

テレビCMなど最近では「アパート経営」という言葉を目にする機会があるのではないでしょうか。頭金ゼロや長期家賃保証の謳い文句から地主だけでなく、不労所得を期待したサラリーマン大家さんが増えています。
不動産投資の一つであるアパート経営ですが、知識が無いまま始めると必ずといっていいほど失敗することになるでしょう。失敗する一番の要因は不動産会社の営業マンの言葉をすべて鵜呑みにしてしますことです。
そこで今回は、これからアパート経営を始めようと考えている方にアパート経営における基礎的な知識と成功するために必要なポイントについて解説します。
目次
1.アパート経営を始める理由はこの3つ
アパート経営を始めようと検討している多くは以下に当てはまるのではないでしょうか。
- 固定資産税・土地計画税を軽減したい
- 相続税対策をしたい
- 老後の年金だけでは不安なため、私的年金をつくりたい
- 副収入を得たい
- 定期預金では資産を増やせないため、別の資産運用をしたい
アパート経営を始める・検討するきっかけは様々ありますが、大きく3つの理由に分類されます。
「長期にわたり安定収入を得たい」
「税金の負担額を減少させたい」
「老後にゆとりある生活を送りたい」
次からは、3つの理由を掘り下げてみていきましょう。
1-1.長期安定収入を得たい
アパート経営は、所有している土地にアパートを建築するか、新築・中古アパート一棟を購入して、部屋を入居者に貸し出して家賃収入を得ることができます。購入してすぐに物件や土地の価値が下がることがなく、株式投資やFXなどと違い値動きは安定しており、市況の影響が受けにくいのが特徴です。
そのため、すべての部屋が空室でない限り長期にわたり安定した収入を確保することができます。
1-2.税金の負担額を減少させたい
土地を所有しているだけで固定資産税・土地計画税が毎年かかります。
土地活用方法によっては納税額が軽減でき、なかでもアパート経営は減免の特例が受けられるため、税率を低く抑えられます。
そのため、更地にアパートを建築することで、「固定資産税」「土地計画税」の納税額を抑えることができるのです。
また、アパート経営は相続税対策にも有効で、対策には大きく3つの方法が存在します。
- 現金を建物に変え、建物評価額で評価を下げる
- 土地評価額を「貸家建付地」で評価を下げる
- 「小規模宅地等の特例」で土地評価額を下げる
現金や更地のまま相続するより、アパートや戸建賃貸といった不動産(貸家)に資産を置き換えることで、相続評価額を抑えることが出来ます。
1-3.老後にゆとりある生活を送りたい
老後に必要な生活費は世帯主が60歳以上の無職世帯の場合、消費による支出が約23万円で、1ヵ月に約6万円が不足すると言われています。
そのため、アパート経営によって得られる収益を生活費の足しにしようと考えて始められる方がいらっしゃいます。アパート経営は定期的な家賃収入が見込めるため、年金以外の収入源や病気やケガで働けなくなった場合の収入としても注目されており、ローン完済後は定期的な家賃収入に加え土地や建物の資産を家族に残すことができます。
2.土地の有無で始め方が異なる
アパート経営を始める方法は、土地を「所有している」「所有していないか」で異なり、必要な費用も変わってきます。次からは、それぞれの始め方を見ていきましょう。
2-1.土地を所有している場合
すでに土地を所有している場合、その土地にアパートを建てて経営します。すでに土地を所有しているので土地の購入費用がかからず、建築費用だけで済むため初期投資の費用負担を軽減できます。また、ターゲットニーズに合わせた間取り・設備などご自身で決めることができるため、理想のアパートを作り上げることが可能です。
しかし、すでに土地を所有しているので立地が選べません。仮に賃貸ニーズがないような土地でしたらアパート経営をするよりも他の土地活用をした方がいいでしょう。
所有している土地を活用したアパート経営は土地の特徴や周辺環境に大きく左右されます。
2-2.土地を所有していない場合
土地を所有していない場合は以下、2通りの始め方があります。
- 土地を購入してアパートを建築する
- 新築または中古アパートと土地をセットで購入する
次からはそれぞれの特徴を解説していきます。
■土地を購入してアパートを建築する
ご自身の理想とするアパート経営に一番近づくのはこの方法かもしれません。ターゲットしているユーザーやエリアが明確になっていれば、それにあった土地を見つけ、ニーズを捉えたアパートを建築することができます。
柔軟に経営を始められる反面、土地購入とアパート建築それぞれに費用が必要なため、十分な資金が必要になります。
■新築または中古アパートと土地をセットで購入する
土地とアパートをセットで購入する場合は、不動産会社やWEBサイトで掲載されている物件情報から購入することになります。掲載されている価格の多くは土地とアパートそれぞれの費用を含んだ価格設定になっています。すでに、建物がある状態で販売されているため、アパートの間取りや設計といった手間がかからず、施工期間も短縮できるといったメリットがあります。
また、アパートを一から建築するよりも安く購入することができ、中古の場合は2~3割程度安くなっている場合もあります。
しかし、すでに間取りや設備が決まっているため理想通りでない場合や中古の場合は早期に修繕が必要になるケースもあります。
3.アパート経営に必要な費用は?
土地を所有しているか所有していないかで、それぞれ必要になる費用が変わってきます。多くの場合、初期費用としてかかってくるため事前に資金を準備する必要があります。下記は主な初期費用をまとめましたので参考にしてください。
土地を所有している場合 | 土地を所有していない場合 |
---|---|
・建物の建築費用 ・建物の設計料 ・新築建物不動産取得税 ・新築建物登録免許税 ・印紙税 ・司法書士への報酬 ・その他 |
・土地の購入費用 ・仲介手数料 ・土地不動産取得税 ・土地登録免許税 ・建物の建築費用 ・建物の設計料 ・新築建物不動産取得税 ・新築建物登録免許税 ・印紙税 ・司法書士への報酬 ・その他 |
すでに建築されているアパートを購入する場合、新築アパートなら購入費用の7~8%程度、中古アパートなら購入費用の10%程度となり最低でも1割は自己資金が必要になります。土地から購入する場合は2~3割程度と言われています。
しかし、健全なアパート経営を行いたいのであれば3~4割程度の自己資金が準備できると良いでしょう。
4.事前に想定すべき7つのリスク
アパート経営を検討している人は、誰しもが成功したいと考えることでしょう。
前述で説明した通り、不動産投資の一つ「アパート経営」は良い面がある一方、”投資”とつく以上リスクは必ず存在します。
アパート経営を成功させるためには、事前にリスクを把握し正しい対策をとることが重要です。次からは様々なリスクについて理解を深めましょう。
4-1.空室のリスク
アパート経営は、入居者の家賃や駐車・駐輪場などの賃料が唯一の収入源になります。
4~8世帯しか入居できない小規模アパートの場合、空室が1室でるだけでも収入に大きく影響し、長期にわたり空室が続くと当初立てていた収支計画と大きな乖離が生じてしまいます。そのため、入居者募集をかけ、早期に空室を埋める必要があります。
収入を左右する空室ですが、如何に空室を減らすか・空室期間を短くするかが必要になってきます。入居者が住みたいと思うアパートでなければ空室は発生することでしょう。
そこで重要になるのが、アパートを建築する前の事前調査です。アパートを建てる地域の自治体や国の統計データから、人口・世帯数などのエリア情報を収集することでターゲットユーザーを設定できます。
また、周辺の調査をすることで、競合物件の家賃設定や空室状況・間取り・設備などの入居者ニーズを把握したり、不足している物件を知ることで競合との差別化を図ることができます。
入居者から支持され、他では替えの利かないアパートを建築・経営することが、空室リスクの回避に繋がります。
4-2.賃料下落リスク
築年数の経過とともに物件の競争力が低下してきます。競合物件が建築されたり周辺環境が変化してくると入居者マインドにも変化が生まれてくるでしょう。
調査機関によると、築3~築10年の下落幅が大きく、年率平均で約1%ほど下落していると言われています。

例えば、リノベーションやリフォームを行い、トイレや浴室といった水回りからフローリング・壁紙の貼替など設備投資をすることで物件価値を高めることで賃料下落を抑えることができます。
また、現在では住宅のIoT化が進んでいるため、スマホで玄関の施錠ができたり、外出先からなどエアコンや電気を点けるといった最先端の技術を取り入れることで、競合との差別化を図り付加価値を加えることで賃料下落リスクを回避することができるでしょう。
4-3.家賃滞納リスク
家賃滞納は収支に直結してくるリスクです。
空室であれば、入居者を募集して入居が決まれば家賃収入を得ることができますが、滞納の場合はそうはいきません。入居者が物件に入居しているにも関わらず、家賃が振り込まれないため、収入が得られず機会損失してしまいます。
借地借家法が適用される賃貸借契約ではオーナーよりも入居者が有利に働くなるため、滞納者に対して強制退去を命じることができません。判例では5~6ヶ月滞納が続いた場合に「正当事由」として退去させられたとの事例もあります。
回避策としては、滞納者に対して集金代行や督促業務を請け負ってもらえる管理会社に委託することで、ご自身の負担を減らし不要な法的処置の費用や時間を減らしましょう。
4-4.金利変動リスク
アパートを建てる際、多くの人が金融機関から不動産投資ローン(アパートローン)の融資を受けて、物件建築の資金に充てると思います。そこで問題になるのが金利変動リスクです。
通常、不動産投資ローン(アパートローン)には「固定金利型」「変動金利型」の2種類があります。
固定金利型であれば、金利が上昇しても借入時の金利は変わらないため影響はありませんが、変動金利型の場合、金利上昇に伴い返済額が増えるため収支に大きな影響を与えます。
仮に金融機関から5,000万を借入れていた場合、金利が1%上昇すると返済利息が年間で50万上乗せされてしまいます。
そのため変動金利型で金融機関から不動産関連ローンの融資を受ける場合、事前に金利変動でも余裕を持った返済ができるよう計画をたてる必要があります。
4-5.自然災害リスク
自然災害の多い日本では、災害に対する対策が必要になります。台風や地震などの自然災害は準備していても回避が難しく、実際に災害の被害にあうと建物が倒壊してしまう恐れがあります。そこで、2つの回避策をご紹介します。
1つ目は災害保険への加入です。「火災」「水災」「風災」など様々な災害があります。万が一災害保険に加入していない場合、修繕費や入居者へのお見舞金の捻出が難しくなり経営が立ち行かなくなります。
また、仮に修繕費が捻出できたとしても、修繕中は入居者からの賃料収入が得られないため事業計画に大きなズレが生じてしまいます。
自然災害のリスクを考えて適切な補償がある災害保険を選ぶことが大切です。
2つ目は国や自治体が提供しているハザードマップを参考にしたり、図書館やWEBサイトを利用して、建築を予定している土地の過去の被害状況を調べましょう。
過去を把握することで、これから起こりうる可能性を予測して災害に備えることができます。
4-6.経年劣化による修繕費用リスク
竣工後から建物は老朽化が始まるため、新築時の建物はきれいな状態で管理されているので不具合を見つけにくく修繕費用があまりかからないですが、時間の経過とともに修繕費用の負担額が大きくなるので、収支計画をたてる際は修繕積立てを含んだプランを策定しましょう。
下記は修繕箇所とチェックポイントをまとめておりますので、適宜修繕を実施して劣化を抑えるのに役立ててください。
修繕箇所 | チェックポイント・備考 | |
---|---|---|
本体 | 屋根 | ひび・割れ・ズレ・色褪せ |
外壁 | ひび・シーリング部の劣化・汚れ・色褪せ | |
雨どい | 割れ・ジョイントの接合部・雨漏り | |
ベランダ・バルコニー | さび・割れ・色褪せ・配水状況 | |
階段・廊下などの共用部 | さび・割れ・色褪せ・配水状況 | |
給排水管 | 排水管 | 異音・詰まり・水漏れ |
給水装置 | 水量・温度・水漏れ | |
室内設備 | 給湯器 | 故障頻度が高ければ一斉交換 |
浴室設備 | 故障時対応 | |
トイレ | 故障時対応 | |
キッチン | 故障時対応 | |
エアコン | 故障時対応 | |
内装 | 壁紙・クロス | 入退去時にメンテナンス |
床 | 入退去時にメンテナンス |
4-7.入居者トラブルのリスク
国土交通省の調査によると、「違法駐車・駐輪」40.1%、「生活音」34.3%と居住者同士のトラブルの多くがマナー違反によるものです。

トラブルの対処が遅れると入居者の不満が溜まり最悪の場合、トラブルがきっかけで退去してしまうケースがあります。
オーナーは入居者にとって住み良い環境を整える必要がありますが、自身でクレーム対応が難しい場合、管理を優秀な不動産会社に依頼する必要があります。
5.成功には事前の調査が大切
これまでの記事を読んでいただき、少しはアパート経営のイメージが湧いてきたのではないでしょうか。アパート経営のリスクを知って回避策を用意しなくては、いざという時に対応できずに終わってしまいます。最低限の知識を持ってリスクを恐れず、成功する可能性を高めていきましょう。
そこで最後に、アパート経営を成功させるために重要なポイントを2つ紹介したいと思います。
■周辺環境の調査
WEBに公開されている自治体や国の統計データから、人口・世帯数などのエリア情報を収集することでターゲットユーザーを設定できます。
また、所有している土地周辺の競合物件が「どのような家賃設定か」「空室は出ていないか」など調査することで、入居者にとって最適な家賃設定や収支計画で想定している空室率が適正かどうか把握できます。また、間取りからそのエリアの入居者属性を把握して、不足している住空間や設備を用意できれば、競合物件と比べ差別化が図れたアパートを建築できるでしょう。
需要の高いアパートを建築することで、入居者募集で困ることなく竣工後すぐの家賃収入を得られる確率が上がります。
■事業計画を立てる
アパート経営がある程度まとまってきたら、事業計画を作成してみるといいでしょう。
事業計画を立てることで、自身の計画を客観的に見直すことができます。
この活用方法が必要とされるか・継続的に収益を生み出せるのかなど、改善のヒントが見つかるかもしれません。
また、アパート経営にかかる資金調達や返済計画の具体的なイメージを持ちやすくなります。
事前の調査や計画を立てることで、アパート経営における経営リスクを少なからず軽減することができますが、個々人で調査するにも限界があります。そこでまずは、専門家や不動産会社・一括サイトなどを使って事前に相談すると良いでしょう。
6.建築や管理を依頼する会社を選定する
前述でアパート経営の大枠は理解していただけたのではないでしょうか。アパート経営では事前の調査や準備に時間をかけ、成功確率を高めていきます。具体的かつ詳細に計画をたてることで、アパート経営をした場合のリアルなイメージを持つことができます。
このリアルなイメージを持つことが重要で、何か想定外の事態に見舞われたときにも、最悪を想定していれば適切な対処が可能になります。
ここまで準備ができたら、次に不動産会社に相談しましょう。建物を建てて終わりではなく、アパート経営ですので、建てた後に経営をしなくてはなりません。長く関わっていく企業を選定するので、信頼できる企業選びは大切です。
6-1.建築会社は複数社からプランを比較する
アパートの建築会社に関しては、建築構造や間取りによって会社ごとに特徴があります。そのため、ご自身が構想を練っているアパートの形と合致する企業に相談しましょう。また、合致する会社が見つかったとしても1社だけの話では、比較対象がなく建築プラン良し悪しが判断できないため、建築会社の検討は2~3社程度の話を伺って納得できるプランを見つけます。
探し方は、各建築会社のホームページをみて、建築実績や得意な建築構造・間取りなどから、ターゲットにしている入居者と企業のプランが合うのか考えて判断します。
その他には、一括プラン比較のサイトを利用するとよいでしょう。一括プラン比較のサイトは、サイトに登録している企業の中から、ご自身の建築予定地や建築プランにマッチした企業に一括で問い合わせできます。
各社のホームページを一つ一つ確認するのは、時間を要するので一括プラン比較のサイトを利用する時間短縮できるでしょう。しかし、一括サイトは登録していない企業には問い合わせできない欠点もあるので、希望する企業がいない場合も考えられます。
そのため、まずは一括プラン比較サイトを利用して、一括サイトの不足分をご自身のリサーチで補填するような調べ方が最も効率的です。
6-2.管理会社は管理の業務内容を厳しくチェックしよう
建築会社を選ぶと同時に管理委託する会社もあわせて調査しましょう。契約形態によっては建築と管理をセットで請け負う会社もいるため、建築を検討するのと同時に管理についても調べる必要があります。
アパートの管理業務としては、以下があげられます。
- 入居募集
- 家賃の集金
- 滞納督促
- 入居者の契約更新
- 入居者のクレーム対応
- 入居者の入退出
- 設備修繕の手配
- 共用部清掃
自己管理というご自身で物件を管理する方法もありますが、管理会社に委託することで、必要な続きを代行して適切な対処を行っていただけるので、入居者の満足度も上げられます。また、オーナーの手間を省略できるので、時間を有効活用できます。
このように管理委託すると、管理業務を不動産業者が行うので管理料の支出が発生します。通常、管理料は収入の5%と言われていますが、5%以上の管理料を徴収している会社も存在します。管理料が高ければ良い会社というわけではないので、先ほど述べた管理業務の詳しい作業内容を確認しましょう。
前述でもお伝えしましたが、建築と管理をセットで契約する企業もあります。建築プランが良くてもアフターフォローに満足していないオーナーは多数いますので、契約形態についてよく目を通して、建築だけでなく管理についても同時に確認しましょう。
まとめ
アパート経営を成功させるためにはプロセスが大切で、失敗してからでは挽回するのにお金や労力がかかります。営業マンの言いなりで後悔しては遅いのです。一番はオーナーになるあなたが知識を少なからず身につけることが重要です。
アパート経営はリスクが存在します。しかし、そのリスクを捉えどう回避していくか経営の手腕が問われるでしょう。
今回、紹介しました記事を参考にしていただき、少しでもアパート経営を検討している方の役に立てれば幸いです。