2023年9月28日、予算上限に達して惜しまれながら受付申請が終了したこどもエコすまい支援事業。この支援事業に変わる新たな住宅取得を下支えする制度が2023年11月10日に閣議決定しました。
その名も「子育てエコホーム支援事業」。新築する住宅の条件をクリアすれば最大100万円の補助が受けられる制度です。
そこで今回は、本制度を活用するための条件から過去のこどもエコすまい支援事業との違いについて解説します。
これから1年以内に新築住宅の購入を検討している方にとっては、本制度を上手に活用しないと悔しい思いをすることになるでしょう。ぜひ、本記事で理解を深めてください。
※本記事は、国土交通省の「子育てエコホーム支援事業の内容について」をもとに執筆しています。子育てエコホーム支援事業は今後の国会で補正予算の成立が前提です。
この記事で学べるコト
- 子育てエコホーム支援事業の概要がわかる
- 制度を活用するための条件がわかる
- こどもエコすまい支援事業との違いがわかる
目次
1.子育てエコホーム支援事業は新築住宅の省エネ設備投資を下支えするための制度
2023年11月10日に「令和5年度補正予算案」が閣議決定されたため、国土交通省のホームページで公表された子育てエコホーム支援事業。子育てエコホーム支援事業は、新築住宅の取得や中古住宅の省エネ性能を高めるリフォームしやすくなるように政府が支援してくれる補助制度です。
※本記事では新築住宅の情報をまとめています。リフォームについては別の記事で解説する予定です。
制度の名称に「子育て」とありますが、対象者は子育て世帯と若者夫婦世帯です。対象の世帯が高い省エネ性能を有した注文住宅の新築や新築の分譲住宅を購入、省エネ性能を高めるリフォームがしやすくなるように、政府が工事費用・購入費用の一部を支援してくれます。
※対象条件について詳しくは後述します。
対象となる世帯が限定的なのは、政府が以下の目的を掲げているからです。
エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュートラルの実現を図る
引用:国土交通省「子育てエコホーム支援事業について」
どうしても住宅の省エネ性能を高めるには、設備投資に費用がかさんでしまいます。昨今の物価高騰によって住宅価格が高騰するなかでも新築住宅を取得しやすいように政府が支援して住宅取得者の負担を少しでも軽減して、住宅の着工数の減少を抑えるのが本制度の狙いと言えるでしょう。
とくに、新築住宅を購入する主要な世帯に対して補助制度で支援を行いながら、国としては2050年の目標で掲げている脱炭素社会の実現に向けて高い省エネ性能を有する住宅のストックを増やすため、2,100億円もの予算を投じるのです。
ただし、子育てエコホーム支援事業は令和5年度補正予算案が国会で成立してはじめて決定となります。
本記事は補正予算が成立する前の執筆時点の情報です。2022年11月27日時点で国土交通省より発表されている「子育てエコホーム支援事業の内容について」の資料をもとにしています。
2.子育てエコホーム支援事業の対象となる3つの条件
子育てエコホーム支援事業の対象となるには、「対象者」「住宅性能」「住宅タイプ」のそれぞれの条件を満たしていなくてはいけません。
それぞれ3つの条件について詳しく紹介します。
2-1.対象者の条件
子育てエコホーム支援事業の対象者は「子育て世帯」と「若者夫婦世帯」の2つの世帯です。
子育て世帯
子育て世帯は本制度の申請時点で子供がいることと、子供の年齢が2023年4月1日時点で18歳未満の子供(2005年4月2日以降に出生)がいる家族が対象です。
ただし、2024年3月末までに着工着手する場合は、2022年4月1日時点で18歳未満の子供(2004年4月2日以降に出生)となっています。
若者夫婦世帯
若者夫婦世帯は本制度の申請時点で夫婦であることと、2023年4月1日時点で夫婦のどちらかが39歳以下(夫か妻が1983年4月2日以降に出生)である世帯が対象です。
ただし、2024年3月末までに着工着手する場合は、2022年4月1日時点で夫婦のどちらかが39歳以下(夫か妻が1982年4月2日以降に出生)でなくてはいけません。
2-2.住宅性能の条件
子育てエコホーム支援事業の補助制度を享受するには、以下いずれかの住宅性能を有していなくてはいけません。
- 長期優良住宅
- ZEH水準の住宅
所管行政庁から認定を受けた「長い間、生活していても住宅の構造や設備など問題なく使用できるよう厳しい基準に適合した住宅」
再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量▲20%に削減、かつ、強化外皮基準に適合する住宅
対象となるのは長期優良住宅とZEH水準の住宅です。それぞれの特徴について本記事で紹介することを省きますが、過去の記事で詳しく解説していますので、興味のある方は上述のリンクよりご覧ください。
ZEH住宅のなかには、2022年10月以降に認定申請された「低炭素住宅」も含まれます。
つまり、「長期優良住宅」「低炭素住宅」「ZEH水準の住宅」であれば、子育てエコホーム支援事業の対象条件をクリアします。
ただし、2022年10月より前に認定の申請がなされた低炭素住宅・長期優良住宅でZEH水準の基準を満たしていない住宅、BLESの評価書に記載されている「ゼロエネ相当」の住宅は、強化外皮基準を満たしていないため、本事業の条件をクリアしていない対象外の建物にあたるので注意が必要です。
また、住宅性能の他にも以下3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 住戸の延べ床面積が50㎡以上240㎡以下(吹き抜けやバルコニーは除く)
- 土砂災害特別警戒区域または災害危険区域に原則立地していない
- 都市再生特別措置法の第88条3項の規定による市町村長の勧告に従わなかった旨が公表されていない
2-3.補助対象となる住宅タイプ
子育てエコホーム支援事業は、注文住宅の新築と新築分譲住宅が対象ですが、補助対象となる条件があります。
それぞれのタイプ別にどのような条件があるのか事前に確認しておきましょう。
注文住宅の新築
住宅取得者が自ら居住することを目的に「工事請負契約」を締結して発注する注文住宅の新築が対象です。
※工事請負契約を締結していない工事は本制度を活用することができません。
いつ工事請負契約を締結したかという条件はないため、前進である「こどもエコすまい支援事業」が予算上限に達してしまい申請できなかった方も本制度を利用できるチャンスがあります。
ただし、着工に関する条件があるので注意が必要です。2023年11月2日以降に基礎工事より後の工程の工事(杭、基礎、地下室、基礎断熱、足場等の仮設、給排水、電気、土台敷、外構の工事)に着手する住宅が対象となっています。
つまり、2023年11月1日時点で上棟が済んでいる場合は本制度の対象外です。具体的には、地上階の柱、壁、梁、屋根の工事に着手している住宅は補助を受けられません。
新築分譲住宅の購入
住宅取得者が自ら居住することを目的に「売買契約」を締結して購入する新築分譲住宅が対象です。
新築分譲住宅を購入する場合においても着工に関する条件があり、2023年11月2日以降に基礎工事より後の工程の工事に着手するものが対象となっています。
対象となる着手可能な工事については「注文住宅の新築」と同様です。
3.最大100万円の補助金が交付されるには「長期優良住宅」である必要がある
「2.子育てエコホーム支援事業の対象となる3つの条件」で紹介した条件を満たして注文住宅の新築や新築住宅を購入すると、子育てエコホーム支援事業においては以下の補助を受けることが可能です。
長期優良住宅 | 100万円/戸 |
---|---|
ZEH水準の住宅 | 80万円/戸 |
子育て世帯・若者夫婦世帯が上記の住宅性能の新築住宅を取得する際、「長期優良住宅」であれば1戸あたり100万円。「ZEH水準の住宅」であれば1戸あたり80万円の補助が受けられます。
ただし、建築地が市街化調整区域の場合や土砂災害警戒区域または浸水想定区域に立地していると受け取れる補助が半額となるため注意が必要です。
4.こどもエコすまい支援事業からの変更点
本章では「子育てエコホーム支援事業」の前進であるこどもエコすまい支援事業とどのような変更が加わったかについて紹介します。
以下、比較表を参考にしてください。変更点を赤字で記載しています。
子育てエコホーム支援事業 | こどもエコすまい支援事業 | |
---|---|---|
当初予算 | 2,100億円 | 1,500億円 ※2023年7月28日に約210億の予算を追加 |
住宅性能 | 長期優良住宅 ZEH水準の住宅 |
ZEH水準の住宅 |
補助額 | 長期優良住宅:100万円/戸 ZEH水準の住宅:80万円/戸 |
ZEH水準の住宅:100万円/戸 |
立地条件 | ※市街化調整区域、土砂災害計画区域または浸水想定区域に立地する場合は「半額」 | – |
面積条件 | 住戸の延べ床面積が50㎡以上240㎡以下 | 住戸の延べ床面積が50㎡以上 |
上記をご覧いただいてお分かりのように、子育てエコホーム支援事業はこどもエコすまい支援事業よりも当初予算が1.4倍と多くの予算を確保しています。
しかし、補助額についてはZEH水準の住宅で1戸あたり80万円と改悪です。最大100万円の補助を受けるには住宅性能が「長期優良住宅」でなくてはいけません。
長期優良住宅とZEH水準の住宅では20万円の差がありますが、ご自身が新築に求める住宅性能、設備投資や申請事務手数料などの費用を鑑みて納得できる住まいを検討してください。
こどもエコすまい支援事業については過去に解説した記事がありますので、気になる方はご一読ください。
5.補助制度の交付申請は購入者ではなく委託先が行う
交付申請は子育てエコホーム支援事業に事業者登録された建築事業者や販売事業者が補助金の交付申請を行います。つまり、建築主(購入者)はハウスメーカーや工務店に委託して、本制度の申請をしなくてはいけません。
交付申請で後々のトラブルに巻き込まれないためにも、ハウスメーカーや工務店と補助金の交付をどのように対応してもらうかを書面で取り交わしておくようにしましょう。
ハウスメーカーや工務店によって、本制度をもとにした値引きや交付が行われた後に口座振込などで対応することになります。
そのため、どのような方法で補助金をやりとりするのか事前に協議しましょう。
また、交付申請には期間が設けられています。交付申請期間は2024年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで)を予定しています。
ただし、前回のこどもエコすまい支援事業も予算上限で早めに申請受付が終了してしまったので、1年以内に新築を検討している方は早めにハウスメーカー・工務店に相談しておくと良いです。
6.子育てエコホーム支援事業では併用できる制度とできない制度がある
子育てエコホーム支援事業の補助制度で注文住宅の新築や新築分譲住宅の購入を検討している方のなかには「他の制度もうまく活用して賢くマイホームを手にしたい!」と考える人もいるでしょう。
結論から先にお伝えすると「子育てエコホーム支援事業と併用できる制度とできない制度がある」ので注意が必要です。
国の予算を財源とした補助制度を併用することができません。一方、国の予算ではない制度であれば併用できます。
以下の表は併用できる制度と併用できない制度をまとめた一覧です。ぜひ参考にしてください。
制度の名称 | 併用の可否 |
---|---|
住まいの復興給付金 ※2023年12月31日で申請受付終了 |
〇 |
外構部の木質化の支援事業 | 〇 |
こどもエコすまい住宅支援事業 ※2023年9月28日で申請受付終了 |
× |
LCCM住宅整備推進事業 | × |
地域型住宅グリーン化事業 | × |
戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業 | × |
集合住宅の省CO2化促進事業 | × |
参考:国土交通省「子育てエコホーム支援事業の内容について 」
まとめ
子育てエコホーム支援事業は、新築住宅の建築費や購入費の一部を支援してもらえる補助制度です。新築住宅の性能によって補助額が異なりますが、1戸あたり最大100万円の補助金が交付されるおトクな制度です。
子育てエコホーム支援事業を上手に活用するには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 対象者
- 住宅性能
- 住宅タイプ
本記事で解説した3つの条件をふまえて、新築住宅を検討してください。
補助金の交付は建築事業者や販売事業者が行います。補助金の交付トラブルに巻き込まれないためにも、委託先と受け取り方法について取り決め、書面で残しておくことが大切です。
本制度を上手に活用して賢くマイホームを手にしましょう。
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