自然素材の家で後悔しない選び方|代表的な4つの素材と費用・メンテナンス方法を解説

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自然素材の家で後悔しない選び方|代表的な4つの素材と費用・メンテナンス方法を解説自然素材の家で後悔しない選び方|代表的な4つの素材と費用・メンテナンス方法を解説

無垢の床やぬくもりのある塗り壁に憧れて、「自然素材の家にしたい」と思う方は多いものです。ただ、あこがれだけで進めると、費用や手入れの現実で後悔することも少なくありません。

そこで今回は、自然素材の家のメリット・デメリットと費用・メンテナンスの実際を率直に示したうえで、失敗しない選び方までを解説します。

代表的な素材の違いから、公的な制度との関係、ハウスメーカー選びの見極め方まで、順番に読めば全体像がつかめます。

この記事で学べるコト

  • 無垢材・漆喰・珪藻土など代表的な自然素材の違いがわかる
  • 一般的な注文住宅より費用がどれくらい増えるかの目安がわかる
  • 素材別のメンテナンスの手間と、自分でできる範囲がわかる
  • シックハウス規制や省エネ基準など公的制度との関係がわかる
  • 自然素材の家に向く人・向かない人と、失敗しない会社選びがわかる

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目次

1.自然素材の家の特徴と代表的な素材を理解する

自然素材の家の特徴と代表的な素材を理解する

自然素材の家といっても、明確な線引きがあるわけではありません。

まずは「どんな家を指すのか」と「よく使う4つの素材」を押さえておくと、このあとの費用やメンテナンスの話がぐっと読みやすくなります。

1-1.自然素材の家とは?一般的な家との違い

自然素材の家とは、化学物質をできるだけ含まない素材を、床や壁などに積極的に使った家のことです。木そのものを削り出した無垢材や、石灰からつくる漆喰などが代表例になります。

ここで大事なのは、一般的な注文住宅との違いが「ゼロか100か」ではなく「程度の差」 だという点です。今の住宅は、法律によって建材から出る化学物質に一定のルールが設けられています。

自然素材の家は、そこからさらに一歩進めて、木や土の風合い・調湿・肌触りといった付加価値を足していく選び方だと考えると、イメージしやすいでしょう。

1-2.無垢材(無垢フローリング)の特徴

無垢材は、1本の木から切り出したままの板で、合板のように薄い板を貼り合わせていないものを指します。床に使う無垢フローリングが一番身近な材料です。

無垢材は大きく2種類に分かれます。

スギやヒノキなどの針葉樹はやわらかく、足触りが温かい一方で傷はつきやすい素材です。

オークやウォールナットなどの広葉樹は硬くて傷が比較的つきにくく、重厚な見た目になりますが、価格は上がりがちです。

どちらが良いという話ではなく、素足で過ごす時間が長い家庭は針葉樹、傷の残りにくさや重厚感を重視するなら広葉樹、というように暮らし方で選ぶのが基本になります。

1-3.漆喰・珪藻土など塗り壁の特徴

壁に使う自然素材の代表が、漆喰と珪藻土です。どちらも職人がコテで塗り上げる「塗り壁」で、ビニールクロスとは違った質感をたのしめます。

漆喰は石灰を主な原料とし、白く上品な仕上がりで、汚れや菌に強い性質があります。

珪藻土は植物性プランクトンが堆積してできた土で、細かな穴が湿気を吸ったり吐いたりするため、調湿性が高いのが持ち味です。

ざっくり言えば、見た目の美しさと防汚性なら漆喰、湿気対策を重視するなら珪藻土、と覚えておくとわかりやすいでしょう。

1-4.天然リノリウム・自然塗料・断熱材などその他の素材

床・壁以外にも、自然素材の選択肢はあります。

天然リノリウムは、あまに油やコルク粉などを原料にした床材で、水に比較的強く手入れしやすいため、キッチンや水回りにも使われます。

仕上げに使う自然塗料には、蜜蝋(みつろう)ワックスや植物オイルなどがあり、木の質感を生かしながら表面を保護できます。

断熱材にも、新聞紙を再利用したセルロースファイバーや羊毛(ウール)を使ったタイプがあります。ただ、断熱材は壁の中に隠れて見えない部分なので、見た目や肌触りではなく、断熱性能そのもので選ぶことが大切です。

素材 主に使う場所 主な役割 おおまかな特徴
無垢材 床・一部の壁や天井 足触り・見た目 温かみと経年変化。針葉樹はやわらか、広葉樹は硬い
漆喰 壁・天井 意匠・防汚 白く上品。汚れや菌に強い
珪藻土 調湿 湿気を吸放出。ざらりとした質感
天然リノリウム 床(水回りも可) 床材・抗菌 水に比較的強く手入れしやすい

※各素材の調湿・防汚・抗菌・耐水などの性能は、配合や表面の仕上げ、下地、施工方法によって変わります。水回りに使えるかどうかは、採用する製品の仕様書で確認してください。

気になる素材を1つ、家族で「使いたい場所」に当てはめて話してみましょう。

2.自然素材の家の4つのメリットを確認する

自然素材の家の4つのメリットを確認する

自然素材が長く支持されてきたのには、はっきりした理由があります。

ここでは「暮らしの心地よさ」に直結する4つのメリットを紹介します。

2-1.調湿作用で室内の湿度を整える

無垢材や珪藻土、漆喰には、空気中の湿気を吸ったり吐いたりする調湿作用があります。湿度が高いときは吸い込み、乾燥するときは放出するため、室内の湿度が穏やかに保たれやすくなります。

じめじめした梅雨どきのべたつきや、冬の過乾燥がやわらぐと、体感の快適さは大きく変わります。湿度が穏やかだと結露が起きにくく、カビやダニの増えやすさをおさえることにもつながります。

ただし、その効き目は施工面積や換気・断熱の条件によっても変わります。調湿作用だけでエアコンや除湿機が不要になるわけではありません。あくまで「湿度が穏やかになりやすい」という補助的な効果として受け止めるのが正確です。

2-2.木の香り・肌触りで暮らしの質を高める

自然素材の魅力は、数字で測りにくい「心地よさ」にあります。無垢の床に素足で立ったときの温かさ、木の香りに包まれる感覚は、ビニールクロスや複合フローリングでは得にくいものです。

木が持つ香り成分については、限られた条件下でリラックスにつながる反応を示した研究もあります。ただし、感じ方は樹種や香りの濃度、人によって差があります。

無垢の床のやわらかな足触りを好み、子どもが床に寝転がって過ごすようになった、という施主もいます。毎日ふれる床や壁だからこそ、こうした肌触りの良さは「暮らしの」満足度に効いてきます。

2-3.経年変化を味わいとして楽しめる

自然素材は、時間とともに表情が変わります。無垢材は日焼けや時間経過で色合いが深まり、漆喰は落ち着いた風合いに変化します。新品の状態が一番きれいなビニール素材とは、逆の性質と言えるでしょう。

この変化を「劣化」と見るか「味わい」と見るかで、住み心地の感じ方は大きく変わります。革製品やジーンズが使い込むほど手に馴染むのと同じように、家族と一緒に家も育っていく感覚を楽しめるのが、自然素材ならではの価値です。

逆に、いつまでも新築同様の見た目を保ちたい方には、この性質は合わないかもしれません。

2-4.健康・シックハウス面での安心感

自然素材は、シックハウス症候群(新建材から出る化学物質による頭痛や目のちかちかなどの体調不良)が気になる方に選ばれてきました。

小さな子どもやアレルギーが心配な家庭が、自然素材に関心を持つのはこの点が大きいでしょう。木や土の素材感、湿度の変化をやわらげる働きといった心地よさは、暮らしの満足度に直結する前向きな価値です。

ひとつ知っておきたいのは、「自然素材」という名前だけで中身が決まるわけではない点です。自然由来の主原料でも、接着剤や樹脂などを含む製品はあります。

化学物質への配慮を重視するなら、原材料やF☆☆☆☆(エフフォースター)の表示、VOC(揮発性有機化合物)の試験情報を、製品ごとに確認すると安心です。

自然素材の心惹かれたメリットを、暮らしの場面ごとに書き出してみると、住まいの優先順位が見えてきます。

3.自然素材の家のデメリットと後悔を防ぐ

自然素材の家のデメリットと後悔を防ぐ

自然素材の家で後悔した、という声の多くは、良い面ばかりを見て弱点を知らずに進めたことが原因です。

本章では避けたい失敗を率直に挙げ、「防げるもの」と「付き合っていくもの」を見分けられるようにします。

3-1.初期費用が上がりやすい

もっとも大きなデメリットは、初期費用が上がりやすいことです。

無垢材や塗り壁は、材料そのものが高いうえ、職人が手作業で施工するため人件費もかかります。一般的な建材と比べると、その分だけ費用は積み上がります。

どれくらい増えるかは、素材の種類や使う範囲によって大きく変わります。ここでは「安くはならない」という前提を持っておくことが、資金計画のうえで大切だと押さえておいてください。

3-2.反り・割れ・収縮が起こりやすい

無垢材は周囲の湿度に応じて水分を吸ったり放ったりするため、湿度によって伸び縮みします。乾燥する冬には板の間にすき間ができたり、反りや細かな割れが出たりすることがあります。これは不良品ではなく、木という素材の自然な性質です。

塗り壁の漆喰や珪藻土も、乾く過程や地震のゆれで、細かなひび(ヘアクラック)が入ることがあります。こうした変化を「欠陥」と受け取ると後悔につながりますが、あらかじめ知っておけば「そういうもの」と落ち着いて付き合えます。

心配な場合は、変形しにくい加工をした無垢材や、ひびが目立ちにくい仕上げを選ぶ方法もあります。

3-3.傷・シミ・水濡れに弱い面がある

やわらかい針葉樹の無垢材は、物を落とすと傷がつき、水や飲み物をこぼすとシミになりやすい素材です。珪藻土の壁も、こすれると崩れたり、汚れが染み込んだりすることがあります。

とはいえ、無垢材の小さな傷は水を含ませて膨らませたり、軽く削ったりして目立たなくできる場合が多く、貼り替えが前提のビニール素材より補修しやすい一面もあります。

弱点は弱点として理解したうえで「傷や水に弱い場所には別の素材を組み合わせる」という発想が後悔を防ぎます。

3-4.よくある失敗例と後悔の声から学ぶ

自然素材の家で起こりやすい後悔には、共通するパターンがあります。その多くは、事前に知っていれば防げるものです。

事前に知っていれば防げた失敗の例

  • 水回りに無垢材を全面採用し、水はねで膨れ・シミが出た
  • メンテナンスが必要と知らず放置して、床の乾燥が進んだ
  • コストを気にせず全面を自然素材にして、予算を大きく超えた
  • サンプルの小さな板だけで決め、実際の広い面で色ムラが気になった
  • 経年変化を家族が「劣化」と感じ、こんなはずではなかったと後悔した

手入れの時間が取りにくい家庭ほど、こうした弱点を先に知って使う場所をしぼると、失敗を防ぎやすくなります。挙げた失敗例のうち、わが家で起こりうるものはどれか、一つずつ確かめてみてください。

4.自然素材の家の費用はいくら増えるかを見極める

自然素材の家の費用はいくら増えるかを見極める

自然素材の家で気になるのが費用です。多くの記事は「2割〜3割増」の一言で済ませますが、それだけでは判断できません。

どこにいくらかかるのかを幅で押さえ、「全部盛りにしない」考え方まで理解しておきましょう。

4-1.一般的な注文住宅と比べた費用の目安

自然素材を使うと、一般的な注文住宅より建築費が上がるのが通常です。

仕様の範囲にもよりますが、内装の一部に取り入れる場合で数%程度、床・壁の広い範囲に本格的に使う場合で「2割〜3割ほど高くなる」というのが各社が示す検討初期の目安です。

イメージをつかむために、割合を金額に置き換えてみましょう。一般的な仕様の本体価格を3,000万円と仮定し、建物全体で2割〜3割増になる条件なら、単純計算の差額は約600万円〜900万円になります。

ただし、この「2割〜3割」は公的な統計にもとづく相場ではなく、素材の種類・施工面積・下地・住宅会社によって大きく変わります。

金額はあくまで割合を換算した目安として受け止め、実際は同じ間取り・同じ施工範囲で「一般仕様との差額」の見積りをとるのが確実です。

4-2.素材別にかかる費用の傾向

費用の増え方は、素材や場所によって差があります。

床の無垢フローリングは、面積が広いぶん総額に影響しやすく、硬い広葉樹ほど単価は上がります。壁の漆喰・珪藻土は、材料費に加えて職人の手間賃がかかるため、ビニールクロスと比べると割高になります。

一方、天然リノリウムや自然塗料など、部分的に使えば費用への影響が小さい素材もあります。

「どの素材を、どの広さで使うか」で総額は決まるため、まずは面積の大きい床と壁で、どこまで本格的に自然素材を使うのか考えることが費用を見極める近道です。

4-3.費用を抑える優先順位の付け方

予算に限りがあるなら、すべてを自然素材にする必要はありません。大切なのは「自然素材の効果を実感できる場所にしぼる」ことです。

優先度が高いのは、毎日ふれる場所です。素足で過ごすリビングの床や、手がふれる範囲の壁は、自然素材の心地よさを実感しやすく、費用をかける価値があります。

逆に、あまり人が入らない部屋やクローゼットの内部などは、一般的な建材で十分なことが多いものです。

このように採用する場所を絞れば、かけた費用に対して満足度が高く、費用対効果の面でも納得しやすくなります。無垢材や塗り壁は貼り替え前提ではなく補修しながら長く使えるので、初期費用だけでなく長い目でのコストで捉えると判断しやすいでしょう。

夫婦で予算を握るときは、まず「どの場所に自然素材を採用するか」を先に合意しておくと、話がぐっと早く進みます。

項目 一般的な仕様 自然素材の目安 備考
複合フローリング 無垢フローリング(広葉樹ほど高い) 面積が広く総額に効く
ビニールクロス 漆喰・珪藻土(手間賃がかかる) 職人施工で割高
仕上げ塗料 一般塗料 自然塗料(部分使いは影響小) 少量なら差は小さい

金額の目安は、時期・地域・依頼先で変わります。必ず見積りで確認してください。

「採用したい場所」を先に3つ、優先順位をつけてしぼってみましょう。

5.素材別のメンテナンスと手入れを把握する

素材別のメンテナンスと手入れを把握する

「手入れが大変そう」という不安は、自然素材の家をためらう大きな理由です。

ただし、素材ごとに必要なケアを具体的に知れば、思ったほど負担は大きくないと分かります。

手間を軽くしたい方はメンテナンスの少ない家づくりの考え方もあわせて、自分たちにできる範囲を見積もってみましょう。

5-1.無垢材の日常のお手入れと数年ごとのケア

無垢材の日常のお手入れは、基本的に乾いた雑巾やモップでのから拭きだけで十分です。水拭きは、水分が木にしみ込んで傷みの原因になるため、汚れが気になるときに固く絞った布で軽く行う程度にとどめます。

数年に一度、蜜蝋ワックスや植物オイルを塗り直すと、表面が保護され、しっとりとした風合いが戻ります。塗り直しの周期は樹種や塗装の種類で変わるので、採用する製品の説明書に従ってください。

自分でできる製品も多いですが、オイルの染み込んだ布は放置すると自然発火することがあるため、水に浸して処分するなどの注意点も確認しておくと安心です。

手間はかかりますが、手間がかかる分だけ愛着のわく住まいになります。

5-2.漆喰・珪藻土のお手入れと補修

漆喰や珪藻土の塗り壁は、普段はほとんど手入れがいりません。

ほこりが気になれば、はたきや掃除機のブラシで軽く払う程度です。漆喰は汚れに強く、軽い汚れなら消しゴムや細かい紙やすりで落とせることもあります。

細かなひびが入った場合や、大きく欠けた場合は、補修用の材料が市販されており、小さな範囲なら自分で埋められます。

範囲が広いときや仕上がりを重視したいときは、施工した会社に相談するのが安心です。

5-3.自分でできる手入れとプロに頼む手入れの線引き

手入れは「全部自分でやる」必要も「全部プロに頼む」必要もありません。日常の乾拭きや、無垢材へのワックスがけ、塗り壁の小さな補修は自分でできる範囲です。

一方、床全体の再塗装や、広い範囲の塗り壁の塗り直しは、プロに頼んだほうが仕上がりも長持ちも安定します。

素材 日常のお手入れ 数年ごとのケア 確認先
無垢材(床) から拭き中心 ワックス・オイル塗り直し 製品の説明書・施工会社
漆喰の壁 ほぼ不要・ほこり払い 小さなひびの補修 製品の説明書・施工会社
珪藻土の壁 ほぼ不要・ほこり払い 欠け・汚れの部分補修 製品の説明書・施工会社

共働きで時間が取りにくいなら、日常のケアが軽い素材や場所を優先すると続けやすくなります。続けられそうな手入れかどうか、早見表に印をつけながら考えてみてください。

6.場所ごとに自然素材を使い分ける

場所ごとに自然素材を使い分ける

自然素材は「全部に使う」か「まったく使わない」かの二択ではありません。触れる頻度と水濡れのリスクで場所を仕分けると、満足度と実用性を両立できます。

6-1.積極的に使いたい場所(床・よく触れる壁)

自然素材の良さを一番実感できるのは、体がよくふれる場所です。素足で過ごすリビングや寝室の床、ソファまわりの壁など、無垢材や塗り壁の心地よさが毎日の暮らしを豊かにしてくれます。

予算を集中させるなら、まずここから考えるのがおすすめです。

寝室の壁に調湿性の高い珪藻土を使えば、湿度の変化をやわらげる働きに期待できます。人がリラックスして長く過ごす場所ほど、自然素材の心地よさが生まれます。

6-2.慎重に判断したい場所(水回り)

一方で、慎重に考えたいのが水回りです。キッチン・洗面・浴室まわりは、水はねや湿気が多く、無垢材や珪藻土をそのまま使うとシミや傷みの原因になりやすい場所です。

水回りにも自然素材を使いたい場合は、水に比較的強い天然リノリウムを選ぶ、無垢材に撥水性の高い自然塗料を塗る、水がかかる範囲だけタイルなど別素材にする、といった工夫が有効です。

「使いたい!」という気持ちだけで全面採用すると、前述「3.自然素材の家のデメリットと後悔を防ぐ」であげた失敗につながりやすいので注意しましょう。

6-3.住まいの条件から考える使い分けの早見表

自然素材をどこで採用するかは、住まいの条件から逆に考えると、使い分けの判断がしやすくなります。

住まいの条件 使える場所の目安 注意する仕様 住宅会社へ聞くこと
小さな子どもがいる 床・壁を広めに 傷が味になる素材を選ぶ 「御社では傷の補修はどう対応しますか」
共働きで手入れの時間が少ない 手のふれる床を中心に 日常ケアが軽い仕上げ 「御社のおすすめの手入れ方法は」
水回りにも取り入れたい 水に強い素材にしぼる 撥水塗料・別素材の併用 「御社は水回りにどんな素材を使いますか」
予算をできるだけ抑えたい 床のみ・一部の壁のみ 面積の大きい所だけ厳選 「御社で費用を抑える方法はありますか」

逆引き表で条件のあう行だけ、写真に撮って残しておくと会社との打ち合わせで役立ちます。

7.制度と法律から自然素材の『本当の価値』を確かめる

制度と法律から自然素材の『本当の価値』を確かめる

ここは、多くの記事が触れていない大切な部分です。自然素材の家を正しく選ぶには、シックハウス対策や省エネ基準といった公的な制度との関係を知っておく必要があります。

誤解を解いたうえで、自然素材の本当の価値を確かめましょう。

7-1.「自然素材=無添加で無条件に健康」という誤解を整理する

「自然素材の家は無添加で、普通の家は化学物質だらけで危険」というイメージは、正確ではありません。

一般的な注文住宅にも、建築基準法によってクロルピリホスとホルムアルデヒドという物質への対策が適用されています。

ただし、法律に適合していることは、室内のすべての化学物質や、すべての人の症状を防げることまでを保証するものではありません。

そのうえで、自然素材の価値はどこにあるのか。それは「法律で決められた対策からさらに一歩進めて、木や土の調湿・肌触り・香りといった付加価値を得られる」点にあります。

素材感や湿度の変化をやわらげる働きなど、暮らしの快適さを高める前向きな選択肢として捉えると、過度な期待も不安もなく判断できます。

7-2.シックハウス対策は法律で決まっている(F☆☆☆☆・24時間換気)

建築基準法のシックハウス対策は、2003年7月1日に施行され、主に次の4つで構成されています

  • シロアリ駆除剤などに使われてきたクロルピリホスを添加した建材の、使用禁止
  • ホルムアルデヒド(化学物質の一種)を発散する内装材の、使用面積の制限
  • 原則として、換気回数0.5回/h以上を確保できる機械換気設備(いわゆる24時間換気)の設置
  • 天井裏などから居室へホルムアルデヒドが流れ込むのを抑える措置

出典:国土交通省「建築基準法に基づくシックハウス対策について

ホルムアルデヒドの発散量がもっとも少ない区分が「F☆☆☆☆(エフフォースター)」で、内装の使用面積の制限を受けずに使えます。

ただしこれは、ホルムアルデヒドの発散区分であって、化学物質がまったく含まれないという表示ではありません。

また、24時間換気は「設置」の義務であり、住んでからきちんと運転し続けることまでを保証するものではない点も覚えておきましょう。

一般的な家でも、化学物質への基本的な対策は制度として組み込まれているのです。

7-3.省エネ基準の義務化と断熱・気密の関係

快適な住まいは、素材だけで決まるわけではありません。夏の涼しさや冬の暖かさを左右するのは、断熱と気密(すき間の少なさ)の性能です。

この断熱・気密を見落とすと、せっかく自然素材を使っても「なんだか寒い家」になりかねません。

日本では、2025年4月1日以降に工事へ着手する原則すべての新築住宅(ごく小規模な建物などの例外を除く)に、省エネ基準への適合が義務づけられました。

出典:国土交通省「建築物省エネ法のページ/a>」
国土交通省「
省エネ基準引き上げへ。脱炭素化も。

この基準は、断熱等性能等級4以上に加え、一次エネルギー消費量等級4以上(冷暖房・換気・給湯・照明などで使うエネルギー量の基準)が目安になります。

ただし、この義務化された基準はあくまで下限のラインです。本当に快適さを求めるなら、それ以上の断熱等級を目指す必要があります。

自然素材の調湿や温かみを生かすためにも、断熱等級や気密性能を会社にしっかり確認しましょう。詳しくは、省エネ基準の義務化の記事も参考にしてください。

7-4.使える補助金と最新情報の確かめ方

自然素材の家そのものへの補助金は多くありませんが、省エネ性能や子育て世帯を対象にした国の支援制度は、自然素材の家にも活用できる場合があります。

2026年7月時点では、省エネ性能の高い新築を対象にした国の支援事業(みらいエコ住宅2026事業など)が実施されています。受付状況は公式サイトで確認できます。

ただし、補助金は年度ごとに名称や条件、予算が入れ替わり、後継の事業が必ず続くとは限りません。受付も予算に達し次第終了します。

実際に使えるかどうかは、契約前と申請前の2回、公的な一次情報で最新の受付状況を必ず確かめてください。

制度 内容 いつから
シックハウス規制(建築基準法) クロルピリホス・ホルムアルデヒド対策と機械換気の義務 2003年7月〜継続
省エネ基準適合義務 原則すべての新築に断熱等級4・一次エネ等級4以上を義務化 2025年4月1日着工〜
住宅の補助金 みらいエコ住宅2026事業など(年度で変動) 2026年7月時点・要確認

8.自然素材の家に向く人を見極めて、信頼できる会社を選ぶ

自然素材の家に向く人を見極めて、信頼できる会社を選ぶ

自然素材の家が自分に合うのかを判断し、任せられる会社を見つけるところまで来れば、家づくりは具体的に動き出します。

判断の軸は、価値観の相性と、会社の見極めの2つです。

8-1.自然素材の家に向く人・向かない人

自然素材の家には、向き・不向きがあります。どちらが良い悪いではなく、価値観と暮らし方の相性の問題です。

▼向いている人

  • 経年変化を「味わい」として楽しめる
  • 多少の手間をかけても心地よさを優先したい
  • 湿度や肌触りなど、暮らしの快適さを重視する
  • 予算に自然素材ぶんの余裕を持たせられる

▼向かないかもしれない人

  • いつも新築同様の見た目を保ちたい
  • 手入れの時間をまったく取れない
  • 初期費用をできる限り抑えたい
  • 傷やひびが気になって仕方がない

向かないかもしれない項目が多くても、使う場所をしぼれば取り入れられます。ゼロか100かで諦めず、部分的に楽しむ選択肢も検討してみてください。

8-2.施工会社選びで確認する5つのこと

自然素材の家は、施工する会社の腕によって仕上がりも耐久性も大きく変わります。無垢材や塗り壁を扱い慣れていない会社だと、反りやひびのトラブルが起きやすくなります。

会社選びで確認したい5つのこと

  • 自然素材を使った施工実績が豊富か
  • 素材の品質や産地を説明できるか
  • 無垢材や塗り壁の知識が担当者にあるか
  • 完成見学会やOB宅(実際に建てた住まい手の家)を見せてもらえるか
  • 引き渡し後のメンテナンス体制や保証が整っているか

これらは、そのまま会社への質問リストになります。会社選びの進め方は建築会社の選び方もあわせてご覧ください。

8-3.見学会・OB宅訪問で見るべきポイント

カタログや写真だけでは、自然素材の本当の質感はわかりません。完成見学会やOB宅訪問で、実物を自分の目と手で確かめることが失敗を防ぎます。

見るべきは、まず広い視点での色ムラや質感です。小さなサンプルとは印象が変わることが多いためです。

次に、実際に何年か暮らした家では、経年変化やメンテナンスの実際を住まい手に聞けます。「御社で建てて、手入れで大変なことはありますか」と率直に尋ねると、リアルな情報が得られます。

子連れで何社も回るのは大変なので、見学会の前にチェックリストで質問をしぼると、1回の訪問が濃くなります。

チェックリストの質問を持って、まずは見学会の予約を1件入れてみましょう。

まとめ

自然素材の家は、調湿や肌触り、経年変化の味わいといった魅力がある一方で、費用が上がりやすく、反りや傷といった弱点があり、手入れの手間もかかります。

良い面と同じだけ、現実的なデメリットがあることをまず受け止めることが、後悔を防ぐポイントです。

そのうえで賢い選び方は、すべてを自然素材にするのではなく、毎日ふれる床やよく使う壁など「採用する場所をしぼる」ことです。

水回りは素材を選び、断熱や省エネ性能もあわせて確認し、シックハウス規制などの制度も踏まえたうえで、自然素材を扱い慣れた信頼できる会社と組む。この手順を踏めば、あこがれと現実のギャップは大きく埋まります。

現実を正しく理解して選んだ自然素材の家は、時間とともに家族と一緒に育ち、長く付き合える住まいになります。まずは気になる素材と使いたい場所を1つ決め、見学会での判断材料として持って行くところから始めてみてください。

※本記事の費用や制度に関する数値は執筆時点(2026年7月)の一般的な目安であり、時期・地域・依頼先や制度改正によって変わります。実際の費用や補助金の適用可否は、見積りや公的機関の最新情報で必ずご確認ください。

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