにもの足りなさを感じる
大手ハウスメーカーなどと比べるとアフターサポートにもの足りなさを感じてしまうかもしれません。
最近では、住宅の品質が向上しているため、30年以上の長期保証が当たり前になりつつありますが、ローコスト住宅メーカーでは10年~20年と保証期間が短い傾向です。
また、保証内容も大手は保証の対象になっているサポートも、ローコスト住宅メーカーではサポートしていない場合があるので注意が必要です。
4.ローコスト注文住宅を建ててから後悔しないために!会社選びで失敗しないための3つの方法
最後にローコストで注文住宅を建てたあとに後悔しないために、会社選びで失敗しないための基本的な方法を3つ紹介します。
どれもすぐに実践できる方法なので、ぜひ参考にしてください。
- 建築会社の金額とプランを比較する
- 営業担当との相性が良い
- アフターサービスが充実しているか確認する
それでは、ひとつずつ解説していきます。
4-1.建築会社のプランと建築費用を比較する
建築会社の比較は必ずおこないましょう。最低でも3~5社程度は比較した方が良いです。
「〇〇さんから紹介された建築会社だから」「1社聞いてみて予算もあうし要望も叶うから」という理由で、安易に会社を決めてしまうと、のちに後悔してしまう確率があがってしまいます。
本記事で紹介しているとおり、建築費用は会社ごとに異なりますし標準仕様も各社によって違います。そのため、同じ条件でプランを依頼した場合の建築費用がいくらになるのか見積もりを依頼して比較するのが良いでしょう。
ぜひ気になる建築会社のホームページから希望するプランの概要を伝えて、見積もりを依頼する方法をとってください。
ただし、各社のホームページから問い合わせする方法は手間も時間もかかります。そのため、効率よく各社のプラン・見積もりを比較するなら「タウンライフ家づくり」のサイトを利用するのも良いでしょう。
建築を検討しているエリアにマッチした建築会社を1回の問い合わせで複数社紹介してもらえるサービスです。間取りプランや概算の見積もりの他にも、資金計画もプランニングしてくれます。
無料で利用できるサービスなので、効率よく情報収集したい方はタウンライフ家づくりのサイトを確認してください。
4-2.アフターサポートが充実しているか確認する
家づくりは建てて終わりではなく、建ててからの管理も重要です。快適な生活を続けて行くためには、定期的なメンテナンスが大切。建築会社の善し悪しを把握するうえでは、アフターサポートが充実しているかどうかを確認しなくてはいけません。
住宅を購入すると定期点検・メンテナンスがあります。新築の場合、3ヵ月・6ヵ月・1年・2年などの周期に点検をおこない、必要に応じてメンテナンスを実施します。
メンテナンスには短期保証と長期保証があり、約款で定めている範囲や品確法に準ずる範囲を無償メンテナンス、それ以外を有償メンテナンスとして扱っているケースが多いです。
そのため、「どのくらいの期間が保証されているのか」「無償メンテナンスの区分はどこまでが該当するのか」「点検の頻度はどの程度か」など、購入後も安心して暮らせるように各社のアフターサポートが充実しているか比較するようにしましょう。
4-3.営業担当と相性が良い
建築会社の営業担当と相性は、会社選びで大切な要素のひとつです。
長期的な付き合いになる家づくりでは、営業担当は建築主の意向をくみ取ってプラン提案しなくてはいけない立場からです。ときには、予算的に叶わない場合、はっきりとできない旨を示してくれなくてはいけません。
このように、なんでも「できます!」と回答してくる営業担当よりも、「できることとできないこと」を的確に明示してくれて、かつ、できないことにも代替え案を提示してくれるなど、建築主に対して真摯に向かい対応してくれる営業担当が良いでしょう。
家という大きな買い物の場合、人と人との関係性も大切です。建築会社に問い合わせしたあとに担当してくれる営業との相性が良いのかにも目を配りましょう。
まとめ
注文住宅をできるだけ安く建築するには、ローコスト住宅メーカーに相談するのがおすすめです。ローコスト住宅メーカーの坪単価は約30万円~50万円が相場で、40坪の家を建てるとなると1,200万円~2,000万円ほどで注文住宅を建てられます。
このように安価に建築できるのは、ローコスト住宅メーカーの企業努力があるからです。建築資材の原価圧縮や効率化による人件費など無駄なコストを削減し、建築価格に還元しているといった背景があります。
また、建築費用を抑えられる分、注意しなくてはいけないポイントがあるのも事実です。本記事で紹介した注意点を事前に把握したうえで、納得できるポイントを見つけなくてはいけません。
会社選びは、満足する家づくりや入居後に快適な生活を送れるかを左右する重要な要素です。今回紹介した3つの方法は基本的な内容になるため、必ず実践して楽しく家づくりを始めましょう。
「どこの建築会社に相談しよう?」
業者選びを始めるなら
各社のプランを無料で比較!
- 注文住宅は一生に一度の大きな買い物。絶対に失敗したくない!
- 家族の理想を叶えてくれる建築会社が判断できない。。。
- オシャレな写真を参考にしてるけど、取り入れたいプランがありすぎる!
ひとつでも当てはまるなら、
複数社のプラン比較がおすすめです
家族の理想をカタチにできる注文住宅。
理想を実現するためには、優れたパートナー選びが重要。
しかし、自分とマッチする建築会社を探すためには
各社のモデルハウスを見学
問い合わせフォームからカタログ請求
と、一社一社調べるには時間も手間もかかる...
そこで、すきま時間の情報収集で利用してほしいのが
「タウンライフ家づくり」です。
タウンライフ家づくりでは、家づくりで大切な「資金計画」から「間取り」など、あなたの要望にあったプランをまとめて比較できます。
もちろん利用は無料!
提案してくれた企業と契約しないといけない縛りもありません。
これから理想の家づくりを始めるなら、まずは自分にピッタリな間取りプランを把握しましょう。