ローコストでアパート建築するために覚えておくべき4つのポイント

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ローコストでアパート建築するために覚えておくべき4つのポイントローコストでアパート建築するために覚えておくべき4つのポイント

多額な費用がかかるアパート建築では、金融機関からローンを借り入れてアパートを建てて、月々に得られる家賃収入から借り入れた金額を返済していきます。
月々の返済額を抑えるには、自己資金でまかなう金額を増やして借入金額を抑えるか、物件の購入金額を抑えて借入金額を抑える方法があげられます。

そのため、アパート建築を検討している方のなかには、建築にかかる費用をできるだけ抑えてローコストでアパートを建てたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ローコストでアパートが建てられるメカニズムや安くアパートを建築するメリット・デメリットについて解説していきます。

1.アパート建築費用を抑える4つのポイント

まず考えなければならないのがアパート建築費用の項目についてです。実際にアパートを建てるにも費用が何にいくらかかるか理解しなくてはなりません。

アパート建築費用には、本体工事・付帯工事・別途工事が必要となりそれぞれの工事に費用がかかります。なかでも本体工事にかかる費用が建築費用の大半を占めています。本体工事はアパートの外装や内装以外にも、室内に設置するキッチンや水回りといった設備、建物を支える基礎工事も含まれています。

ローコストでアパートを建てたいと考えている場合、一番費用を抑えるためには、建築費用の大半をしめている本体工事費用をいかに安くできるかです。

次からは、本体工事費用のコストを抑える4つのポイントについて解説していきます。

1-1.建築構造は木造(W造)がコストダウンにつながる

アパートやマンションには、法的な定義によって違いが定められている訳ではないですが、一般的にはアパートは木造(W造)・鉄骨造(S造)で建築された2階~3階建ての建物を指し、マンションは3階建て以上の重量鉄骨造・鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建築構造で建てられた建物と認識されています。

以下は国土交通省が2019年1月31日に公開している2018年の建築着工統計調査を表にまとめたもので、建築構造によって費用が異なってきます。

総計 257,616 10,918,385 234,793,171 911 71.1
建築構造 戸数
(戸)
延床面積
(㎡)
工事費予定額
(万円)
一戸あたりの
工事費予定額
(万円)
坪単価※
(万円)
木造(W造) 70,948 2,366,884 39,968,627 563 55.8
鉄骨造(S造) 82,767 3,806,006 87,205,526 1,054 75.7
鉄筋コンクリート造(RC造) 101,907 4,658,191 105,524,640 1,036 74.9
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 1,782 79,338 1,922,050 1,079 80.1
コンクリートブロック造(CB造) 89 3,528 64,299 723 60.2
その他 123 4,438 108,029 878 80.5

※2019年1月31日公開の建築着工統計調査より筆者が作成
※建築物の条件は全国の貸家且つ共同住宅の統計データを抽出
※坪単価は1㎡=0.3025坪で試算
※坪単価の算出方法:工事費予定額÷(床面積(㎡)×0.3025)

ご覧いただくと木造(W造)が他の建築構造と比較して、もっとも坪単価が安くコストを抑えられる建築構造というのがお分かりいただけると思います。

アパート建築費用は、延床面積×坪単価の計算式で算出されるため、坪単価を抑えられれば建築にかかる費用も安くできますので、木造(W造)でアパートを建築すれば、建築費用を抑えることができます。

1-2.企業努力による価格設定

木造(W造)で建築すればコスト抑えられるものの、ただ木造(W造)で建てれば、費用を抑えられるかというと一概にそうではありません。全国平均の統計データでは、他の建築構造よりもコストダウンできますが、木造(W造)で建築を請け負う企業は多数存在し、坪単価も企業ごとまちまちです。

建築にかかる費用は、建築資材の他にも現場の管理者や職人の人件費や工数などが含まれており、価格を抑えるには資材の原価や業務効率を改善する必要があります。

ローコストを謳っている建築会社の多くは、建築に必要な資材を独自ルートでの仕入れ、大量仕入れによる原価のコストダウン、内装や外観、室内の設備・間取りなど規格化して大量生産や人的リソースの削減など、原価を極力抑えてオーナーへ提供する価格も抑えています。

こうした企業努力による低価格設定が実現し、ローコストでアパートを建てることができるのです。

1-3.設計や建築をすべて内製化している

アパートの建築を決めたら企業と契約を取り交わした後、次の流れで建築が進んでいきます。

アパート竣工までの流れ
※④は竣工後すぐに入居者で埋まるよう、着工中に並行して募集を行う

ローコストで建築を請け負う企業の特長として、すべての業務を内製化しています。外注せず社内で設計から建築を一貫して行うことで、外注に上乗せする無駄な中間マージンを省き低価格でオーナーに建築を提供しています。

建築に費用割高なところは、①の設計は自社で行うが建築は下請け企業などに外注してアパートを建築する会社です。このような企業の場合、外注で建築したコストに中間マージン上乗せしているので、実際の建築にかかる金額よりも建築費用が高くなる傾向にあります。また、大手ハウスメーカーなどはブランド価値も上乗せされているケースもあります。

そのためアパートなどの賃貸住宅を建てる前に、設計部門や建築部門が社内にあるのか、企業ホームページの事業内容や企業の担当者に直接確認すると良いでしょう。

1-4.間取りや共用部は極力シンプルに

内装や間取りをこだわるあまり複雑な造りのアパートにすればするほど、建築にかかる時間と工数が増えてしまうため建築費用が高くなってしまいますので、間取りや共用部の造りを極力シンプルにすることをおすすめします。

シンプルな造りにすることで、工期が短くなり費用が抑えられるだけでなく、シンプルな四角の間取りはデッドスペースを生みにくいです。

入居者にとっては実際に使えるスペースが減ると、入居後の不満になり退去理由となる場合があります。そうならないためにも、造りはシンプルにすると良いでしょう。また、共用部もシンプルにすることで管理の際にメンテナンスも楽になるというメリットもあります。

2.安くアパートを建てることで得られるメリット

ローコストでアパートを建築することで賃貸事業として経営するにあたり沢山のメリットがあります。建築前にメリットを理解しておくことで、計画を有利に進めることができるでしょう。

次からはローコストアパート建築におけるメリットについて解説していきますので、理解を深めてください。

2-1.初期投資の金額を圧縮できる

アパート経営を始めるにあたってアパートを建てるための多額な初期投資をしなくてはなりません。当然のことながら、アパート建築費用を安く抑えることができれば、初期投資で必要な費用を圧縮することができます。

初期投資額を圧縮することにより、金融機関からの借り入れ金額を抑えられるので月々の返済額を小さくできます。これにより無理のない返済計画を組み立てられるだけでなく、余裕をもったアパート経営が可能になります。

アパート経営は自己資金ですべてをまかなわない限り、借金を抱えなくてはなりません。無理のないローン返済によって、お金の面にとらわれず視野を広げ精神的にも余裕を持った経営につながるでしょう。

2-2.利回りが良くなる

利回りは収益物件の価値を測る指標として見られ「表面利回り」と「実質利回り」の2つに分けられます。利回りは、以下の計算式を用いて割合を求めることができます。

表面利回りの計算方法

実質利回りの計算方法

上図でわかる通り、どちらの利回りも年間の収入から物件購入の費用を割って算出されているため、購入金額が下がれば、自ずと利回りが良くなります。

利回りは収益性の高さを数値化しているので、建築費用を抑えれば得られる収益が増えるとうのが理解いただけると思います。

別の記事で利回りの見方について、詳しく解説していますので参考にしてみてください。

 

2-3.低賃料による入居率UPに期待できる

アパートを安く建てられるため、周辺の家賃相場よりも安く家賃設定しても収入を得られます。これがある程度費用をかけてアパートを建てたのであれば、ローン返済や必要経費などの支出を考えるとそうはいきません。

入居者から家賃収入を得るアパート経営においては、空室をできるだけ出さない、または、空室が出たらすぐに埋めることが求められます。そのためにも、入居者がどのように物件を選ぶかを理解することが重要です。

以下は賃貸物件を探している入居者が物件選ぶポイントまとめたものです。物件を決める際、家賃をもっとも重要視という調査結果が出ています。

◆物件に求める条件
物件選びで重要視する条件参考:株式会社クロス・マーケティング「賃貸物件の部屋探しに関する調査 2019年2月」

また物件を選ぶ際、内見する物件数も4件以内で決めている割合が66%と半数以上いるため、入居者が許容する予算以上の物件は、借りる候補にすら入らず内見してもらえる機会すらありません。

◆内見した部屋数内見した物件数の割合

0件 1件 2件 3件 4件 5件 6件~7件 8件~9件 10件以上
9.1 24.3 21.9 25.1 7.8 6.5 3.2 0.5 1.6

参考:株式会社クロス・マーケティング「賃貸物件の部屋探しに関する調査 2019年2月」

その点、周辺の家賃相場よりも安い物件については、入居者が見に来る確率もあがり内見者が増えれば比例して入居してくれる確率も高まります。

家賃設定を下げられれば一定数の入居希望が確保できるため、入居率UPの期待は高まると言えます。

2-4.リフォームするときに融通が利く

木造(W造)は建築工法によってリフォームのしやすさが変わるものの、鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)に比べリフォームしやすくなっています。

木造(W造)の建築工法は「在来軸組工法」「枠組壁工法(ツーバイフォー)」の2つがあり、そのなかでもリフォームがしやすいのが在来軸組工法です。

●在来軸組工法
日本古来の建築工法で、柱・梁・筋交いを組み上げ軸にして家を支えている

●枠組壁工法(ツーバイフォー)
アメリカで開発された建築工法で、壁・天井・床など面と面を組み合わせて家を支えている

枠組壁工法(ツーバイフォー)は面と面で家を支えているため、壁を取り外して間取りを変更するといった大がかりな改造が難しいのに対し、在来軸組工法は骨組みが家を支えているので壁を取り外すのは、建物自体の強度に影響をあたえることなく変更できます。

長年アパートを経営していると、新築当初と比べ年月の経過による市況の変化がうまれてきます。そうなると、入居者ニーズも当初の仮説から修正を加えなくてはなりません。

元々2LDKのファミリー層をターゲットにしていた室内を、仕切りとなっていた壁を取っ払い、広いリビングが売りの単身者向け1LDKに作り変えるといった大胆なリフォームが可能です。

時代やニーズの変化によってターゲットが変わってくるアパート経営では、リフォームのしやすい利点は老朽化した後も戦略的に経営をおこなううえでメリットといえます。

3.事前に把握しておくべきデメリット

前述ではメリットを解説してきましたが、反対にローコストで建築するうえでのデメリットも存在します。良いことばかりだけ知るのではなく、悪いことについても理解することにより事前にできることがないか対策を講じる必要があります。

そこで次に把握しておくべきデメリットを紹介します。

3-1.修繕費用が高額になる場合がある

アパートの建築費用を抑えたいと思うあまり、竣工後の建物維持を考えず外壁や屋根などの補強を最低限にしてしまうと、毎年どこかしらに傷みを生じてしまう可能性が高まります。そうなると、修繕費用が年々増えていくので、当初の修繕計画が崩れてしまいます。

外壁や屋根といった外部からの影響だけでなく、給排水ポンプや共用部の手すり、給湯器・エアコンなどアパートに設置する設備も経年劣化による修繕が求められるようになってくるので、建築前に機器や部品の質をコストと照らし合わせて比較する必要があるでしょう。

また、外壁塗装ひとつとっても、使用する塗料によって耐用年数が変わってきます。短いスパンに塗り替えが都度必要になるよりも、初期費用が少し高くても塗り替えのスパンが長ければ、トータルでかかる費用は安くなる場合もあります。

建築時のコストだけにとらわれず、アパートを維持・管理していくための修繕を見据えた計画を練りましょう

3-2.防火地域・準防火地域では条件を満たさなければ建築できない

アパート・マンションなどを建築する際に「防火地域」「準防火地域」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

「防火地域」「準防火地域」は建物が密集しているエリアなど、火災が発生した住宅から別の住宅に燃え広がる危険を防ぐため、不燃材で建物を建築しなければならないという制限を設けて、万が一火災が発生しても延焼を防ぐ目的で都市計画法によって定められています。

木は燃えやすい素材のため、防火地域・準防火地域には「木造の建物は建てられないのか」というとそうではありません。木造でも防火地域であれば、延床面積や建物の階数によって異なってくるが耐火建築物や準耐火建築物であれば建築は可能です。

◆防火地域の建築制限防火地域の建築制限

準防火地域であっても防火地域同様に延床面積や建物の階数によって異なってくるが、耐火建築物または準耐火建築物、防火措置が一定基準施されている木造建築でも建てられます。

◆準防火地域の建築制限準防火地域の建築制限

耐火建築物もしくは準耐火建築物の木造でアパートを建てる場合、木材を耐火被覆材で保護する必要があり、防火措置を施すと通常よりも費用がかさむため、ローコストでの建築が難しくなります。

3-3.設備費用や付帯工事・別途工事にかかる費用が別料金の場合がある

前述で解説している通り、アパート建築費用の項目は「本体工事費」「付帯工事費」「別途工事費」で形成されています。

ローコストを謳っている企業の中には、付帯工事や別途工事を費用の中に含まず、建築コストが安いことを前面に押し出している企業もあります。

そのような場合、付帯工事費や別途工事費を追加で徴収されたり、室内の設備を自由に選べなかったり、選べたとしてもオプション料金として費用を請求される場合があります。

見積もりでは、安く見えた建築費用も、別途費用やオプション料金が加算されて、最終的な金額が他社と変わらないなんてこともあります。

残念な結果にならないためにも、契約前に見積もりで記載されている金額は建築費用のなかでどの項目が含まれているのか、逆に含まれていない項目はないかを洗い出しておく必要があります。

3-4.設備が必要最低限になるので入居者に家賃以外の付加価値を提供しにくい

メリットで、家賃を相場より下げられるため入居率UPに期待できると紹介しましたが、逆をいえば入居者に家賃以外の付加価値が提供しにくくなります。

アパートを安く建てるため、建築にかかる材料の他にも、室内の設備投資も金額を抑えることになるのでコストを抑えている分、室内の設備は最低限になりがちで型落ちした製品や低グレードの機能になるケースが多く、入居者目線で考えると家賃以外のメリットが伝わりにくいです。

ただ、建築する物件周辺の家賃相場から割安の物件は、「家賃が安いから住みたい」という一定数の入居希望者は募集できるでしょうし、生活していくうえで住居費は家計の多くを占めていますので、家賃が安いことは最大の付加価値になるでしょう。

まとめ

アパートをローコストで建築するには、統計データからも木造(W造)の建築構造が坪単価も低く建築費用を抑えられます。また、各社の企業努力によってオーナーに低価格で提供できている実態もご理解頂けてのではないでしょうか。

ただ、長期にわたる計画が必要になるアパート経営では、目先の金額だけでなくアパートが完成した後も慎重に考え全体を把握しなくてはなりません。

建築費用がオーナーにとって一番悩ましいのは事実ではありますが、賃貸事業として経営していく以上、綿密な計画をたてることが重要です。

そのためには、複数企業の建築プランを比べて、ご自身が思い描くアパートを具現化してくれるパートナーを見つけることから始めましょう。

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